2024年1月16日、足立区夫婦殺人事件が起き、夫婦の息子と交際していたフィリピン国籍のモラレス・ヘイゼル・アン・バギシャが逮捕されました。事件の概要や被害者の高橋徳弘夫婦と息子について、犯人のモラレス・ヘイゼル・アン・バギシャの動機や現在をまとめました。

足立区夫婦殺人事件とは


足立区夫婦殺人事件とは、2024年1月16日に夫婦が行方不明になって、1月18日に遺体が発見された事件です。

この事件でフィリピン国籍のモラレス・ヘイゼル・アン・バギシャ(女性・30歳)と同じくフィリピン国籍のデラ・クルース・ブライアン・ジェファーソン・リシン(男性・34歳)が逮捕されました。

高橋徳弘夫婦が自宅で殺害される

2024年1月16日20時50分ごろ、東京都足立区千住緑町に住む高橋徳弘さんの長男(31歳)から、「帰宅したら両親がいない。床には血痕がある」と110番通報がありました。

高橋徳弘さん夫婦と長男は3人暮らしで、長男が1月16日朝に出勤した時には両親は自宅にいて、特に異常はなかったとのことです。

警察は高橋徳弘さん夫婦が事件に巻き込まれた可能性があるとして捜査を開始し、自宅の1階の床下からブルーシートにくるまった状態の夫婦の遺体が発見されました。遺体は胸や腹などに刃物で刺されたような傷が複数あったとのことです。

玄関付近などの床には数か所血が拭われた痕があったほかは、室内は荒らされた形跡はありませんでした。

フィリピン国籍の2人が逮捕

防犯カメラや近隣住民の聞き込みにより、現場である被害者の自宅から約450m離れたマンションに住むフィリピン国籍のモラレス・ヘイゼル・アン・バギシャ容疑者が浮上しました。

事件当日、モラレス・ヘイゼル・アン・バギシャはもう1人の人物と一緒に行動し、血の付いた衣類や靴をモラレスの自宅近くのゴミ置き場に捨てたことが判明し、警察は行方を追っていましたが、1月19日未明に福島市内のホテルで身柄を確保され、死体遺棄容疑で逮捕されました。

また、防犯カメラの映像をつなぐリレー方式でモラレスと一緒に行動していた男を追ったところ、都内から茨城県内に移動していたことがわかり、1月22日に茨城県内でデラ・クルース・ブライアン・ジェファーソン・リシン容疑者を死体遺棄容疑で逮捕しました。

足立区夫婦殺人事件の被害者は高橋徳弘と妻の希美江

足立区夫婦殺人事件の被害者は、高橋徳弘さん(55歳)と妻の季美江さん(52歳)です。

高橋徳弘夫妻の評判



高橋徳弘さんと妻の季美江さんはどのような人物・夫婦だったのかを見ていきましょう。

高橋徳弘さんと希美江さん夫婦には遺体を発見した息子のほかに女の子(第二子)がいて、4人家族でした。家族仲は良好という近隣住民の証言があります。ただ、事件当時、すでに第二子は実家を出ていて独立していたようです。

「高橋さん夫妻、息子さん、妹さんの4人でたまに食べにきてくれました。いつもご家族仲よさそうにワイワイ食事していましたね。

被害者夫婦は共に50代でしたが、身なりは派手だったとのことです。

<高橋徳弘さん>

・寡黙であまり話さなかった

・昔はヤンキー系と思わせるタイプだった

・刺繡が入ったジャージを着ていた

・車が趣味で、なかでもスカイラインのGT-Rが好き

・ダンディなイケメン

<妻の希美江さん>

・服装が派手

・SNSの写真は金髪でギャル風のメイクやファッション

・恥ずかしがり屋

夫婦そろって派手な服装・ヤンキー系のファッションを好んだようですが、特にトラブルを起こすタイプというわけではなく、挨拶はきちんとするタイプでした。

「徳弘さんは車が趣味で、なかでもスカイラインのGT-Rが好きでした。奥さんは恥ずかしがり屋で、見た目は派手だけど挨拶とか礼儀もしっかりされている方。仲の良い夫婦だったのに、亡くなったということがいまだに信じられません」

ただ、後述しますが、被害者は夜の仕事をしていて昼夜逆転の生活をしていたために、近所づきあいはそれほどなかったとのことです。

錦糸町でハプニングバーを経営



 被害者の高橋徳弘さんは、錦糸町でハプニングバーを経営していました。

「錦糸町で20年以上続く老舗中の老舗の有名ハプバーです。客層は50代くらいの男性が中心で、常連が多い。徳弘さんはお店のオーナーで、ダンディなイケメン。恨みを買うような悪い評判は聞いたことがないです」

