訪問日:2009-08-17,18
 
 
栃木の湯西川温泉の二泊して、日本最初の水陸両用バスによるツアーを体験してきました。

一泊目は集落の最奥に位置する一軒宿の趣がある「上屋敷 平の高房(たかふさ)」に宿泊しました。
旅館名は平家落人伝説中、湯西川平氏の長であったとされる高房の名を冠したもの。
同旅館は一部に川治ダム建設の折に湖底へ沈むはずだった古民家を移築したものを含む重厚な建築物が2千坪という広大な敷地に点在します。
創業は1974年と同地では比較的新しい旅館です。
 
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「平の高房」入り口門
 
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宿玄関
 
部屋は大きさや内装で四つのタイプがありますが、今回は銘木にこだわった叢林亭に宿泊。
高台にあって山並みを望む閑静なお部屋です。
 
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部屋から山々を望む
 
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部屋風呂も中々お洒落
 
温泉は小振りの露天風呂併設の内風呂と旅館入り口付近に設けられた男女別露天風呂、貸切専用露天風呂があり、泉質はアルカリ性単純泉53.8℃、湧出量145リットル/分。
掛け流しと循環の湯船があります。
しかし風呂からの眺望は今一つで、湯西川らしい川沿いの露天風呂を満喫したいとい向きはやはり温泉街の宿に投宿するのが無難でしょう。
 
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露天風呂
 
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内風呂
 
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内風呂併設の露天風呂
 
食事は囲炉裏を切った食事処で頂きます。
湯西川の料理内容はどこも大同小異ですが、今回はリーズナブルプランなので値段を考えるとまあお値打ちという水準でしょう。
一升ベラの山鳥叩き、地鶏の味噌焼きなど囲炉裏焼が美味。
 
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夕食膳
 
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囲炉裏焼き
 
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岩魚活け造り(別注)
 
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凍結青竹酒
 
部屋から望む湯西川の夜明けは何ともいえず風情があります。
 
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湯西川の夜明け
 
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朝食
 
朝食のあとはいよいよバスツアーに出発です。
 
 
車で湯西川温泉駅に隣接する道の駅に戻り、水陸両用バスによる「湯西川(川俣)ダムとダム湖探検ツアー」を体験して来ました。
(現在は各地で運行されていますが、何を隠そうここが日本の水陸両用バスツアーを発祥の地。またダム見学ができるのは当ツアーのみ) 
 
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国産水陸両用バス第1号・Legend One
 
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ハンドルと梶を備えた運転席
 
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陸上走行でツアーの説明を受ける
 
ツアーの売りはもちろん同バスによる水上運行ですが、それ以上に興味深かったのは、普通一般には非公開のダム内見学でした。
 
鬼怒川水系の川俣ダム内に設けられた専用エレベーターで60メートルを降下し、ダムの内部やキャットウォーク(ダム壁の側道)を歩いて構造や役割の説明を受けるという内容です。
同ダムは鬼怒川の治水用で発電目的のダムではありませんが、そのシステムや役割を実際の巨大な構造物を目の当たりにしながら解説され、参加者一同珍しい体験に興味津々といった様子。
 
壁の数メートル向うは湖水というダム内部の通路や、上下数十メートルの高低のある網目の側道を歩くスリル一杯の行程は実に貴重な体験でした。
 
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川俣ダムに到着
 
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運転手→船長さんに付いてダム構内へ
 
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キャットウォーク(側道)を歩く
 
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ダム上から見たツアーの様子
 
その後はいよいよダム湖畔のスローブから湖水にスプラッシュイン!
運転手はそのまま船長に早替わりし、十数分のダム湖内クルージングを楽しませてくれました。
(このバスの操縦には特殊資格が必要で、現在日本で10名しか資格者はいないそうです)
 
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いよいよ着水へ
 
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スプラッシュイン!
 
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ダム湖をクルージング
 
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着水したスローブを湖上より望む
 
 
文字通りの(水陸)クルージングの後は出発地の湯西川道の駅に戻り、車で再び湯西川温泉に向かいます。
 
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平家落人部落
 
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山椒魚唐揚げ
 
二泊目は老舗の「本家伴久萬久旅館」に宿をとりました。
こちらは二回目、丁度20年ぶりの訪問です。
 
温泉街中ほどにある奥まった敷地の表玄関をくぐると、いかにも由緒ありそうな荘厳な建物が現れます。
年輪を感じさせるロビーに入ると歓迎の太鼓が鳴らされ、旅情を盛り上げてくれます。
三百余年の歴史を持ち、平家直系二十五代当主の宿とか。
 
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表門
 
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歴史を感じさせる荘厳な建物
 
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木造のロビー
 
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写真撮影用の帳場
 
部屋は民芸調の旧館と、ホテル風の建物の十二単(じゅうにひとえ)館に分かれますが、やはりこちらでは風情ある旧館に泊まりたいもの。
10畳に4畳半の次の間がついた部屋からは渓谷と眼前の山が望まれます。
 
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部屋1
 
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部屋2
 
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部屋からの眺望1
 
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部屋からの眺望2
 
風呂は岩風呂と渓谷沿いの露天。
茶色い岩肌が美しい川には沢山の魚影が。
泉質はアルカリ性単純泉70-80度、掛け流し。
 
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川沿いの露天風呂(対岸に見えるのは演台)
 
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内風呂
 
料理はかずら橋(吊り橋)を渡った平家隠れ館、囲炉裏(いろり)の間で頂きます。
 
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かづら橋を渡って対岸の食事処へ
 
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囲炉裏を仕切った食事処
 
囲炉裏には鮎や一升べら(鶏肉味噌叩き)などの串が刺されています。
前回は山椒魚の串がありましたが、食べられない人が多いのでメニューから外されたとか、残念!
 
膳には色とりどりの前菜や鹿肉叩き、湯葉刺しなどが載せられています。
(食事処が暗く食事の写真がピンボケで、一部HPから転載させて頂きました)
青竹に注がれた日本酒が三本空く頃にはすっかりよい気分に。
 
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囲炉裏で串焼きを
 
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囲炉裏で串焼きを
 
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鹿叩き、青梅ジュレ、夏野菜など
 
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飯にきのこ汁、香の物、デザート
 
食後は川に面した演台で平家琵琶の演奏が行われます。
今夜の題目は有名な「耳なし芳一物語」。
平家琵琶の響きと鬼気迫る語りに、観客一同水を打ったように静かに聞き入っていました。
 
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平家琵琶の演奏「耳なし芳一物語」
 
朝食は食事処でバイキング。
山菜を中心にした盛り沢山のメニューです。
雑穀米やお粥が美味しくついついお替りを。
 
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朝食は山菜を中心にしたバイキング
 
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朝食
 
温泉ファンだけでなく、歴史ファンにもお勧めの宿です。
鄙びた温泉と珍しい水陸両用バスツアーを堪能した二日間でした。 
 
 
(湯西川温泉「上屋敷 平の高房(たかふさ)」「本家伴久萬久旅館」了)