親父はまだ遊戯王もポケモンカードもなかったころ未就学児のおれにMTGを買い与え、小学生のおれにはプレステでも64でもなくドリームキャストを買い与え、中学生のおれにはリップスライムとキックザカンクルーのアルバムを買い与えるような男であるから、必然的におれの趣味嗜好はひねくれることになる。

 

そんな親父はもう70に差し掛かるころだが、相変わらず元気にポプテピピックのLINEスタンプを使いこなしており、まあおれも無事結婚して子供ができたらこういう親父になるんだろうと思うと、何か安心感というか誇らしい気持ちにすらなる。

 

そんな親父に猛烈にプッシュされたのがみんなご存知鬼滅の刃である。メインストリームを一歩外すのが美学と親父の背中を見て学んだ手前、今ど真ん中の鬼滅の刃を勧められるのは正直驚いた。でも観ると納得。めちゃくちゃ王道でありながら、やや珍妙なセリフ回しとあまりにも熱すぎるキャラ、楽に勝てる試合がない、回復に時間がかかるなど絶妙に外してる要素もあって、王道すぎないのに老若男女誰が見ても面白い新しい王道という感じでめちゃくちゃおったまげた。しかも作者は同い年の女子らしく、同じような創作物に触れてこれを編み出したのだと思うと、本当に尊敬以外の表現が見当たらない。

 

すごい当たり前だけど、流行ってるものには流行ってるなりの理由があるのである。プレステ買ってもらえずドリキャス買い与えられてしまったものだから、そんなこと考えつきもしなかった。いくつになっても新しいことを教えてくれる親父である。おれも子供ができたら年少期にスチャダラパーを教え、思春期には最強伝説黒沢を読ませ、社会人になったら鬼滅の刃を教えるような親父になりたいと思う。