ハプニングバーとはその場に居合わせた人たちが突発的な性的行為を楽しむためのバーのことです。カップル、SMマニア、女装マニア、露出症や窃視症などいろいろな性的嗜好の人が集まることがあるようです。

高橋徳弘さんが経営するハプニングバーは、ハプニングバー愛好者の中では有名なお店で、人気店だったとのことです。基本的には高橋さんが1人で切り盛りして店を回していました。

人気店であり、高橋さんは羽振りが良かったとのことで、儲かっていたとのことです。

ハプニングバー経営という職業を見ると、「それが原因で殺害されたのか?」と思う人も多いようですが、高橋徳弘さんのお店や人柄の評判は上々です。

徳弘さんの人となりを知る関係者は、

「とてもいい方だったですよ。彼の商売とこの事件とは関係ないでしょう」

と声高に語った。

歓楽街の錦糸町で20年以上もハプニングバーを経営していたのですから、大きなトラブルは起こさないような堅実な経営をしていたものと思われます。

2年前に息子と一緒に足立区に自宅を購入


被害者の高橋徳弘さんは足立区千住緑町の自宅で殺害されましたが、この自宅は事件の約2年前に息子と共同で3700万円のローンを組んで購入しました。

足立区の下町にあり、敷地面積はそれほど広くありませんが、JR北千住駅から約1キロと利便性は非常に良く、新築の3階建てで、車は2台停められるスペースがある自宅です。

息子と共同名義で自宅を購入するのですから、高橋徳弘さんは家族仲は良好であり、経済的にも困窮しておらず、むしろ余裕があったものと考えられます。

足立区夫婦殺人事件の犯人はモラレス・ヘイゼル・アン・バギシャ

 足立区夫婦殺人事件の犯人はフィリピン国籍のモラレス・ヘイゼル・アン・バギシャです。モラレス・ヘイゼル・アン・バギシャは事件当時30歳・職業不詳でした。

2017年に来日後フィリピンクラブで働く

モラレス・ヘイゼル・アン・バギシャは2016年ごろに初めて来日して、茨城県のフィリピンパブで働いていました。その後、一度フィリピンに戻ったようで、2017年11月にLCC(格安航空)を使って再来日します。
再来日した翌日に浅草にある「G」というフィリピンパブで働き始めました。
「アヤ」という源氏名で働き始めたモラレスは日本語もできるし、女優の大政絢さんに似ている美貌で一気に人気ホステスになります。
そして、太客を掴みました。その太客とは積水ハウスから約55億円をだまし取った「地面師」のカミンスカス操です。
カミンスカスから寵愛を受けたモラレスは、お店のナンバーワンになり、ルイ・ヴィトンに買い物に連れて行ってもらったり、更衣旧ブランドを買ってもらったりとかなり羽振りが良かったのですが、太客のカミンスカスが逮捕され、さらに2018年には「G」も当局の摘発を受けて閉店してしまいます。
金銭トラブルを起こしていた
モラレスは、「G」が閉店した後にほかのフィリピンパブで働くようになりますが、お店を移ってからは金銭トラブルを起こすようになりました。
「何人もお客さんからお金を借りては、返済をしないんです。同僚の女性からも10万円などの借金をすることもあったそうです。返済を巡ってお客さんがお店にクレームを入れると、今度は違うお店に移籍。そのうち上野にいられなくなり、別の歓楽街に離れていたこともありました」
「自分で家賃を払うから」という約束でお客さん名義で家賃13万円をマンションを借りていたけれど、結局は家賃を滞納して、その借金を踏み倒すということもありました。
結婚歴があり子供がいる

モラレス・ヘイゼル・アン・バギシャはGで働き始めた時22~23歳でしたが、そのGのオーナーの息子と結婚していたことがあります。夫であるオーナーの息子はモラレスよりも一回り以上も上だったそうです。
フィリピンパブのお客さんにはビザ目的の結婚だったと説明していました。
モラレスは結婚の事実について、こう釈明したという。
「ビザ目的の偽装結婚だから。相手(夫)には別の女の人がいる」
ただ、モラレスは「G」が摘発された2018年ごろに夫との間の子供を妊娠し、男の子を出産しています。ただ、夫は自分の子供ではないと主張し、離婚を巡って裁判沙汰にもなっています。モラレスは一時的にフィリピンに帰国し、子供を自分の母親に預けて、日本に戻って働くことを選択しました。
病院助手として働く

