食べる欲望⑤

 

大学では、過食分所得と言うものが、出来て、これが食べる量を加速する。

「収入のうち、税金や社会保険料などを除いた所得で、自分で自由に使える手取り収入のこと。給与所得者の場合は、「給与収入金額-(社会保険料+所得税・住民税の額)」がこれに当たる。可処分所得に占める消費支出の割合を消費性向、貯蓄に回った割合を貯蓄性向という。

https://www.sc.mufg.jp › terms

可処分所得(かしょぶんしょとく)- 三菱UFJモルガン・スタンレー証券」

大学ではバイトと仕送りなどがそれに当たり、下宿において自分の体の自分によるマネージメントが始まり、当然マネージメントと言うよりは、鎖を外された弱き肉食動物で、異常な大食い過食状態、それに加え、高校で覚えたアルコールが、やっと味を覚えた時期、体重は絶好調のピークを迎える。100kg越えだ。

 

「エンゲル係数(エンゲルけいすう、英語:Engel's coefficient、ドイツ語:Engelsches Gesetz)とは、1世帯ごとの家計消費支出に占める飲食費の割合(パーセント単位)のことである[1][2]。〜〜〜略

"エンゲル係数の値が高いほど生活水準は低い"傾向にある。これは、食費(食糧・水など)は生命維持の関係から(嗜好品に比べて)極端な節約が困難なためであり、これをエンゲルの法則という。経済成長に伴い生活水準が向上していくため、エンゲル係数は経済成長に伴い低下していく。」Wiki

 

この頃、人にはエンゲル野郎と言われていた。でも思うに、勉強をしない学生が何をするのだろう?食べる、飲む、寝る、自慰するでは無いのか。そんな生活をしている自分が美しい訳が無い。従って女にモテる訳も無く、外国で童貞喪失となるのである。僕の住んでた京王永山駅の近辺は、国道が走り、フランチャイズ店が軒を連ねていた。吉野家、長崎チャンポンリンガーハット、デニーズ、スカイラーク、セブンイレブン、ロイヤルホスト、フォルクス、モスバーガー、ピザ屋?、特に利用率の高いのは、吉野家とデニーズだった。デニーズの良いところは、コーヒー一杯でも☕️ダラダラと入れるところだと人は言うが、エンゲル君に取っては、夕方ハンバーグセットを食べて、コーヒーを飲みながら映画とAVの話をしながら一泊し、朝ドリアを食べる。そして帰りの道すがら、吉野家で「ちょっと食い足りないよね。お昼の分買っとこう」と、控えめに牛丼の並を買いメットインタクトに入れ、部屋に着いた途端食べてしまい、また昼にごそごそと近くのほかほか弁当を買いに行く。

 

会社に就職すると、会食が増え、様相はやや一変する。

会社に入って驚く事がいくつかあった。

❶仕事をしなくてはならない(当たり前だが)

❷大学時代のような2カ月休みなどあり得ない。精々1週間。

❸熱処理工場は暑い。

❹一人でご飯を食べる回数が減る。

❺入りたてでまだ確執が少なく、よく誘われて、よく奢って貰える。

❻2次会、3次会がある。

などで、お陰様でエンゲル係数が下がり、学生時代の借金を何とか返す事が出来た。特に❷は今考えると、親が教えておくべき事だが、都立高校の先生では、常識が違うのだろう。担任さえ持たなければ、週休3日からあったのではないか?まさか、世の中のサラリーマンがあれほど働いているとは、恐れ行った。でも料理は当然居酒屋系、しかも大阪の料理は揚げ物が多く、この頃から命のすり減らしが進んだに違いない。

 

そんな生活も1年もせず終わり自称発展途上国に赴任になった。この国の料理は、今考えると、後で覚えたベトナム料理の方がよほど美味しかった。あそこは、味の素系列であまり辛くない。微妙な味付けが分かった。

自称の場合、唐辛子主体では、何を持って味の違いが分かろう。辛いので、ビールに傾いてしまう。でも、低いエンゲル係数で量と質を確保できる。不衛生なので、時々下痢、食あたりになり、からだから糖質を排出し易かったのだろう。いずれにせよ、大学時代ほど太る事は無かった。ただ、この国にある他の国の料理が、大変だった。日本料理はまだ何ちゃっての時代で、ヨーロッパ料理、中華料理、ただ値段が高く美味しくない。つまりこの国の料理でないというだけで値を吊り上げる傾向があったのだと思う。でもこれも赴任後10年以上が立つと、日本料理も含めて洗練され、40代後半のそんな時に僕に糖尿病疑惑が生じ、僕は糖質ダイエットに走った。

 

「食べる欲望」に初めて黄信号が点滅した。

 

 

 

 

 

 

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