2023/10/30

清水

 

昨日は、

叔母ちゃんの命日だった。

正確に言えば推定命日だ。

と、いい加減な事を書く前に調べてみた。

 

「葬祭業の者です。

孤独死には必ず警察が入り、事件性が疑われるときや亡くなった人にかかりつけの医師が無かった場合は、検死解剖が行なわれます。冷蔵庫や郵便物など現場の状況を調べることと解剖をすることで、死因や死亡推定日時が割り出されます。その結果は、「死体検案書」という形で発行され、この書面が死亡の届出や火葬の手続きに用いられます。

事件性が無くかかりつけの医師があった場合は、その医師が死亡の診断を行い死亡日を推定することもあります。

死体検案書(死亡診断書)に記入された死亡日時(推定)が、命日になります。

数ヶ月や数年以上経過したケースだと、死亡日時が「〇年〇月頃」とか「〇月上旬頃」などとなっていることがあります。この場合は、お寺さんと遺族が話し合って推定される範囲の中で任意の日に命日を定めることがあります。」yahoo

 

やはり調べて見るものだ。

勝手に「推定命日」などという、

勝手な名称で読んでいた。

80を過ぎた僕の叔母ちゃんは独身で、

所謂、孤独死だった。

秋田の家の畑で、

この寒い中倒れていたのだ。

 

運転の荒い、

性格の明るい陽気な叔母ちゃんは、

最後まで免許を返納しなかった。

寂しい死ではあったが、

あの家でいつもの調子で、

あっけらかんとしていた事を期待する。

彼女の存在は、

いつもDV父で暗い我が家を、

照らしてくれた。

 

叔母ちゃんは昔、

東京でOLをしていて、

東久留米のDVのウチに来る度に、

美味しいものを買って来てくれた。

特にケンタッキーフライドチキンは、

(昔はKFCをそう呼んだ。いい名前だ)

その中でも白眉だった。

血液サラサラの今はもう食べる事も無いが、

昔はケンタッキーフライドチキンを見るたびに、

叔母ちゃんを思い出した。

叔母ちゃんのお陰で僕はデブになった。

某国にもKFCはあるが、

日本のケンタッキーフライドチキンの方が、

格段に美味かった。

そもそも、

某国の鶏は、

要らない事をしなくても、

充分美味しいのだ。

 

これで僕の苗字は、

本家の人は知らないが、

知る限りの親戚では僕一人となった。

DVの父は既にこの世に亡く、

演技派女優の母は苗字を戻し、

二人の妹達は結婚した。

従姉妹も皆、苗字は違う。

僕も、

DVと同じ墓は嫌だと言う事で、

苗字を変える検討をしたが、

その最中に倒れ、

逃げ遅れた。

仕方なく、

この苗字を、

死ぬまで引き継ぐ覚悟は決めた。

 

5、6年前の夏、

まだ自分が不敬罪であると言うのを知らぬ頃、

僕は秋田の家に行った。

DV父の墓参りをする為だった。

所謂20歳下の「愛人」、

東南アジア女性の「藻」を連れて、

新幹線「つばさ」で、

昔は片道が一晩かかった道程を、

日帰りで。

 

叔母ちゃんは、

この突然の帰省に目を白黒させながら、

開口1番こんな事を言った。

「お父さんのお金は私が全部使っちゃったわよ!」

思えば、あっけらかん叔母ちゃん面目躍如の、

一言だった。

そんなつもりは無かったが、

そう思われたのは少し悲しかった。

 

ここの清水はとても澄んでいて、

家の前の泉が湧く池は相変わらずの美しさだった。

だから地名も〜清水だった。

子供の頃はよくこの池に、

スイカ🍉

枝豆、

ナス、

などを冷やし、

流しそうめんなどを食べたものだ。

戦艦大和を浮かべたものだ。

 

あの田舎が有ったから、

DVやら喧嘩に明け暮れた僕のウチは、

僕の幼少期は、

何とか乗り越えられたのかも知れない。

その清水で冷やしたスイカを🍉

食べさせてくれた叔母ちゃんに感謝したい。

 

清水と言う名前が似合うこの町は、

今や過疎化の進む老人の町で、

町の名前からも清水は無くなってしまった。

新しい名前のその詩心の無さに、

唖然とする。

 

そして僕の苗字も、

僕の命と共に、

誰も居ない。

二人の娘は僕と、

血が繋がって居ないと人は言う。

叶わぬ夢だが、

出来ればあの澄んだ清水に、

帰りたいものだ。

 

合掌

 
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