マラソン
雑学ネタ帳
「紀元前450年のこの日、ペルシャの大軍がアテネを襲いマラトンに上陸したのをアテネの名将ミルティアデスの奇策でこれを撃退し、フェイディピデスという兵士が伝令となってアテネの城門まで走りついてアテネの勝利を告げたまま絶命したと言われている。
1896年(明治29年)にアテネで第1回オリンピックが開かれるに当たり、この故事を偲んでマラトンからアテネ競技場までの約40kmの競走が加えられ、初めての「マラソン競走」が行われた。」
今日はマラソンの日だ。
車椅子の速度は、マラソンに参加した誰よりも遅かった。
かつて、車椅子に乗っていなかった彼は、誰よりも嘘つきだった。
この南の王国の人々は誰よりも誇り高かった。
彼の足が麻痺して使いものにならなくなるのを待っていた。
王のディオニス2世は父のディオニス1世に言われていた。
20年だ。20年待て。20年辛抱しろと国民に伝えろ。
あの男が、自然に体を悪くし、自業自得で倒れるのを待て。
また、そのように仕向けるのだ。
その倒れる少し前に、あの男に我我の怒りを伝えるのだ。
そして、マラソンの街を見せしめに走らせるのだ。
20年彼は、この国に生活し、
それは美味しい肉を食べ、
それは高級な魚介類を食べ、
それは高い酒を飲み、
それは行く店行く店、
何人もの女性を腋の下に抱え、
何人もの女性と夜を共にして、
この国の女性を馬鹿にする行為をした。
付き合う女性の年齢に節操はなく、
12年の年の差の娘メイジと女の子を2人、
20年の年の差の娘ミオンとも女の子を1人作った。
住む家も新築の背の高い豪儲な家か、
窓からプールに入れるコンドミニアムで、
何軒も人の財産を取り上げ、
全ての貧乏人を軽蔑した。
人を信じないが、人をこき使い、
人はお金で動くと、お金をばら撒き、
役に立たぬと思ったものは、連絡を絶った。
彼の国でも、彼の母すら彼を良しとするものはおらず、
そうしてついに、ある日倒れ半身麻痺となった。
いや、正確には、
自分の置かれている立場を最後の同居人ミオンに知らされ、
何もかにもが幻だとしらされ、
南の国を追放され、
寒く貧しい自分の国に帰り、
そこで、倒れた。
そうして彼は、車椅子が無ければ、どこにも行けなくなった。
全ては、南の王の思い通りになり、国民は溜飲を下げた。
そしてある夜から彼は、
車椅子で、
沢山の、南の国のランナーと、
マラソンをするようになった。
車椅子では、相手が歩いていても勝つことは出来なかった。
彼は、自分のした過ちが何なのか分からず、毎日夢の中で車椅子を漕いだ。
病院で最初寝たきりだった彼は、次第に元気を取り戻し、
車椅子に乗るようになった。
夢の中でも、そして現実でも彼は車椅子を漕いだ。
そうして、彼が同じ様に車椅子を漕げる様になった時、
マラソンの夢は見なくなった。
彼は悲しんだ。
自分にこれ以上マラソンの夢を見させてください。と。
合掌
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