2024/1/19

金曜日「登場人物」と言う物語 56

熱処理スーパーヴァイザー/ザル

この物語は徹頭徹尾ノンフィクションである

 

幻の顧客名

熱処理品の指示書がまとまって、引き出しにしまってあった事は、前回述べた。それを、善さんに言っても、真面目に取り合ってくれない旨も前回述べた。善さんは既にこの頃から、僕への逆信号を点滅させていた。彼は、徹底した現場主義者であり、現場に入る姿はまるで、海開きでプールに洋々と飛びこむタコの如しであった。彼は兵庫県明石の人だった。軍手を嵌める時の彼は幸せそうだった。僕は、段々と生意気になって来て、意見をどしどし言うようになっていた。彼は大好きな現場仕事を少しでも減らそうとアイデアを出す僕が鬱陶しかったようだ。僕は、彼の幸せに明らかにコンフリクトしていた。この指示書の発見も、彼は軽くいなした。調べてみようともしなかった。

 

ローカル文字で書かれた顧客名

僕が不思議だったのは、この指示書の顧客名が、聞いた事のないローカルネーム、或いは文字からして現地語で書かれている事だった。

 

「中央タイ語(ちゅうおうタイご、泰: ภาษาไทยกลาง)は、タイ王国の公用語。短縮形はタイ語(タイご、 ภาษาไทย[ヘルプ/ファイル] [pʰāːsǎː tʰāi])。タイ・カダイ語族カム・タイ語派に属する。」Wikipedia

環境によって、字が見れないかもしれません。

 

この言葉で書かれたら、日本人🇯🇵には流石にこの顧客が誰だかわからない。例えば、顧客名は現地語で書かない、書いてはダメと言う、田中工場長か善さんのお達しがあれば別だが、それは無かった。何故なら、善さんは現地の女性、タイ語教師と結婚している国際結婚族だったのである。つまり、彼は現地語がある程度読めたのである。だから、僕が読めるから良いですよ、とこうなる。逆に言えば、善さんが出張で日本に行ったりしたら、僕等2人は只の文盲だ。僕は善さんのこう言う所が嫌だった。仕事をしていて、目指す地点がまるで違った。善さんが目指すのは極私的工務店だった。これが事件発覚を遅らせた原因①である。

 

ザル

次の原因は、現地語、アルファベットにかかわらず顧客名の多さ、不透明度の高さである。指示書には顧客名の欄があり、そこに顧客名を書く。当然、まだITの無い時代、この顧客名の信ぴょう性は計り知れない。例えば、ソムチャイ テクニックと言う会社があったとする。本当の名前は、ソムチャイ ウサハカム(工業と言う意味)であるが、性善説に従えば、わざわざ日本人に分かりやすく表記してくれたんだなと、こうなる。登記名は、もっと違っていてもおかしくは無い。では性悪説ではどうか?例えばソムチャイ テクニックをSTと表現する場合がある。もし前回はソムチャイ テクニック、次回はソムチャイ ウサハカム、その次はSTとされたら、この名前で熱処理を持って来た場合、この品物は幻の顧客の物となる。

いや、でも、顧客名登録をするだろう?

登録は方眼紙に線を引き行う。だけど、このITの無い時代、タイプライターとカーボンコピーで伝票を作る時代、どうやってそれをチェックするのか?顧客名登録は、一社で何件も可能だ。

しかも、熱処理は顧客数が多い。僕の記憶でこの頃で300社程有ったのではないか?前回説明したパンチ一本を持ってくる顧客も含まれている。代金にして数百円。一体誰が、ひとつひとつの顧客を把握できるのか? 一体誰が与信をしたのか?

ふと耳を澄ますと何処からか聴こえてくる笊の水音。ザル、この頃のこの工場は、ザル蕎麦である。これが事件発覚を遅らせた原因②③④⑤である。

 

最低賃金

このザル状況は当然ながら、日々貧困に喘いでいる某国の社員にとって宝の山だったに違いない。誰かがふと思い付き、誰かがやらないなら俺がやると言う形でザル状況の認識は瞬く間に広まったに違いない。僕は日本で働いた期間が短く違いがよく分からないが、この国では、自分が貧乏である、自分の給料は幾らである、誰が誰より給料が良い、今年の最低賃金は幾らだと言う会話が実にオープンに行われる。この件については非常にデリケートにオープンなのだ。

 

サムットプラカンの最低賃金(日給)の変遷

1円=3.5バーツ

1999年  162バーツ

2000年  162バーツ

2005年 181バーツ

2010年 203バーツ

2015年 300 バーツ

2019年 311 バーツ

 

これだけ見てもピンと来ない筈だ。しかも、この事件の起きた時期は1995年頃である。この頃の最低賃金を探したがネット上であまり良いのが無かった。簡単に言えば、為替はアジア通貨危機の前は、1バーツが5円程度、それがこのバーツショックを機に、半分以下になった。最低賃金はザル事件発覚時、100円前後であったと記憶している

 

1997年にタイの通貨バーツが暴落したことをきっかけとしてアジア諸国?

1997年7月より、タイを震源としてアジア各国に伝播した自国通貨の大幅な下落および経済危機を「アジア通貨危機」と呼びます。 1997年5月中旬、ヘッジファンド等の機関投資家によるタイ・バーツの大量の空売りを受け、タイ中央銀行はドルペッグ制の維持(バーツ防衛)のためバーツ買いの為替介入を実施します。

アジア通貨危機 | 公益財団法人 国際通貨研究所www.iima.or.jp › abc

 

ホモ・サピエンスが前頭葉の発達によって獲得したお金と言う概念、そしてその幻。でもそれは、経済の急激な国際化によって成り立たなくなっているのだ。その証拠にエリート達が当たり前の様に、為替に介入しているではないか?為替相場とは何か?ギャンブルとは何か?このこと事態、事件とは全く関係が無い。でも今思えば、これも含めたお金と言うシステムの悲哀、悲鳴を感じざるを得ない。自分には関係無いと思っていた事が、突如自分の問題となる。このザル事件は不敬罪の嘘か誠か?

 

次回へ

 

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ネタバレはほぼ無し。

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お金を払わなくてはいい映画を観れないと言うのは妄語。

でも面白い時は🤣心から何かしたい。