湯岐温泉共同浴場(立ち寄り)
 
訪問日:2007-03-06,07
 
 
湯岐温泉は素晴しい!
人里離れた標高500メートルの山中に湯煙を上げる、五百年の歴史を誇る隠れ里のような温泉集落。
鄙びた湯治場の雰囲気や良質の温泉が好きな人には正に理想郷です。
しかしそうでない向きには何ともつまらない所かも知れません。
何しろお洒落な宿、華美な料理はもちろん露天風呂もなし、唯一の食堂もいつやっているのかわからない状態で、昼食は自炊か8キロ離れた東館(ひがしだて)の町まで食べに行かなければならないのですから。
 
住所は福島県白河郡に属しますが、位置は久慈川の上流で茨城県境にほど近く、東京方面からは東北道より常磐道経由の方が便利が良ろしい。
常磐道 那珂I.C.からR118、またはR349を小一時間走り、JR水郡線 東館駅周辺の集落を過ぎると道は人家も稀な山中に分け入ります。
美しいせせらぎに沿って狭い道を辿り、不動尊を祭った不動滝を越えて「湯岐温泉」の看板から更に林道を登ると「和泉屋旅館」の建物が忽然と現れます。
 
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温泉入口の不動滝
 
更に狭い道を登り、同旅館の裏手に廻ると小さいながら温泉の集落が。
同地は共同浴場を囲むように3軒の旅館が建っており、それぞれに源泉を持っています。
共同浴場は坂を下ったどん詰まりの「山形屋」が管理しており、300円で立ち寄り入浴が可能。
 
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共同浴場
 
共同浴場の湯小屋は古い造りですが、温泉の湧出する大きな岩の上に浴槽が造られ、37,8度のアルカリ性(PH9.7)単純泉が足元の岩の間からこんこんと湧出しています。
もちろん源泉掛け流し、加温・加水なし。
隣の井桁屋がボーリングした若干泉温の高めの湯が、上がり湯として引かれています。
こちらは混浴ですが、誰も体を隠さず堂々と入浴するところがいかにも東北の湯治場、といった印象です。
もちろんタオルも湯船に持ち込めますので自信のない(?)方はどうぞ。
 
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共同浴場岩風呂 
 
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井桁屋
 
今夜の宿の「和泉屋」は400年以上の歴史を誇る湯治宿。
宿の佇まいは「井桁屋」の方が好みですが、前述したようにこちらの源泉は他より数度高めの温度であるというので、今回は共同浴場と同じ泉質の「和泉屋」を選択。
この温泉地は古くは「鹿の湯」と呼ばれていましたが、幕末に多くの志士に影響を与えた水戸藩の儒者、藤田東湖が同旅館に滞在して「湯岐」(源泉が2箇所に湧出の意)と命名してからそれが通り名となったそうです。
 
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和泉屋
 
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藤田東湖の碑
 
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宿の周りは何もない山の中
 
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ロビー
 
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部屋
 
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部屋からの景色
 
「和泉屋」は新館建設と共に浴場も新しくし、37、8度の混浴と、40度の男女別の浴場は、どちらも段差を設けたタイル張りの造りでそれぞれ10人ほどの入浴が可能です。
前者の体温に近い泉温は私の最も好きな湯加減で、他の湯治客の皆さんも2時間から3時間ゆっくりと浸かっています。

施設が新しすぎるのが難、と言っては贅沢か。
部屋も清潔で眺めが良く、湯治宿らしく布団は敷きっぱなし。 
 
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鹿の湯
 
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八幡の湯
 
食事も湯治食ながら上々で、朝夕とも部屋に運ばれます。
従業員も気さくで気持ちが良く、1時チェックインというのも風呂好きには嬉しい。
(後で聞いたら朝からでも追加料金なしで入室可能ということです)
 
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夕食
 
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朝食
 
 
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東館で食べたこんにゃく刺身と手打ち蕎麦
 
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帰りに寄った茅葺の横川鉱泉「巴屋」
 
 
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(湯岐(ゆじまた)温泉「和泉屋」了)