「登場人物」と言う物語 19
1童貞と上陸 2買春と買夏 3樹上と巻物📜4巫女と禁欲
5田舎と散逸6純粋と培養7津波とベルギー8不敬罪と星
9安倍と麻生10公務員と父11一浪一流一鮪
12選民と思想13アルバイトとあるバイト
14普通の社会人とは 15童貞喪失のヒエラルキー
16大阪の人はずる賢い東京の人は嫌いや
17鋼の熱処理 18華麗なる業界 19
この物語はノンフィクションです。
今思えば、僕は工場で働いてる🏭自分が想像出来ないし、信じられない。僕は気の弱い人間で、コネ入社して見えない所に、赤い線でも引いてもらい、こいつは特別扱い、天地無用なんて書いといて貰わないと、とても耐えられる人間では無かった。そうゆう意味では、思い出せば色々と納得出来る点に思い当たり、少なくとも就職時点ではコネ野郎なんだろうと思う。だから僕のサラリーマン観というか、工場員観というのは甘いものかもしれない。
ただ一方で、仕事というのは多かれ少なかれ、飴も唐辛子も🌶🍬あるもので、それに沿って不満やら満足やらし、その中で少しでも楽をしようと思ったら、偉くなるしかないとなり、偉くなると重い物を持ったり、熱い物を運ぶ事はなくなったが、サービス残業がふえ、威張る代わりに、心から取れる休日が減り、結局のところ、僕の日本における仕事と言う世界は、予想通りだったという事になる。
この就職してからほんの数ヶ月はしかし、随分と充実していた。今思うと、人間は(というか僕は)何か目標を持っている時は、実に素晴らしい。何でも、こなし、屈託がない。この時期に、工場で汗水流して働き、土日は、免許教習所に通い、おまけに英語教室ベルリッツにも通っていた。ところが、これらが終わり、惰性で動いている時は駄目だ。楽に走る。僕は常に外圧でプレッシャーをかけられていないと、自らの手で圧力が作れない人間だ。
工場🏭は、「華麗なる一族のウオーターライン分」、1/700位の工場で、従業員も20人ちょっとだった。どこかの大きなプールぐらいの広さの工場の中に、青ペンキが塗られた機関車みたいな炉が、ところ狭しと置かれていた。この工場の主役は正にこの炉であり、焼入れ炉と焼き戻し炉と言う2種類が主であった。主役は彼らだったが、この炉に品物を入れて処理をするのは、僕達の仕事だった。
この青い炉は、なんと言うか、僕が想像していた炉とは大層違っていた。内向的なのだ。外から見ると何もしていない様に見える。ところが、小さな窓を覗くと、四角や丸の積み木のような鋼が、光を発して何かに耐えている。そうゆう状態で、7時間、或いはそれ以上の温度で加熱している。そして、処理が終わるといろいろだが、灰色が多いが、何もなかったかの様に出てくる。以降気が付いたのは、この外側に対して何事も無く、内側に内向的、或いは内弁慶というのは、大概の設備の基本だという事だ。
では、そんな炉の中で何をやってるのか?色々なパターンがありそれを全て思い出す気はない。そこで、焼入れ焼き戻しについて、少し。何故ならその熱処理が全体の8割方だったと思うからだ。
鋼の焼入れ焼き戻し作業とは、鋼に硬さを入れる作業である。つまり、武士が持っている刀に熱をかけ、真っ赤にし水に浸けているのを見た事は有りませんか?あれを、先般の内向的な熱処理炉で行うのである。刃は水で冷やしているが、この工場に持って来られる鋼は大体が金型である。少なくとも直接的には人を殺す道具ではない。ここに金型の写真を添付するが、これでイメージを逞しくして欲しい。僕はこんな事に、見たり触れたり、関わった事もありませんと言う人は健全だ。
前に積み木と言ったが、金型の大きさは様々だ。そして、金型は、実際に金型を使って作ろうとしている物より大きい。横90cmX縦60cmX高さ80cmのサイズにハマる物が多かった様に思う。でも物によっては、2mの大きさの物もあった。ここで気がついて頂きたいのは、ここの品物は、クリーニング店と一緒で、人の金型を預かって処理をする仕事と言う事だ。
お客様から預かった物に熱処理をして、必要なスペックを出して、お客様にお返しする。これは覚えて置いて貰いたい。それが故に、起こるミスは物によるが、並大抵ではない。酷い時は弁償するものも出る。なんで、こんなストレスフルな仕事があるのだろうと不思議に思うが、世の中には更にストレスフルな仕事がいくらでもある。首相の秘書官やって身代わりになって自殺するなら、仕事のストレスなんて何で計るんだろうと思う。僕は、ストレスは仕方ないと思う。でも、死に方としては僕の人生みたいに下らないとも思う。だってアンタ、何の為に生まれて来たんだ。中途半端に肯定する奴ほど、要領よく立ち回り、自分に周るストレスを軽減している奴だ。
次回に続くが、ストレスフルな仕事をしている人は沢山いると思うが、まさかその事が、僕のせいだなんて、気が狂って思ってる人はいまいか。
かの国を出る時、帰りのバス、街を往く人々の目が悉くそういう眼をしていた。こうやって、小泉は、自分への派遣の怒りを僕に向けていないだろうか?あんたと僕に何があったのかも知らないと言うのに。
「スケープゴート(英: scapegoat)は、「身代わり」「生贄(いけにえ)」などの意味合いを持つ聖書由来[1]の用語。「贖罪(しょくざい)の山羊」等と訳される。
現在の意味はこのやや宗教的な意味合いから転じて、防衛機制のひとつとして不満や憎悪、責任を、直接的原因となるもの及び人に向けるのではなく、他の対象に転嫁することでそれらの解消や収拾を図るといった場合(投影)の、その不満、憎悪、責任を転嫁された対象を指す。簡単な使われ方として、事態を取りまとめるために無実の罪を着せられた「身代わり」や、無実の罪が晴れた場合の「冤罪」などが存在する。」Wiki