毎年、年末特に大晦日になると、一年を振り返る人が多いと思いますが、かく言う私もその中の一人です。そんな中、私にとっての2022年は特に記憶に残る思い出深い年になったようです。

 

定年(当時58歳)を3年残し55歳にて希望退職したのが、1997年(平成9年)ですから年金生活に入り25年経過したことになります。今から思えば55歳といえばまだまだ若く隠居などとんでもないといった感じですが、当時は55歳定年制が多く、多くの人が第二の人生を迎えたものです。

 

この時点での私は人生80年と仮定し、残り25年を如何に生きるかを真剣に考えたものでした。何故80歳といえば、母が胃がんで亡くなったのが76歳。俗にいう遺伝の法則を勘案したものでした(笑)

 

とは言え、現実には55歳はまだまだ元気! 

一番最初に考えたことは、サラリ-マン時代に培った経験を活かし、次は自分で個人事業をやりたかったので妻に相談の上、資本金200万円で省エネ関連を主体に事業を始めました。約2年程は自宅を事務所に企業の工場や学校などを回り、それなりには格好がついたものの、所詮、年金を貰いながらの自営業はこれをやらなければ飯を食えないといった切迫感がなく、どうしても自分に甘く、さぼり勝ちになり、とうとう2年ほどで辞めてしまいました。やはり世の中そんなに甘くはない!ということを身をもって思い知らされたということですね。

 

 

次に62歳までの5年間は月5万円のアルバイトをしながら、土日は野菜作りに励み、趣味として、地域のソフトボ-ルの監督をやりながら、自身もシニアの選手として活動、59歳以上のスポ-ツの祭典「ねんりんピック」にも奈良県代表として群馬県にも行かせていただきました。

 

 

この後、腰痛や坐骨神経痛が持病となり、ソフトボ-ルやゴルフなどともお別れし、体育会系から文化系へと趣味が移行するに伴い、もともと興味があった「歴史」に嵌って行ったのが6年後の2010年頃だったでしょうか。

 

 

2012年6月には、とうとう一人で楽しむに飽き足らず、同好の士を募ってYSB(大和桜井で幕末維新を学ぼう)という歴史同好会を立ち上げ、今日まで10年の活動に及び、今年10月末日をもって終了したばかりです。

 

                   中津道自治会館

                                              

 

 

               八木札ノ辻交流館

 

第一回YSB歴史講座は2012年6月に実施。当初は私の住む桜井市大福の中津道自治会館で開催。妻の協力もあって講演終了後は茶話会で懇親。大いに盛り上がりました。

 

2015年頃からは交通の便も考慮し、近鉄大和八木駅に近く、歴史的遺産、江戸時代の

旅籠「平田家」現八木札ノ辻交流館をホームグランドとしコロナで開催不可となる2019年まで歴史講座を開催しておりました。

 

 

垣根のない歴史講座として参加者みんなで運営する寺子屋講座ですが、多くの講師さまのご理解とご協力のお陰で、総数100名を超える出席を賜り本当に楽しく実りのある歴史講座となりました。私も傘寿を迎え当初の目標を達した今、名残惜しいのですが、寄る年波には勝てず、この辺りが潮時かなと判断しYSBを閉じさせていただいた次第です。ここまで歴史講座や史跡巡り(バスツア-含む)にご参加いただきました同好の皆様には心から感謝を申し上げます。

 

 

 

           大和五條統(すえ)神社

 

花高稲荷が祀られる覆屋

花高稲荷神社

背板の文字

 

そして本年最後の衝撃は去る10月29日に開催したYSB最後の特別歴史講座「天誅組ゆかりの地を巡るバスツア-「五條編」に於いて、文久三年八月十七日天誅組による五條代官所焼き討ちの中で唯一焼けなかったという代官所内にあった「稲荷神社」が五條市須恵の「統神社」に移設されて現存するを見学できたことです。

 

当時、代官所付近に住んでいたという実業家「高橋直吉」が自分の生涯を記録した「天寿禄」のなかにその件が記載されているという、そのことを私に知らせてくれた御霊神社の宮司さまの案内で我々一同が花高稲荷を見学できた次第です。

 

これまで私をはじめほとんどの天誅組フアンが知らなかったことで、今に残る唯一の代官所の遺構としてまさに大発見の衝撃でした。

因みに稲荷拝殿の背板に書かれている文字には数名の寄付者と時の代官内藤杢左エ門

(ないとうもくざえもん)の名が見てとれ、嘉永四年の文字から殺害された鈴木源内代官の二代前に建立されたことがわかります。

来年は天誅組160年の節目にあたります。何か不思議な縁を感じたのは私だけではなかったことでしょう。何とか後世に伝え残す意味で建碑運動をしようと考えています。

 

もうすぐ除夜の鐘が鳴り始めます。2023年は猛威をふるったコロナも終息し、またみんなで楽しく史跡めぐりや歴史談義の集会ができますよう皆様にとって良い年になることを祈念してペンを置きたいと思います。