出産後は上野や竹の塚、埼玉のフィリピンパブで働いていたこともありましたが、その後は夜の世界から足を洗い、「フィリピンで看護師の資格を持っている」として日本の病院で看護助手の仕事につきました。
患者さんの移動やシーツ交換、器材の洗浄などの仕事をしていて、勤務態度は真面目て愛想がよく、同僚や患者さんと日本語でコミュニケーションを取れたため、評判は悪くなかったようです。ただ、別の外国人スタッフと揉めたことで、わずか数ヶ月で辞めてしまいました。
息子と交際していた

犯人のモラレス・ヘイゼル・アン・バギシャは、足立区夫婦殺人事件の被害者である高橋徳弘さんの息子と交際していました。交際が始まったのは事件の約3年前のことです。
結婚も視野に入れた交際だったようですが、金銭トラブルなどもあり、事件当時は別れていたとのことです。しかし、交際していた時はモラレスは被害者の自宅に出入りしていて、自宅の玄関を開けるための暗証番号を把握していたため、今回の事件でもこの暗証番号を使って自宅に侵入したものと見られています。
足立区夫婦殺人事件の犯人は同郷の幼馴染
足立区夫婦殺人事件の犯人の1人はモラレス・ヘイゼル・アン・バギシャですが、もう1人の犯人はデラ・クルース・ブライアン・ジェファーソン(男性・34歳)です。
このデラ・クルース・ブライアン・ジェファーソンは2018年~21年の3年間、建設関連会社で技能実習生として働き、一度帰国した後、再び2023年7月に技能実習生として再来日しました。再来日後は茨城県土浦市にある建設関連会社で働いていたとのことです。入国後はトラブルはなく、勤務態度は真面目でした。
モラレスとデラ・クルースは、フィリピンで同郷の幼馴染だったとのことです。
一方のデラ・クルース容疑者はモラレス容疑者の同郷の幼馴染で、技能実習生として来日していた。
事件の2ヶ月前にはモラレスとデラ・クルースは、一緒に焼肉を食べて乾杯する様子をSNSにアップしていました。ただ、なぜモラレスにデラ・クルースが協力することになったのかはわかっていません。
「研修先での話や動画などを見る限りでは、よくいる陽気なフィリピン人のお兄ちゃんという感じで、とても殺人事件を起こすようなタイプとも思えない。女が彼に話した被害者夫妻に対する恨みつらみを鵜呑みにしたのか、報酬に目がくらんだのか……」
2人は恋愛関係というわけでもないようですし、モラレスがこの殺人で多額のお金を手に入れたわけでもないようです。この辺りは今後捜査・裁判が進むにつれて明らかになっていくでしょう。
足立区夫婦殺人事件の犯人モラレス・ヘイゼル・アン・バギシャの動機

足立区夫婦殺人事件では犯人のモラレス・ヘイゼル・アン・バギシャの動機はいまだにはっきりとはわかっていません。
交際していた被害者の息子から数十万円を借りていて、金銭トラブルになっていることはわかっています。
被害者の希美江さんは次のように犯人のモラレスについて話していました。
・『モラレスはすぐに長男に金を要求していた』
・『長男はモラレスと結婚を考えていたが、あの子は信用できない』
お金目的の交際だったのかもしれません。被害者の息子さんは、金銭トラブルを警察に相談しています。
結婚の話は立ち消え、昨年秋、息子が千住署に金銭トラブルを相談。モラレスに貸していたお金は50~60万円で、その後、モラレスも返金を求められていることを千住署に相談するなど、両者間に火種が燻っていた
ただ、モラレスが借りていたのは50~60万円です。2人を殺害するほどのトラブルになるのでしょうか?
この金額のほかにも借金があったのかもかもしれません。もしくは被害者の高橋徳弘さん夫妻が息子のためになにかモラレスに行動を起こし、逆恨みされてしまった可能性もあると思います。
足立区夫婦殺人事件の現在:犯人2人を起訴

2024年1月16日に起こった足立区夫婦殺人事件では、1月19日にモラレス・ヘイゼル・アン・バギシャが逮捕され、1月22日にデラ・クルース・ブライアン・ジェファーソン・リシンも逮捕されました。
モラレスは容疑を否認していますが、デラ・クルースは「間違いありません」と容疑を認めています。
また、2月8日には死体遺棄容疑で2人を起訴しました。
ただ、あくまでも「死体遺棄容疑」であり殺人容疑ではありません。今後、殺人容疑での逮捕・起訴も視野に入れているはずですので、今後さらに逮捕・起訴があるものと思われます。
足立区夫婦殺人事件のまとめ
足立区夫婦殺人事件の概要や被害者の高橋徳弘さん夫婦や息子について、犯人のモラレス・ヘイゼル・アン・バギシャの生活や動機、現在をまとめました。
今後の動機の解明や殺人容疑での逮捕・起訴があるのかどうか、注目していきたいです。