龗一族とのお話。@.137
《龗一族の領域を出入りするものたち①》
それは龗一族達に許可された者だけが、龗一族の領域、特に家付近の出入りを許されている。
家から離れた領地では、許可していない強い力を持つ者の侵入は禁止されていて、
それは例えば日本の神様や不思議な存在達は「我が日の本の国の一部だから」と入ってくる事もあったが、崇一朗兄さんと万寿さんはそれらの不可侵を求め、
《西の国の者達とネ(ねの)国から庇護を得る》事で絶対侵域にした。
そのため、西の国とネ国は人間の世界で言う地獄や死人の住む所であり、それらを支配する者達との関係で、彼らの出入りが度々ある。
日本の根(ねの)国といえばイザナミ様が御座す所だと思うのが普通だろうが、日本には根の国を支配する神々や存在達がたくさん在る。
龗一族と関係のあるネ国は、大土地(おおとち-大宇宙-と書く)の神様(日本古来の宇宙神)たちの御座す国である。
※龗一族は天照大神様たちとは別関係らしい。
土地の神様の加護を受けている者ならば臨死体験で龗一族の家を訪れる事は可能であるが、数多の門番がいるため、それが叶うかは彼ら次第らしい。
もちろん、だからと言って両国出身なら誰もが入れる訳でもなく、万寿さんの旦那様と万寿さんの許可が要る。
最近では時代が変わったと崇一朗兄さんは言っていて、それらの侵入の監視を正景兄ちゃんがハイテクに務めている(実はすごい正景兄ちゃん)
正景兄ちゃんは頭の回転は早い方ではないが、学び得た情報や知識の記憶力がずば抜けていて、一度でも会った相手を覚えている。
龗一族の領域は家からかなり離れた北側と西側に出入口があり、その少し手前に霊道がある。
死んだ人や、不思議な存在達がその辺をさ迷っている。
ワシと崇一朗兄さんにとっては、最悪の場所である( ・᷅ὢ・᷄ )
そして、崇一朗兄さんが自分の旧邸に近寄らないのは、その霊道から幾分離れていても、近いっちゃ近いので近寄らない(爆笑)
でも、そこに狐さんが居るのでワシもビクビクしながら行く(笑)
龗家から狐さんの棲む所までは、徒歩で40分以上か、1時間弱くらいはある。
ワシは大阪人でも驚きの徒歩足の速さ(走るのは遅い)
神奈川に住んでいると、何十何百人もの目の前を通り過ぎる神奈川県民を蹴り飛ばしまくってしまうほど速かった。
つまり、めちゃくちゃせっかち歩き。
その足で40分だから、普通ならば1時間は余裕で超える距離である。
ある時、崇一朗兄さんがワシに安全な車を作ってくれた←
一人乗り足漕ぎ車である( ・᷅ὢ・᷄ )
もちろん人を跳ねるか轢くことも出来るが、足漕ぎ車でそれを行うには人ならぬ脚の筋力と瞬発力、スピードが必要である(苦笑)
相手を轢き殺すならば完全に止まっている状態でなければ無理だ。
まずそれ以前に、龗家には人間がワシしかいない。
現実にこちらへ足漕ぎ車を持ってこれても、漕ぐ脚の負荷は片足の一漕ぎで60kgを裕に越える。
その一漕ぎで進めるのは、タイヤの円周分だけである。
一漕ぎ1m以下。
つまり、歩いた方が早いし疲れない(大爆笑)
私はこの事に、龗家の東玄関を出て2分(数メートル)の所で気づいた。
作ってくれた崇一朗兄さんはとてもショックだっただろう…
ワシもショックだ( ⌯᷄௰⌯᷅ )
ショックを受けたワシは、後ろで見送る崇一朗兄さんを気にせずに言った。
「疲れた…( ⌯᷄௰⌯᷅ )」
崇一朗兄さん「…そうだろう…( -᷄ω-᷅ )」
崇一朗兄さんは、すぐに足漕ぎ車を作り替えた。
ペダルの足漕ぎ部分が自転車のようではなく、何か三本になった。
崇一朗兄さん「まーちゃん、これがクラッチペダルだよ( ◜ᴗ◝)」
何を言ってるのか意味が分からないのですが←
そんな顔をしていると、崇一朗兄さんが説明してくれた。ザックリと。
崇一朗兄さんはマニュアルトランスミッション車を作ってくれたようだ。
車の免許も無ければ自動車教習の経験もないワシに操作ができる訳無いだろうバカ…
兄ちゃん( ・᷅ὢ・᷄ )
逆ギレしたワシの不機嫌な表情を読み取った崇一朗兄さんは、クラッチペダルとかいうものを引っこ抜いた。
崇一朗兄さん「まーちゃんには操作出来ないと思ってたから引っこ抜いても大丈夫( ◜ᴗ◝)」
笑顔に悪気を感じる。
そもそも狐さんのところに行く時は崇一朗兄さんが不機嫌になる(行くのを嫌がる)
そんなこんなで、やっとワシにもまともに操作出来る移動手段を作ってくれた。
一人乗りの車なのには変わりないが。
外見が楕円形のUFO(ユーエフオー)である!
…( ・᷅ὢ・᷄ )
センスが人智を超えている。
一人乗りの理由は、「まーちゃんが変なものを乗せて帰らないため」である。
萬戒「ねぇねぇ崇一朗兄さん、コレまーちゃんしか座れないけど、この丸みのある広い所(車体)に誰か乗れそうだけど…乗ったりしない?」
笑顔だった崇一朗兄さんの顔が青ざめた。
崇一朗兄さんは一旦家に戻り、御札を持って戻ってきた。
10数枚の御札を貼って貰ったUFO車。
ゆっくり発進した。
続く(笑)