「私には男が貢いでくれる」「500円貸して」 共済金詐取、34歳“虐待ママ”の素顔を職場関係者が明かす
「貧すれば鈍する」では済まされない、鬼畜にも劣る所業である。大阪・大東市で起きた共済金詐取事件。幼い娘の体調を“支配”して故意に入院させ、自らの遊興費を捻出しようと共済金をだまし取っていた女は、およそ母親とは思えぬ暴言を娘に浴びせていた――。
当時8歳だったその少女に必要とされる熱量は1日1800キロカロリー。が、入院前の3日間で口にできたのは、わずか93キロカロリーの駄菓子のみだった。大阪府警は7月18日、共済金6万円を詐取した容疑で大東市のパート従業員・縄田佳純(34)を逮捕した。府警担当記者が言う。
「縄田の容疑は、娘に十分な食事を与えず栄養不足によるケトン性低血糖症に至らせて、今年1月22日から27日にかけて入院させ、加入する協同組合から入院保障の共済金6万円をだまし取ったというもの。現在9歳になる娘は、2018年春から同様の症状で43回の入退院を繰り返しており、縄田はその間に支払われた共済金や保険金およそ570万円を詐取したとみられています」
縄田佳純容疑者
縄田佳純容疑者(本人のSNSより)(他の写真を見る)
電話で声を荒らげ…
シングルマザーの縄田容疑者は家賃8万円弱、2LDKのアパートに娘と住んでいた。
「昨年10月、縄田に関して『子に食事をさせていない』『罵声を浴びせている』といった、虐待を示唆する情報が匿名で市に寄せられていました。市は母子と面談したものの、虐待をうかがわせる形跡は確認できず。しかし複数の情報提供があったため、11月には要保護児童に指定されていたのです」(同)
1月27日にいったん退院した娘は、2月1日から再び入院。その際、“助けて”とのサインだったのか病室でスマートフォンをスピーカー状態にして縄田容疑者と会話しており、内容を聴いた病院側が府の中央子ども家庭センターに通報していた。
「縄田は電話で『食うなよ、寝とけ』『泣くなって、うっとうしいから』などと語気を荒らげていました。これを受けて9日には家庭センターが娘を保護。通報を受けた府警は3月末、娘に食事を取らせないようにした強要未遂容疑などで縄田を逮捕します。続いて4月、自身が処方されていた下剤を娘に飲ませた傷害容疑で再逮捕。さらに6月には低血糖症に至らせた傷害容疑で3度目の逮捕となり、本件逮捕へとつながりました」(同)
詐取した共済金の使い道
縄田容疑者は福祉施設で働く一方、昨年1月以降およそ1年間にわたり、知人男性から月数十万円の資金援助を受けていたという。
「それまで娘は年に10回前後、入院させられていましたが、懐が潤い始めた22年にはわずか1回にとどまっている。援助は結局、縄田の浪費が原因で今年1月に打ち切られており、困窮して再び共済金詐取をもくろんだものとみられています」
今年1月下旬の娘の入院直後には、支援者とは別の交際相手を旅行に誘っている。これまで詐取した共済金は、もっぱらエステや外食など遊興費に充てられていた。
「娘は警察に『小学2年の頃から、しんどい時に急にママからピンク色の変な薬(注・下剤)を飲まされた』『飲むと気持ち悪くなってゲーする』と自発的に話しています。また2月の入院に関しても『夜、ママが病院に行こうかと言って、病院の駐車場で“上向いて”と言われてピンクの薬を飲まされた』『ママにメールで“しんどいから食べたらあかんで”と言われて食べなかった。お腹空いたのに、って思った』などと説明しているのです」
〈かえってこなくていいよ。うそつきやから。〉
この入院時、前述のスマホでの“恫喝”とあわせ、縄田容疑者はSNSやショートメールで目を疑うような文言を娘に送り付けていた。
〈今日ごはんぜんぶたべなくていいよ。〉
〈しんどくてたべれないってちゃんとゆいや〉
〈ずっと病院でくらし。〉
〈もういりません。さようなら〉
〈かえってこなくていいよ。うそつきやから。〉
〈けいさつにゆっとくわ。うそつきやから、もうそだてれませんって。〉
〈次ウソついたら、あんたつかまるで。〉
〈あさごはんたべれないしんどいってゆぅとき。〉
あろうことか警察まで持ち出し、実の娘に体調を悪化させるよう強いていたのである。
“お父さんは死んだことにしよう”
大東市内で育った縄田容疑者は高校を卒業後、11年から福祉関係の仕事に就いていた。別れた夫は中学時代の先輩で、10年ほど前から交際を始めて結婚。14年に娘をもうけたのだが、暮らしは2年余りで破綻したという。元夫の親族が明かす。
「奥さん(縄田容疑者)の実家は当時、運送の仕事をしていたと聞きました。結婚の時は両家の顔合わせもなかったといいます。夫婦と娘さんは当時、彼(元夫)の実家近くにあるハイツに住んでいたのですが、奥さんが自分と娘の分しか食事を作らなくなり、夫婦仲が悪化していった。そのうち奥さんが『(夫に)触られるのも気持ち悪い』と言い出して、2~3カ月こじれた末に離婚することになりました」
話し合いのため、縄田容疑者が両親とともに元夫の実家にやって来たのだが、
「こちら側が話を切り出すと、奥さんとその母親は泣き始めたというのです。奥さんは当時、パートも長続きせず、本心では止めてほしかったのかもしれません」
それでも16年に離婚が成立し、
「双方で“今後は一切会わない”と取り決め、奥さんの意向もあって幼い娘さんには“お父さんは死んだ”ことにしようとなりました。金銭の話は出ませんでしたが、しばらくして先方の弁護士から連絡があり、娘さんの養育費をもらいたいというので、こちらは20歳になるまでの500万円を一括で支払うことになったのです」(同)
それらが遊興費に消えたのは想像に難くない。
「500円貸して」
縄田容疑者を知る、府内の福祉関係者が明かす。
「大東市をはじめ寝屋川市や摂津市の福祉施設など、彼女は職場を転々としてきました。大体1年ほどでトラブルを起こして辞めていくのです。仕事をさぼっては同僚に『私には男が貢いでくれる』と自慢したり、他のスタッフがユニフォーム姿なのに一人だけブランド物のシャツに高級アクセサリーをまとって出勤したりと、完全に浮いていた。共済金についても『1週間入院でこれだけもらえる』などと吹聴していましたが、金遣いが荒く、懐が苦しくなると周囲に『500円貸して』『食べるものない?』などと声をかけていました」
縄田容疑者の兄は、
「事件のことは何もわからんから答えられへん」
と言うのみ。前出の記者によれば、
「縄田は現在も『健康のために下剤を飲ませた』『わざと低血糖にはさせていない』と、一貫して容疑を否認しています。別の期間の共済金詐取については病院や共済団体の裏付けも必要で、立件するにしても時間がかかる見通しです」
唯一の救いは、すっかり回復した娘が家庭センターから元気に通学しているということである。
週刊新潮 2023年8月3日号掲載
特集「〈ずっと病院でくらし〉〈もういりません。さようなら〉 娘に下剤で『共済金』を吐き出させた大阪『34歳シンママ』は“鬼畜”以下」より