映画「ひとりじゃない」撮影に関して | オヤジカメラマンのブログ

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若い時は京都太秦の撮影所、木枯らし紋次郎、座頭市、必殺仕事人、暴れん坊将軍など撮影助手として、30でCMキャメラマンとして主に大阪で…今迄観た映画など思った事をぼちぼち書きます。

https://youtu.be/zHJrvU2Filw

予告編です。

今回のこの映画の記事はJSC日本映画撮影監督協会の機関紙「映画撮影」120号という雑誌に載ります。

    この作品の当初の意図は身近に起きた豊里地域の孤立、孤独死でした。
地域住民がそれをテーマに映画を作る。
    旧知の俳優、稲森 誠氏のフェイスにそれが載っていたのがキッカケでした。

敏感に反応したの鐘江 稔監督でした。

三人で集まり堂山町の居酒屋で…
(左から稲森誠、鐘江稔、倉田修次)



我々大阪のスタッフの意思の疎通は地域だけではなく日本が今抱えている社会問題の1つだと思いで参加しました。

私がこれに参加する大きな理由に、兄が孤独死で亡くなったその時の思いがあるからです。

警察から電話があり尼崎東警察署の取調室に…?

正月の2か3日に兄貴に会いました。僕は正月なので仏壇に手を合わせに実家へ、入れてくれない兄貴と玄関で口喧嘩。それから12日後、死後5〜一週間で見つかったのでした。

なので最初に身元確認じゃなく取調室へ…
行政解剖を… 兄貴の死より自分は何もしていないに…結局病死でした。

つい最近でも事務所の近く大阪天満のマンションで母子餓死の状態で見つかった事件もありました。都会でも身近に孤独死が起こっています。

孤独死の前には孤立があります。そこに居てる事に皆が気付かなくなる。

周りが気にしない?自分から周りを拒絶する。
孤立には色々な事情があり、それを無くす事は不可能に近いのかも知れません。

プライバシーや個人情報保護の観点から他人の事を探ったり、あれこれ皆に伝えられないのも事実です。

特に都会では薄い壁一枚田舎一反(300坪)以上の隔りがあるかもしれません。

この映画に対して何が出来るのか?

豊里の映画製作委員会に始めて参加しました。
もう半年以上も前になります。
 
撮影、照明、録音の映画技術を担当し、無理を言いスタッフに集まって貰いました。またPR映像作成も担当しました。


映画、PR映像の撮影が終わる、仕事で行えばこれで私の役目は終わります。しかし、その後は編集
された物を商品化する為、DVDビデオ作成、これにはオーサリングという作業が入ります。

本来私の所はIDC映像創作集団合同会社という事業なので、この作業も数万円で行っていますが、今回はこれもボランティアで行いました。

起業して三年目、ボランティアをする余裕の無い会社がボランティア?

登米市の隣は石巻です。ここへはこの映画の前に何度か訪れています。震災からまだまだそのままの三ヶ月後、そして三年後、五年後、そして去年、まだここへは来なくてはなりません。国立公園が出来るはず?そこに建つモニュメントのために…何かご縁があるこの地域です。

最初に石巻に行ったのはキャメラマンの応援に頼まれて(自分の目で確かめたいという衝動もあり)石巻南浜地区へ、被災地で活躍されているボランティアの方々を間近で観ました。額に汗、それでも長袖で泥にまみれて、若い子から僕ぐらいの年輩の方々、多分この中にこの映画のプロデューサー、川谷清一さんもおられたのでしょう。

僕がするボランティアなんて…と正直思います。
映画製作の現場では地域の人々がボランティアで僕らの飯をつくり、製作を手伝っていただきました。

勿論、稲森誠さん率いるシアターOMのスタッフ、そして主演女優の小林涼子さん、マネージャーの方々も…そして脚本、演出、編集を担当した鐘江監督、総てが1つのテーマを完成させるために大きなボランティアの輪が出来上がって…上映に関してほとんどボランティアで、またポケットマネーを使っていただいた方々も…

実際この映画の撮影は4kカメラを用いて行っています。HDで仕上げるだけでも結構きめ細かな映像です。が納品はあくまでDVD(SD)映像なので本来の画質ではありません。

上映用のブルーレイも書き出し豊里での初上映会には間に合いました。

この映画の今後の展開は本来制作側の豊里コミュニティ推進協議会が行います。しかしながら映画を展開するのは大変な作業です。

私自身が展開?狭い世界しか持っていない私がこの映画を展開する?それを考えると物凄く難しいと思います。

ただ豊里、監督のフェイスをシェアするだけで反応は凄くあります。

広島の介護施設の方や同級生からも一度見せてくれ…業界の先輩からも…

どうすれば?ミヤギTV、NHK、河北新報などに取り上げられている今なら豊里の方からこの問題を地域だけでは無く日本に向けて発信し出来るので、関西に伝われば私たちが後押しも出来るかもしれません。


観た人達の心の中に何かが動く映画だと思います。いや、必ず何か感じる映画です。
脚本に示された人の心が動き温まる、たかが40分の映画ですが
一度、二度、三度と見るたびに自分や周りに置き換え観れる素晴らしい映画だと思っています。


多くの人に見て貰えれば、それが大きな波動となるかもしれません。

これに参加したキャストやスタッフの皆さん、私も含め皆がそれを期待し、参加しました。

でも発信の波動は豊里でないとダメだと思います。その波動を消さない努力はするつもりです。どうか同じ所から出し続けてください。

私たち映画演劇屋は自分の参加した作品は子供と一緒です。
育つ過程を楽しみに、また力を添えたいと当たり前のように思っています。

今後ともこの映画
ひとりじゃない
をよろしくお願いします。