「登場人物」と言う物語17
1童貞と上陸2買春と買夏3樹上と巻物📜4巫女と禁欲
5田舎と散逸6純粋と培養7津波とベルギー8不敬罪と星
9安倍と麻生10公務員と父11一浪一流一鮪
12選民と思想13アルバイトとあるバイト
14普通の社会人とは15童貞喪失のヒエラルキー
16大阪の人はずる賢い東京の人は嫌いや
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この物語はノンフィクションです。
この大阪の会社で僕が会社に伝えていたのは、僕の目的はかの東南アジアの国に行きたいと言う一点です。つまり、あなたの工場がそこにあって、日本人の駐在員がそこにいる、その事を重視して会社に入ったのです。年上の偉いさんと話すのは苦手だが、いざという時は僕は図々しい。そこは、僕はブレませんよと言っておいた。この売り手市場の就職の時に、僕の友人は、次々と大手企業に入っている。有名企業に入っている。(後で知ったのはそれも僕のコネだが)僕が如何に僕の目的に純粋であるか分かって欲しいと、アピールした。入って、何年も東南アジアに行けず、この会社で腐る事はあり得ませんと言っておいた。
ところで、この会社はコテコテの大阪の会社だと言ったが、総務部長はコテコテの東京人でおまけに癖があった。実は僕はこの人が嫌いじゃなくて、この言の葉に皮肉を交えるおじいさんにちょっと好感を持っていた。今は流石に鬼籍かと思われるが、彼を好きな理由は、大阪の人が彼を嫌いだからだった。何故なら大阪の人って直接文句を言わないで影でコソコソやるところがあって、これも嫌いだった。この人の性格では嫌われるだろうと言う点が僕は好きだった。それも僕には敵わなかったが。
この人は、総務部長兼人事部長であったから、僕にとって最も重要な人間であった。彼によれば、今4月であるが、今年中には必ず赴任させてやると言う事であった。唯、海外に行くというのは、その国にとって来る人間の利用価値を見る。今の君は、何せ文学部で鉄鋼とは何の関係も無い。だから、会社としては、熱処理工場に入ってもらい、知識をつけて行ってもらいたい。と言う。一々ごもっともで、唯、熱処理工場とは何とも不安である。
鋼の熱処理の基礎知識は?
「熱処理とは、鋼を一定以上の温度に熱し、冷やすことで組織を変化させ、より良い鉄鋼製品を作るために使われる手法です。熱処理は、鋼の強度や粘り、耐疲労強度、耐衝撃性、耐食性、被削性など、さまざまな性能を高められることから、鋼の加工において欠かせない技術といえます。2022/10/04
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熱処理の基礎知識|種類の違いとそれぞれの効果を解説- MONO塾
鋼の熱処理」
熱処理と言う言葉からして、関わら無ければ、縁の無い業界である。まず重要な事は、鉄と鋼というのは違う物だという事である。おまけに言うなら、僕は、銅も、真鍮も、銀も、金も、それ程変わらない物であると思っていた。まずはあくまで、鋼と鉄と言うものは違うと言う事を理解し、鋼はその混ぜ物によって沢山の種類があると言う事を理解しなくてはならない。その中でも特殊鋼と言う分野を会社では扱っていた。
この鋼と言うのは、外見上は銀色で、表面が黒く焼けていて、ペンキで色が塗ってあったりしているが、丸いものも四角いものもあり、取り急ぎ○で説明すると、小さいもので径10cm前後、大きいもので径50cmを超えるものがあり、これを図面指示に従い切断し、加工する。代表的な例で話すが、それが金型である。そもそも金型などと言う呼び名を今この病院で人に言っても、ポカンとされるだけだろう。金型は、殆どの製造業種で使っている。鉄、アルミ(これすら鋼と同じようなものだと思っていたが)プラスチック、これらを加工する為に使うのが金型である。自動車なんていうのは、金型なしに成り立たない製品だ。
この、金型材料の切断、配送、販売が、私の入った会社のメインのビジネスであった。では、熱処理は?
単純に説明すると、金型は、切断加工する時は軟らかい方が良い。そして、金型として使う時は、硬い方が良いし、或いは何らかの機能を持っていた方が良い。つまり、全てでは無いが、金型はある程度加工してから、熱処理をして機能を完成させ、最後にもう一度仕上げの加工をして使えるものとなる。お客さんは、日本或いは世界各地におり、金型の熱処理前と熱処理後で大きくプロセスが分かれるわけではない。であるから、出来ればこの金型の熱処理工場は、お客さんの側にあった方が良い。
鉄の材料を作っているのは、メーカーのそれこそ大工場で、こんな大工場に限ってとんでもない僻地にあって、簡単に行けないような所にあって、私のいた会社などは問屋(とんや)とも呼ばれ、あちこちに支店を作り、お客さんの側にいて小回りが利いた。それで、熱処理もやってるところが多かった。僕の入った会社も正にそれで付加価値を訴求し、大阪、名古屋、北海道などに熱処理工場を持ち、ドンドン潰れて行く同業者にアドバンテージを持っていたのであった。
僕が熱処理工場で働けたのも、純粋に製造工場だったのではなく、熱処理と言う、クリーニング屋みたいな仕事であった為に、それ程シビアな製造現場で無かった事はラッキーであった。
合掌