地蔵峠麓の立ち寄り湯「二本木の湯」
開田高原「蕎麦処 大目旅館」「時香忘 (じこぼう)」「ふもと屋」(蕎麦)
 
訪問日:2007-10-22,23, 2008-09-23,24、2014-11-24,25, 2016-11-14,15、2022-10-17,18
(1990年代より7回訪問)
 
 
今回ご紹介するのは木曽御岳の麓にある「鹿(か)の瀬温泉」です。

ガイドブックや温泉サイトにも大きく採り上げられず、ともすれば見過ごされそうな素朴な佇まいの宿ですが、実はこれが木曽では類まれな泉質と料理を誇る素晴らしい温泉宿なのです。  
私の大好きな宿で1980年代から七回宿泊しています。         
 
      
                                 
      
 
 
 
          
 
この宿を経営するご夫妻は元教師と看護士さん。
共に現代の教育と医療に絶望して、木曽の山奥で無添加食材を使った本物の温泉宿を経営しようとこちらに移住された、自他共に認める温泉と料理好き。
その一切妥協を許さない経営理念には訪れる度に感服させられます。
何しろ食材は全て地の物、調味料は勿論、シャンプーや歯磨き粉まで全て自然の物を使うという徹底振り。
(シャンプーは椰子油、歯磨き粉はハコベの粉といった具合))

そんなこだわりは宿の中、浴場、部屋、食事全てにヒシヒシと感じられます。
またご主人の趣味という古伊万里と江戸時代の浮世絵コレクションも楽しみの一つ。  
 
 
部屋「藪原宿」
 
 
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到着時の茶菓(山胡桃と栗きんとんなど)
 
古伊万里のコレクション
 
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浮世絵のコレクション
 
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果実酒
  
温泉は以前は低温泉を加熱していましたが、2005年に源泉を提供している町営の木曽温泉への供給の関係上、町によって新たにボーリングされて45.2度の高温泉の湧出が叶いました。
成分も一層濃くなったということで、すぐパイプがつまってしまうとご主人は嬉しい悲鳴。

その泉質はナトリウム・マグネシウム・カルシウム炭酸水素塩・塩化物泉。
茶褐色のいかにも効能のありそうな湯がシュワッ・シュワッという音と共に湯船に注がれています。
もちろん源泉掛け流し。
湧出温度は45度ですが供給温度は42度、湯船の温度は38~9度という私には理想的な温度のぬる湯です。

普段は加熱して42度に保っていますが、他のお客さんに差し支えなければすぐに加熱を停止して源泉温度で入浴させてもらえます。
毎晩清掃して湯張りしますが、深夜2時ころには七分くらい溜まりますのでゆっくりとこの素晴らしい源泉を満喫させて頂きました。
    
風呂 
 
 
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家族風呂
   
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                 効能書       
               
そして温泉とおなじくらい素晴らしいのが、地の食材をふんだんに使った料理です。
年間通しての岩魚や季節のきのこ・山菜・山野草などがご主人こだわりの調理で「これでもか」というくらいに供されます。
その全てが宿の近辺でご主人が収穫した食材です。
季節外のきのこ・山菜・山野草 は塩漬けで保存してあるのでご安心を。
 
岩魚の卵の塩漬け、あみ茸の酢の物の前菜から始まって、岩魚は刺身・炭焼き・温石(おんじゃく)焼き・燻製・寿司・アラの味噌汁に。
そして天然きのこは炭焼き・和え物・きのこ汁。
後は山野草天麩羅に炊き合わせ、栗ご飯からデザートまで実に十七品が渋い古伊万里の器に盛られて次々と運ばれてきます。
(写真は古伊万里を使用した一万五千円のコース、他に一万円、一万二千円のコースあり。いずれも税・サーヴィス料別)
 
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前菜(岩魚の卵・あみ茸酢の物)
 
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 岩魚刺身
 
炭火焼き:天然キノコ
(ショウゲンジ茸・栗茸・ヌメリササ茸・アイシメジ・ムキ茸)
自家栽培野菜
 
岩魚切り身
 
炭火焼きの様子
 
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岩魚温石焼き 
 
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山野草皿(アケビ・釣鐘人参・こごみ・いたどりなど)
 
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きのこ汁
 
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岩魚のスモークと焚き合わせ
 
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岩魚寿司二種
 
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山野草天麩羅と行者にんにくなど
 
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クコ御飯、味噌汁(岩魚のアラ)、香の物
 
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デザート
  
料理は一々女将さんが説明に来ますが、お運びは近隣に嫁いで来たというフィリッピンの女性がお手伝い。
片言の日本語で一所懸命に働くので、気持ち心づけを渡すと「4年間働いて初めて」とあまりの感激ぶりに、こちらが気恥ずかしくなってしまいました。
 
朝食は食事処で。
岩魚のバター焼きを始め、またきのこや山野草などの料理が食卓を飾ります。
食後もまた出発ぎりぎりまでこの素晴らしい源泉を味あわせて頂きました。
 
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食事処
 
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朝食膳
 
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ムキ茸としめじクリームソース
 
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岩魚バター焼きとサラダ(赤いのはやまぼうしの実)
 
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塩鱒と山野草皿(しゃくなど)
 
HPがないのでアクセス・料金等を。
車では中央道伊那ICから開通したばかりの権兵衛トンネルを抜けて木曽方面へ。
木曽福島から開田を経由、木曽温泉前からおんたけロープウェイに向かう途中にあります。
 
料金は1万円から1万5千円まで(サービス料10%・消費税・入湯税150円別)。
1万5千円では古伊万里の器で料理が供されますが、かなりの品数ですので余程の健啖家でなければ1万2千円のコースで充分でしょう。
閑散時は宿を休んでご主人が働きに出られることもあるので、必ず事前に電話確認をお勧めします。
0264-46-2034
 
鬱蒼とした木々に囲まれた深山の一軒宿で素晴らしい温泉と季節の料理を楽しんで、充実した時間をゆっくりと満喫する。
豊かな自然・源泉・料理があれば余計なものは一切不要という本物志向の温泉ファンにお勧めの隠れ宿です。
 
宿に近い地蔵峠麓の立ち寄り湯「二本木の湯」、開田高原と御岳、周辺の蕎麦処。
 
「二本木の湯」
 
 
 
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御岳1
 
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御岳2(丸い塊は宿木)
 
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御岳3
 
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御岳4
 
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唐沢の滝
 
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木曽馬1
 
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木曽馬2
 
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木曽馬3
 
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開田森林鉄道の保存車両
 
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蕎麦処「大目旅館」
 
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「大目旅館」のすんき入り投汁(とうじ)蕎麦
 
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「幻の蕎麦・時香忘 (じこぼう)」
 
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「時香忘 (じこぼう)」エントランス
 
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「時香忘 (じこぼう)」ざる蕎麦
 
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開田「ふもと屋」
 
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「ふもと屋」投汁(とうじ)蕎麦
 
(御岳「鹿(か)の瀬温泉」了)