右隣のおじさん
僕が毎日三食を一緒に食べている
右隣のおじさん「オイワイ」さん
僕はこのおじさんと言葉を交わしていない。
何故なら一度おじさんの席に何かを置いたら、
ワイワイ怒ったからである。
こうゆう怒り方を、かの国では「オイワイ」と言う。
全くこのおじさんの怒り方は「オイワイ」だ。
妥協なく交渉なく外交なく、ただ怒っている。
僕は怖い。
僕がこの人の様になる可能性が怖い。
以前はきっと頭の切れる人だったに違いない。
なかなかハンサムで多分女性にも持てたろう。
今は僕と同じ右麻痺で、+認知症の「オイワイ」さんだ。
「オイワイ」さんはテレビの前に一日中座っている。
テレビのチャンネル権は彼が握っているらしい。
でも、よく見ると彼の目は宙を泳ぎ、瞑り、
テレビを📺見ている様には見えない。
でも誰かが、それを指摘すると「オイワイ」さんだ。
毎日テレビは彼の占領下にある。
今日も介助の姉さんがテレビのリモコンを探していて、
「オイワイ」さんが隠し持っていて叱られていた。
介助の姉さんに武装解除され、
初めて僕らはニュースが見れる。
「オイワイ」さんは、こんな時、
素知らぬ顔で薬💊を掻き混ぜている。
ニュースなど知ったことじゃない。
ニュースなどくだらないとでも言いたげに。
俺は今日、国会中継を見るんだとでも言いたげに。
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