尊敬と謝罪イラチと言う欲望①14

 

この、金曜日と土曜日の投稿シリーズは、全てノンフィクションである。金曜日は、一連の私の人生の流れ、時制順番に沿って投稿しているが、土曜日は、僕の人生の中でも興味深い事を時制に関係なく投稿している。重要な事は、就職以降の僕に起こった出来事は、全てフィクションであると言うことが、ノンフィクションであったと言う事である。よく頭の中で吟味して貰いたい。自分の30年の人生は、ノンフィクションだと思っていたらフィクションだった。こんな事を、一個人にやって何が利益があるのか?と思うだろうが、あると思わなきゃ、こんなに長い間やる訳がない。最後の娘など、分娩室で偽の出産までして見せたのだから、これは、何を信じていいかわからない。

 

ここにふたり、これだけの状況にありながら、自分を押し通し、真実を貫いた人がいた。と言ったらあなたは信じるだろうか?1人は妹であり、彼女に迷惑はかけたくないのでこれ以上言及しない。もう1人は故人Sさんだ。前の会社から始まり、前の会社を辞めた僕は、友人と起業をし、その時まで常にSさんに大変お世話になり、そして最後に裏切りもしてしまった。そのSさんの事を語りたい。そして、ご冥福を祈りたい。

 

その時Sさんがいたのは、所謂自動車部品メーカーであった。この業界は大変厳しい業界だと思う。自動車ではない。自動車部品メーカーである。お客さんは自動車メーカーであり、納期、品質、コスト、全てにおいて厳しい。一方の自動車メーカーはこの世の春である。こう言う天国と地獄が今実際にあると考えておいて貰いたい。もしあなたの知り合いが自動車部品メーカーにいるのなら、職種にもよるが、その人の頭の中には常に、仕事があると考えて貰って差し支えない。お客さんには突かれ、自動車部品メーカーには更に下請けがあり、今度はそちらを突つき。多分心から休む日は無いだろう。こう言うと、自動車メーカーをディスっている様に聞こえるが、でもこの構造はどうしようもないのだ。事実だし、この状況に如何にして、順応するか?だ。自動車メーカーだって、納期を設定しなきゃいけないし、品質は落とせない。コストが高ければ車は売れない。みんな、頑張らなきゃ食っていけないし、日本は特にこの自動車産業で国を支えている。その状況を話したからと言って、ディスっているとは言えないだろう。この世の花ではあるが、それは不安定な花であると言う理解が欲しい。

 

そう言う業界に、僕も関わっており、Sさんと仕事をさせて貰っていた。Sさんは、僕より10年位上で、大阪の人だと思っていたら、五島列島の人だった。

 

「五島列島(ごとうれっとう)は、長崎県西部に位置する列島。全島が長崎県に属し、人口は約7万人。長崎港から西に100kmに位置し、北東側から南西側に80km(男女群島まで含めると150km)にわたって[1]大小あわせて152の島々からなる[2]。」Wiki

 

大阪には、結構九州の人が多いと思っていたが、この五島列島と言う島に生まれ育ったこの人は、荒波のように気性が激しく、僕の人生の中でどう考えても一緒に仕事の出来る相手じゃなかった。ある自動車部品を作る為の金型のサポートをしたのだが、僕は流石に挫けた。「無理」だった。ところが、彼から折れて来た。本当に仕事の鬼だった。突進力の塊だった。でも人徳があった。それで僕は気が付いたら、ドップリと自動車部品製造の世界に浸かり、この人と1週間に2〜3日は会う仲となった。

 

この人は、ある時点まで間違い無く、「ノンフィクションがフィクション」プロジェクトのメンバーであったと思う。何故なら、あの国で最も恩恵を被っていた日本企業が自動車業界だったから。この人は今後も物語の中に何度も出てくるとは思うが、全物語の後半は、物語の流れはこの人が強引に作ったようなものだったから。でも、残念な事にこの人は病気になってしまう。「それも、フィクションじゃあないのか?」と貴方は言うかも知れない。でも、僕はあの人しか出せないシグナルを貰っていた。そうして亡くなった。だから、あの人は、フィクションで死ぬ事は出来なかったと考える。あの人は、自分を押し通す人で、それが王様でも平気な人だった。ましてや…。

 

続きは次回。

 

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