小渋温泉「赤石荘」(立ち寄り)
 
 
信州では北信(長野県北部)の秘境といわれる秋山郷に比較して、この南信の秘境・遠山郷は著しく知名度が低いようです。
屋敷・和山・切明温泉などよく知られた温泉地を有する前者に比べ、著名な温泉がないことやアプローチの難度がその原因でしょう。
 
実際村内を縦貫する国道152号は遠山郷を挟んだ両面で途絶され(二箇所が未だ未開通)、遠距離の迂回路を経由するか、舗装されているとはいえ山間の林道を通らなければ辿りつくことは叶いません。
公共交通では僅かに飯田線平岡駅からのバス便があるのみ。
ただそれだからこそ、現在まで美しい環境や昔ながらの風俗がそのまま守り伝えられて来たとも言えるでしょう。

しかし現在建設中の三遠南信自動車道路が全通すれば(現在一部開通)そのアプローチも格段に便利になり、観光客がどっと訪れて様変わりしてしまう可能性もあります。
この秘境の地を訪れるのは今のうち、と言えるかも知れません。
 
前置きが長くなりました。
今回は湯谷温泉から静岡県水窪(みさくぼ)に入り、ヒョー(兵)越峠を経由して遠山郷に向かいました。
 
 
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遠山郷へ(ヒョー越峠より)
 
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「日本のチロル」下栗1・下栗へ向かう林道から
 
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「日本のチロル」下栗2・下栗付近にて
 
まずは「日本のチロル」と呼ばれる下栗の里へ。
山間の傾斜地にへばりつくような集落は日本の山村の原風景を思わせます。

もうここは南アルプスの真っ只中。
もうすぐ収穫を迎える蕎麦の花の白さが、深い山々の緑に映えてすこぶる印象的でした。
 
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「日本のチロル」下栗3・聖岳をバックに置石屋根の家屋が
 
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「日本のチロル」下栗4・一面の蕎麦の花
 
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「日本のチロル」下栗5・斜面の茶畑
 
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「日本のチロル」下栗6・山神命水
 
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「日本のチロル」下栗7
 
下栗の入り口にある旧木沢小学校の木造校舎では村民の暮らしや廃線になった森林鉄道の写真、資料を見学。
(この森林鉄道には廃止寸前に乗ったことがあり、非常に懐かしい思い出を想起しました)

また旧秋葉街道の和田宿では復元された遠山城や遠山氏の菩提寺である龍淵寺で歴史を偲びました。
 
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旧木島小学校の木造校舎
 
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遠山森林鉄道の保存車両
 
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遠山森林鉄道の資料
 
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遠山氏の菩提寺・龍淵寺
 
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遠山氏の墓所
 
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復元された遠山城
 
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遠山城内に保存された「霜月祭り」の面
 
和田宿にはこんなお店もあります。
 
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和田宿・山肉料理「星野屋」さんの看板
 
それぞれの詳細については観光協会のHPをご覧になって下さい。
 
 
今夜の宿は「いろりの宿島畑」へ 。
旧村営施設なので部屋や風呂は質素ですが、遠山郷では一番設備の整った宿です。
 
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「いろりの宿 島畑」へ
 
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水車が目印の「いろりの宿 島畑」
 
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部屋
 
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大岩のあるベッドルーム
 
ウッドデッキから宿の庭を望む
 
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風呂
 
風呂は地下水を沸かしたもので、残念ながら温泉ではありません。
温泉に入りたければ、5キロほど離れた村営の「かぐらの湯」を利用することになります。
 
温泉ではないのは残念ですが、こちらの宿の魅力は何といっても囲炉裏で頂く「山肉料理(熊・鹿・猪など)」です。
それもそのはず、こちらのご主人の山﨑さんは、さきほどの和田宿にある山肉料理の老舗、星野屋さんのご主人と双子のご兄弟。
つまり同店と同様のメニューが宿の夕食で頂けるという訳です。
 
一般メニューでも馬刺し、鹿ステーキ、鹿肉メンチカツ、猪鍋などが供されますが、今回は無理を言ってこの数年捕獲量が減ったと言う熊肉や、猟師さんが犬の餌にするためあまり食用にはされない猪のモツを調達して頂きました。
他にもヤマメの串焼き、名産二度芋のエゴマ味噌、胡麻豆腐などが食卓に。
 
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食事処
 
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胡麻豆腐・鹿肉ミンチカツ・二度芋エゴマ味噌・山菜天麩羅
 
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上物の馬刺しと茶碗蒸し
 
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囲炉裏端で頂く山里料理
 
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熊鍋とヤマメ塩焼き
 
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猪鍋・猪モツ鍋
 
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鹿肉ステーキと地酒「喜久水」生酒
 
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手打ち蕎麦
 
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朝食
 
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朝食膳(ヤマメのフライ、目玉焼きなど)
 
朝食はヤマメの唐揚げなどを中心としたメニュー。
食後宿周辺の吊り橋など散策し、ご主人に見所や道路状況などのお話を伺って宿を後にしました。
 
 
今日はもう一度下栗の里を通ってエコーラインと呼ばれる林道をドライヴ、南アルプスの絶景が望めるしらびそ高原を経て次の宿泊地・大鹿村に向かいました。
 
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しらびそ峠から南アルプスを望む
 
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しらびそ峠のお地蔵さん
 
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しらびそ峠の森林鉄道保存車両
 
(遥かなる秘境・遠山郷と山肉料理「いろりの宿 島畑」了)