訪問日:2012/6/4,5
 
 
今回の山宿は苗場の赤湯温泉「山口館」です。
こちらは温泉宿というより登山者のための山小屋に近く、アプローチも急斜面を含む山道を二時間あまり歩かなければなりません。
しかしその労力に報われるだけの素晴らしい温泉とロケーション、雰囲気を味わえる別天地です。
 
アプローチはスキー場や富士ロックで名高い苗場プリンスホテルから、赤湯林道を20分ほどの小日橋で車を捨ててあとはひたすら歩くのみ。
(本来はもう少し先の車止めまで車両通行可能ですが、今回は道が荒れているため2キロほど手前で通行止めとなっています。約30分余分に歩かなければなりま
せんでした)
 
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赤湯林道と清津川
 
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車を捨てて出発

 
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倒木が道をふさぐ
 
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 清津川
 
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ここから本格的な山道に
 
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清津川の清流1 

 
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 清津川の清流2
 
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最後の下り坂
 
息を切らせて最後にかなりの急斜面を下り、橋を二つ渡るとやっと最初の露天風呂が川沿いに姿を現します。
そして続いて現れる「玉子湯」と宿の鄙びた風情は、山歩きの疲れも吹き飛んでしまう素晴らしさ。
 
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露天風呂が見えてくる
 
赤湯の象徴、玉子の湯。
開放感抜群の温泉です。
 
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玉子湯1
 
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玉子湯2
 
薬師湯は明治時代に内湯であったため、木材が使用されている温泉です。
湯の後に薬師様・先代が祀られています。
 
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 薬師湯
 
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薬師様・先代が祀られている祠
 
青湯は囲いがあり、昼間は女性専用。
赤湯では一番鉄分の少ない温泉です。
 
青湯(昼間は女性専用)
 
わくわくしながら宿帖を書いてチェックインを済ませます。
部屋は二階の角部屋で、どちらの窓からも眼下に清津川を望む素晴らしい眺め。
もちろん電気は通じておらず、廊下と食堂のみは自家発電の裸電球が灯っています。
 
露天風呂は川沿いに三つ、内風呂はありません。
最初に見えた囲いのある「青湯」は熱めで唯一濁りのない温泉で、昼間は女性専用になります。
「青湯」と宿の中間にあるのが、移設以前宿の内湯だったという「薬師の湯」、そしてすぐ傍の河原に隣接する「玉子湯」。
いずれもぬる目で茶褐色に濁っています。
泉質はいずれもナトリウム - 塩化物泉(旧名:含石膏食塩泉)ですが湯船によって色・温度が異なります。
湧出温度は41度から51度ですが、湧出量は三つの合計が37リットルと少なめのせいか湯船の温度は総じて低くなっています。
PH6.5、源泉掛け流し。
 
昼間は清津川の清流を目の前に、夜は天気が良ければ満天の星を見ながら夢見心地の入浴が満喫できます。
特に「玉子湯」は湯船が水面下で三つに仕切られ、好きな温度で入浴が可能。
何時間入っていても飽きることはありません。
 
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ロッジ入口
 
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ロッジ1
 
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ロッジ2
 
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ロッジ3
 
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ロッジ4
 
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ロッジ玄関
 
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吹き抜けの館内
 
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 ランプと部屋
 
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   部屋からの眺め1
       
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 部屋からの眺め2
 
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 部屋からの眺め3
 
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ベランダから
 
陽が落ちて部屋にランプが灯ると夕食の時間です。
食堂に用意されるのは揚げたての山菜天麩羅や山の幸を使ったお惣菜。
地味噌を使ったキノコ汁は美味でお替わり自由です。

ご主人と息子さんを交えて宿泊者同士の会話も弾み、お酒もついつい進んでしまいます。
ちょうどTV東京の番組制作会社のスタッフが下見に来ていました。 
 
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  部屋にランプが灯る
 
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 夕食1
 
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夕食2
 
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    夕食後の語らいも山宿の楽しみ
 
食事の後もたっぷり一時間以上談笑し、ランプの灯る部屋で一休み。
しかしここで寝てはもったいない。
今度は行灯(あんどん)風の照明を借りて入浴に。
残念ながら星は見えませんでしたが、淡い蝋燭の光で幻想的な入浴を満喫しました。
 
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 行燈の光で入浴 
 
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ランプと夜明け
 
朝も薄暗いうちから二度入浴をすませると朝食の準備ができていました。
内容は山独活の煮物と玉子、サラダとキノコ汁。
山歩きにそなえて腹ごしらえをするともう一度入浴し、名残惜しい気持ちで宿を後にしました。
 
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 朝食
 
現在の建物は平成元年に、ご主人が親戚の建築屋さんに協力してもらいつつ、ほとんど自力で建てられたという立派な物。
毎日山道をあるいて通われたというお母さんは引退して、現在は息子さんが中心となって宿を切り盛りされています。
苗場登山者やこちらの温泉を愛するファンのために、いつまでも頑張って頂きたいと思います。
 
*追記:実はこちらの息子さんが五年前に他界し、現在ご主人と娘さんで切り盛りされていますが、後継者問題が深刻な様子です。
その後の情報は未確認ですが、一日も早く後継者が決まってこの素晴らしい宿をいつまでも守っていただきたいと思います。
 
 
 (赤湯温泉「山口館」 了)