訪問日:2008-08-22, 23
 
 
この「加満田」ほど多くの文人墨客に愛された宿も稀でしょう。
こちらを定宿として多くの作品を執筆した小林秀夫や水上勉を始め、林芙美子、今日出海、獅子文六、坂口安吾、大岡昇平など名立たる作家達が過去の常連客に名を連ねています。 
 
奥湯河原は藤木川の支流、アゲチ沢がその広大な庭園内を流れ、森閑な緑の山々を借景に昭和14年創業という由緒ある宿が幾多の時の流れを経てひっそりと佇んでいます。

またこちらは、私にとっても25歳(1981年)の時に生まれて初めて体験した老舗割烹旅館ということで、非常に思い出深い宿でもあります
 
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奥湯河原の閑静な立地
    
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質素ながら歴史を感じさせる玄関
 
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上がり口
 
部屋は本館・西館・東館・別館と4棟に全15室。
今回は広縁のある東館の一室を用意して頂きました。
しかも今宵は私達一組以外宿泊客無しの貸切り状態です。

広縁の大きなガラス戸からは沢と庭園が望まれ、聞こえるのは川音とヒグラシの寂しげな鳴き声のみ。
 
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茶ときび餅
 
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部屋1
 
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部屋2
 
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部屋3
 
部屋付きの内風呂
 
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広縁からの眺め
 
風呂は檜造りの内湯と庭園を臨む石造りの露天風呂がそれぞれ二つづつ。
泉質はカルシウム・ナトリウム/硫酸塩・塩化物泉。
42度と59度の二つの源泉の混合泉が、終日惜しげもなくかけ流しされてされています。
 
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内風呂1
 
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内風呂2
 
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露天風呂1
 
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露天風呂2
 
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露天風呂3
 
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露天風呂4
 
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露天風呂5
 
館内の調度品やこちらを定宿にしていた作家たちの書画も見所です。
 
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館内1
 
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館内2
 
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館内3
 
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水上勉の書
 
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清水崑(平成20年2月没)の掛け軸
 
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大岡昇平作品中の「加満田」の記述と写真
 
夕食は懐石ではありませんが、相模湾の地魚や季節の野菜を中心に意匠を凝らした割烹料理。
戦時中海軍の指定保養所だったという経緯から、当時軍に零戦一機を寄付したという名物女将も今は無く(平成9年没、葬儀委員長は水上勉)、二代目女将が菜園で採れ立てという野菜皿を持ってご挨拶に見えました。
 
食前酒からデザートまで全14品、二時間かけてゆっくりと頂きました。
 
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食前酒(自家製梅酒)・先付(数の子水晶豆腐)
 
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前菜(焼き無花果 胡麻味噌・鯛握り酢取り独活巻き・烏賊鹿の子焼き
・秋刀魚時雨煮・穴子八幡巻きなど)
 
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造り(平目そぎ作り・しま鰺・本鮪・鰺叩き・鰺刺身・帆立・真蛸)
 
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お椀(菊花仕立て/松茸・鱧叩き・玉子豆腐・蛇の目小メロン・一文字柚子)
 
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菜園で採れたての野菜皿
 
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中皿(きのこソース/合鴨ロース煮・米茄子挟み焼き・もろこし
・万願寺・紅葉ピーマン)
 
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揚げ物(蟹身長芋東寺揚げ・茶筅小茄子・青唐/ゆかり塩・かぼす)
 
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煮物(車海老吉野煮・京芋旨煮・かもじ野菜独活/人参・針葱)
 
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酢の物(鰻養老掛け/蛇腹胡瓜・酢取り茗荷・土佐酢)
 
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食事(栃木産こしひかり「穂の香」)・止め椀(赤出汁/南瓜酢揚げ)・香の物三種
 
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食後(マンゴープリン・梨・葡萄)
 
食後は広縁の椅子で、こちらで執筆されたという私の大好きな水上勉「越前竹人形」を再読。
外はすっかり夜のとばりが降り、川音以外は何も聞こえません。
 
朝食は鰺の開き・大根アラ煮・鮪すき身などを中心とした湯河原らしい献立。
山葵漬けや香の物も美味で、ついついご飯が進みました。
 
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朝食膳
 
食後は雨が上がって薄日も差した庭園を散策です。
 
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落ち着いた和風旅館がお好みの方は勿論、文学ファンには堪らない老舗宿です。
 
 
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