2024/6/14

金曜日「登場人物」と言う物語 73

バネ/発条

この物語は徹頭徹尾ノンフィクションである

ただ登場人物の名前はフィクションかノンフィクションであるか、定かではない。

更新形式であくまでも感傷を廃して記録する事。

毎回同じ様に見えて少しづつ違います。

たまに詩を添付。

 

ランス

その車は、「ランス(: lance)は、中世から近代まで主にヨーロッパの騎兵に用いられたの一種」の名前を使っているのか、それとも「フリーランス」の意味を使っているのかは知らない。ただ、当然イメージの悪い名前を使う気は無いだろうから、良いイメージとしてのネーミングは当然だ。僕は過去に東南アジアの某国でこの車を何台も乗り継ぎ、この車には詳しい。会社のポリシーで、運転手を雇ってもらえなかったので、(関係ないが)僕は少なくとも15年はこの車を5台は乗り継いだ。全てマニュアル車である。会社のポリシーでもう一つの営業の会社は運転手を雇っていたので僕はつくづくこのポリシーと言う物がいい加減な物かを知っている。如何に理の通らない理屈でも、如何に個人の我儘でも、それをポリシーと呼べば舗装された一本道だ。

この車はでも優秀な乗用車だった。これで何度もベンジャマスタサの田舎に片道9時間かけて帰ったが、一度でもエンコした事は無い。当時はそれ程、道が整備されていたわけではないから、どんな事故に遭ってもどんな犯罪に遭ってもおかしくなかったが、カミングアウトの魔法の故か、そんな事は無かった。僕は僕の車が、アフリカのサバンナを、チーターの様に走る愛車を夢想し、毎回の安全運転に感謝した。本当だ。皮肉は一欠片もない。

 

ランスとは

「ランス(: lance)は、中世から近代まで主にヨーロッパの騎兵に用いられたの一種。語源はラテン語で槍を意味するランケア(: lancea)。日本語では、「騎槍」と訳される。戦場だけでなく馬上槍試合でも用いられた。ランスはメイスと並ぶ、騎士を象徴する装備の一つであり、ファンタジーRPGなどでは、細長い円錐の形にヴァンプレイトと呼ばれる大きな笠状の鍔がついたものがよく描かれているが、必ずしも全てのランスがその形状をしているわけではない。後述の文については主に狭義の意味でのランスについて説明する。」Wikipedia

 

フリーランスとは?

英語「freelance」の語源は、中世に遡る。中世は貴族は主力となる騎士を中心とした封建軍の補強として、戦争の度に傭兵団(フリーカンパニー)と契約して戦争に臨んだ。この中には正式に叙勲されていない騎士黒騎士や傭兵団を離れ戦場に臨む兵士がいた。当時は槍騎兵(lancer)が自分の従卒として歩兵弓兵を連れている形態が多かったため、契約の際には槍の本数=1戦闘単位としてカウントされた。まだ敵勢力と契約を交わしていない(: free)戦闘単位(: lance)を指す言葉として「freelance」が用いられるようになった。当時は兵士を指していた「free lancer」が、近世以降組織を離れて働く状態を指す言葉に変化した。フリーランスのフリー(: free)は、拘束されてない(未契約)という意味で、無償の労働者(ボランティア)という意味ではない。英語でこの表現が初めて用いられたのはスコットの『アイヴァンホ』である[8]。」Wikipedia

 

そうあの日までは、そう信じていたのだ。

あの日までは、この車がこんな風になるとは思わなかった。

この車のボンネットに殺されかけた。

カミングアウトを差し引いても、その殺意、未必の故意は、

否定出来ない!とは言い過ぎか?

 

ボンネットのセーフティーとは?

「ボンネット(アメリカ英語: Hood(フッド)、イギリス英語: Bonnet)とは、自動車エンジンの上に備えられたヒンジのカバーである。

乗用車では、ボンネットは内側に隠されたラッチ(掛け金)によって固定されている場合がある。

〜中略〜

ボンネットは通常、ボディと同じく鉄鋼で作られる事が多いが、近年では軽量化の目的からアルミニウムも急速に自動車製造メーカーの中で採用が広がっている。アフターマーケットパーツメーカーの間では、FRP、ウエットカーボン、ドライカーボンなどの繊維強化プラスチック製のボンネットが製造されることもある。

〜中略〜

ボンネットは通常、室内からワイヤーで連結されたレバーを引くことでラッチを解除し、ゴムシールがボンネットを押しのけることでわずかに開き、後は人力にてボンネットを押し上げる構造を採っていることが多い。ラッチは一種の二重ロック構造となっており、レバーを引いてボンネットがわずかに開いた際に一度ラッチの爪に引っ掛かって停止するため、開いた隙間に手を入れてラッチを手動で再解除することで完全に開くことが可能となる。これは、走行中などに何らかの理由でドライバーの意図しないタイミングでラッチが解除されてしまった場合、風圧で完全にボンネットが開いてドライバーの視界を奪う危険な事態が発生することをある程度予防する効果がある。」Wikipedia

 

それは、ある日の夕暮れ時であった。いつも通勤で渋滞するサミットと言う自動車部品会社の前は何故かこの日空いていて、時速は100kmを超えていた。その日の午後、共同の運転手であるプリチャーさんが、車をチェックしてくれていたので、僕は安心して運転していた。

サミットの前は常日頃から渋滞が多い割には、事故の多いところであった。サミットと言う会社は大きい会社で、従業員が沢山いた。それで、まだその前の高速は高架が整備されておらず、10車線あるその高速道路を、そのまま渡る人があり、轢かれた。そうしてその事故が渋滞を生むと言う、悪循環の場所だった。

その前で、僕のランスはやったのだ。いきなりボンネットが空き、僕は一瞬にして何が起きているのか分からず、そのボンネットはダイレクトにフロントガラスに蓋をした。前が全く見えなくなった。幸運にも後ろから来ている車が無かったので助かった。人が集まって来たが、皆口々に言うのである。「普通ボンネットは、いくら閉めるのを忘れていても、こんな風に壊れないのになぁ」と。でも確かにボンネットは開き、前が全く見えなかった。正にボンネットはWikipediaの如き状況になり、Wikipediaの様な結果にならなかったのである。良いですか?リプレイです。

 

リプレイ

「ラッチは一種の二重ロック構造となっており、レバーを引いてボンネットがわずかに開いた際に一度ラッチの爪に引っ掛かって停止するため、開いた隙間に手を入れてラッチを手動で再解除することで完全に開くことが可能となる。これは、走行中などに何らかの理由でドライバーの意図しないタイミングでラッチが解除されてしまった場合、風圧で完全にボンネットが開いてドライバーの視界を奪う危険な事態が発生することをある程度予防する効果がある。」Wikipedia

 

如何であろうか?正に我がランスは意図しないタイミングでラッチが解除されたに他ならない。あり得ない事が起きたのだ。

そして前出のサミットこそが、この車のボンネットを作った会社だったのである。それを知ったのはこの後、サミットがこのラッチの部品の熱処理を僕の会社に持って来たからである。僕はこの後、被害者だか、加害者だかわからない状況に困惑する。

 

以上

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