2024/9/4

119 右半身初期健康詩集④

⑤尿瓶の交代 5時半頃

⑥マウスピース

⑦手との会話

⑧マスクの写経

 

因みにこの記事は、

実際の生活のノンフィクションを、

詩形式、時系列で追っており、

バラツキはありますが、

時刻を記しておきます。

 

⑤尿瓶の交代 5時半頃

 

尿瓶は1日に一回交換だ。

介助の人達は確実に交換してくれる。

有り難い事だ。

夜はいくら自分で動けるとは言っても、

通常の立ち便器の前は狭く、

未だ僕には立ちションは許可されていない。

それに一日に10回以上尿瓶を使うので、

夜は尿瓶ライダーはお休みだ。

夜は薬を飲んでいないので、

それほど排尿回数は多くない。

この薬を飲まない事が、

健康な障害者の一つの目標だ。

 

⑥マウスピース

 

❺夏の夜に

❼鼻で呼気引く

❺眠り落つ

❼マウスピースに

❼犬歯忍ばす

 

❺ナツノヨニ

❼ハナデコキヒク

❺ネムリオツ

❼マウスピースニ

❺ケンシシノバス

 

夏の夜は短い

今日も鼻呼吸対策をして

夢一つ見ない、

深い眠りに落ちる。

あの肉食動物の時代の名残りである、

犬歯をマウスの内に忍ばせ

 

⑦手との会話

 

僕の右手は、

幼稚園の時、

僕自らの、

路上への飛び出しによって、

路上への左右未確認によって、

骨折した。

全治3カ月だった。

 

僕の右手は、

数年前、

僕自らの

暴飲暴食による、

高油脂血液による、

脳出血によって、

麻痺した。

全治は不明だ。

 

お祈りの前に、

僕はコロナ対策の、

アルコール

(濃度70%以上95%以下のエタノール)を使い、

右手、

左手、

そして、

右手のと一緒に働いてくれている、

マジックハンドを、

洗う。

消毒する。

コロナを、

汚れを、

落とす。

いつの日かこの右手が、

正常になるのを待って…

いつの日かこの右手と左手を、

胸元で合掌出来るように。

 

⑧マスクの写経

 

これが正しい事かは知らない。

これが正しい作法かは知らない。

でももう一年以上ここに来てから、

2日に一遍、

マスクに勤行のお経をマジックで書いている。

勤行の最初の解穢真言に始まり、

勤行の最後の大金剛輪陀羅尼に終わり、

マスクのスペースが許される範囲内で、

お経を書いている。

 

その思いは当初コロナ対策であったが、

今はそれだけではない。

その思いは大仰ではあるが、

仏教への帰依宣言である。

 

僕はお坊さんではないので、

髪を短くはしているが、

お坊さんには敵わない。

でも少しでも僕は、

仏教徒である事を、

皆さんにPRしたい。

 

そうすることで、

この愚かな不敬罪の男は、

今や迷う事なく、

涅槃の道を、

歩んで行こうとしていると、

皆さんに思って貰いたい。

この匿名の老人が集まる施設の人に、

そう思って貰いたい。

 

そして偶に誰かが、

ああ今時、

ああこの終活の時代、

こんな仏教徒も居たんだよなぁ

と思って貰えば幸いだ。

 

合掌

 

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