ส้มตำ
僕らの生物としての行動の全ては、
❶出る、
❷出ない、
❸出そうである、
❹出なかった、
❺出ちゃった、
の5段階活用である。
排泄も、
排尿も、
射精も、
罰当たりではあるが出産さえ、
全てがこの活用の内にある。
だが特に射精は、
この活用の段階こそが、
男にとっての生き様の裏返しである。
上述のソムタムは、
僕が彼らにこの5段階活用を求める合図であって、
僕が彼らにこの5段階活用を強請る暗号であって、
これを認められた後の一刹那は、
彼女らにとって全くの奉仕の時間であった。
彼女らにとっては長い人生において、
全くの無駄な時間で
憂鬱で、
退屈で、
筋肉痛で、
これをしながら他の事をするわけにもいかず、
これをしながらyoutubeを視聴する訳にもいかず、
これをしながら家事をするわけにもいかず、
これをしながら子育てをするわけにもいかない。
これをしながら友達と、
お喋りをするわけにもいかない。
こんな事をしている間に、
何皿のソムタムを作れるか分からない。
終わるまでただひたすら臼を撞く永遠の絶望。
この5段階活用には、
時間を見積る目安が無い。
男は快感をより長く求め、
男は快感をより多く求め、
男は喜びを知ると知るほど、
免疫と鈍感が深まり、
やって上げれば上げる程、
出るまでの時間は永くなり、
やがて、
女は疲れこの言葉を呟く。
- C'est lourd: （セ ルール） 意味：「重い」「面倒だ」。
- Ça me gonfle: （サ ム ゴンフル） 意味：「（うんざりする）」「腹が立つ」。
- Ça me saoule: （サ ム ソール） 意味：「（イライラする）」「うんざりする」。
- C'est une corvée: （セ チュヌ コルヴ） 意味：「退屈な作業だ」。
そして、
女が疲れ、
女が窶れ、
いつしか老いが彼女に漂うと、
男はいつのまにか女を可哀想だと言い、
ソムタムだけはアウトソーシング、
ソムタムだけなら感情は要らない、
とそそくさと他所の女への、
不明の外出許可が多くなる。
不明の匿名電話が多くなる。
全く持って男は、
嫌、
全く持って僕は、
罪深き動物であった。
時々自分が嫌になる。
自分が絶頂に達した後、
その自己嫌悪の引き潮はやって来る。
ベトベトに汚く項垂れた彼を見て、
二度とすまいと虚しく誓う。
そして心から本当に、
彼女の疲れを癒し、
彼女の苦労を慈しみたくなる。
しかしその時彼女はあちらに寝返りを打ち、
何も言わずに寝息をたてる。
この疲れの原因は僕以外の誰でも無い。
5段階活用の中で、
射精だけがこの思いを迫る。
誰も排泄や、
排尿をして、
虚しい思いをする人は無い筈だ。
それが何よりの証拠だ。
だから僕は、
もう３年も射精をしていない。
行けば萬事如意、
行かなければ事事不順、
行きそうなら風前灯火、
行かなかったは稀代不朽、
行っちゃったは破竹之勢、
そしてそれは、
頼母再請
連日連夜
頻頻再三
じっと手を見る
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