まずここまで読んでくださった方、お疲れ様でした。



最初の公開は10月はじめなのですが、
記事自体は9月の初めから書いていたので、実質3ヶ月半この作業に取り掛かっていたわけで。
まずひと段落つけることができました、うん。



重ねがさねですが読んでくださった方、本当にありがとうございまする。
コメントもそうですし、マビ内でも感想をいただいたのが
すげぇモチベのアップにつながりました。

ちなみに、半分以上は銀子についてのコメントでした。存在感でかぃなあ。
まだのんびり続く予定なので、気長に見ていただけるとうれしかったりします。

最後におまけ。

どマイナーですが、個人的には名曲だと思うのです。
今回の雫編、この曲のイメージが合ってる気がするので、
聞きながら読んでいただけるといいなあと。

自己満足のきわみですが…w




最後のおまけ、エピローグ。

前の話を読んでない方は、そちらから読んでもらえるとうれしいのです。





樹が島に来てから、一月が経とうとしていた。

あの後、雫はすぐに目を覚まし、翌日には元気になっていた。


樹と雫が一緒に住み始めて、やはり一月になる。

最初は島民たちも物珍しく見ていたものだが、そのうちに慣れていった。


雫は相変わらず昼夜逆転の生活を続け、

朝に寝て、夕方に起きる、という状態は変わらなかった。

一度染み付いた生活リズムは、そう簡単に変えるのは、難しいことだ。


樹はといえば、三河屋の手伝いとして働き始めた。

銀子が助手が必要だと祖父に話を通した結果であった。


ひとつ気になったのは、その時の銀子のセリフ。

「私の野望…じゃなくて、事業展開のために、彼が必要なのですよ」


銀子の商才を理解している祖父は、二つ返事で了承したそうだ。

彼女の本心は不明だが、今は朝から夕方まで、

三河屋の手伝いとして働いている。



その日は久しぶりの大雨であった。

雫が作った朝食後のコーヒーを飲みながら、樹はぼやいた。


「やれやれ、今日は家具を配送しようと思ったけど、中止かな。」

「家具が濡れちゃうしね。うん、残念。」


台所から雫が箱を持ってやってきた。

はい、と樹に手渡す。お弁当だ。


ありがとう、と樹は受け取って、鞄に入れた。

そしてその鞄から小さな袋を取り出して、雫に渡す。


「樹、これ何?」

「いいから、あけてごらん。」


きょとんとしながら雫は袋を開く。

中には女性物の青いアクセサリーが入っていた。


「どうしたの、これ?」

「それ、雫の形してるだろ。

きれいだと思って、この間の仕入れのときに買ってきた。」


物体としての雫をあらわすアクセントをおいて樹は説明した。

雫がしばらく眺めた後、彼女の手のひらからそれを拾い、雫の首にかける。


「…きれい。」

雫はそれ以上、言葉が出てこなかった。

どういえばいいのか、わからなかったのだ。


「あ、ありがとう、樹…。」

精一杯、喉からその言葉が出てきた。樹は微笑みで答えを返す。


「うん。あと、それ。」

樹はチェーンを指差した。


「この鎖?」

チェーンは白く輝いている。

「これ、ひょっとして…。」


樹はうなずいた。

「うん、銀の鎖。雫と銀で、いいなって思って。」


雫の目元にまた涙が溜まる。

そのまま雫はぎゅっと樹に抱きついた。

言葉がでない雫の、精一杯の感謝の表現なのだろう。


外からクラクションが聞こえた。銀子のトラックが迎えに来たのだろう。

そっと二人は離れた。


雫は軽く手を振る。


「いってらっしゃい。」

「いってきます。」


樹は傘を持って外に出た。

しかし、それをまた玄関の傘立てに戻すことにした。


さっきまで雨空だった天からは雨はやんでおり、

その代わりに雲間から光が差し込んでいたから。


外ではおんぼろのピックアップトラックの前で、

雨上がりのそよ風に吹かれながら銀子が腕組みをして待っていた。

トラックからはかすかに音楽が聞こえている。


「ごきげんよう、晴れてよかったですね。」

銀子はまた、不敵な笑顔を浮かべていた。


七色の島 雫  終



shudomさんのブログ


初めてPCで続きを打ち始めました…。

いやあ、早いですね流石に。


携帯でこんだけ打つのに対して、PCは…うん。


今回更新が遅れたわけですが、理由がひとつあるわけで。


前にのせたように、私は携帯で記事を書いていて、

それは通勤途中が主だったりするのですが。


お外で携帯使うと、寒いんですよ、これが…。

手がかじかんで、文字が打てないんですっ!


あ、もちろんそのせいだけじゃなくて。。。

ええ、モンハンやってるからですね、はい。


あまりにのんびりやってるので、まだ村クエ下級なわけですが。

いやあ、ランス&ガンランス、大好きですw



そんなどうでもいい小話終了。

今宵もみなさまの暇つぶしになれば、幸いです。↓




何故こうなったかが、自分でも理解できない。
いや、自分が一番わからないよ、と言いたいくらいだった。

周りが紅蓮の炎で囲まれはじめていた。
幼い銀子は、必死に状況を整理する。
そうだ、蚊取り線香をつけようとしただけなのだ。


前につけようとした時に失敗し、姉の雫に叱られたことがあった。
火は危ないから触ってはダメ、とそう言われた。

銀子が蚊取り線香をつけようとしたのは、わけがあった。
雫は気にしていない様子であったが、銀子は蚊やブユなどに刺されて

肌が赤く腫れるのが酷く嫌だった。


どこで遺伝情報が狂ったのかはわからないが、

銀子は生まれつき輝くまでの銀髪と白い肌を持って生まれた。
それ故、蚊に刺されて残る赤い湿疹は余計に目立ち、

幼いながらたまらなく嫌だった。
だからできるだけ、蚊取り線香はつけておいて欲しかったのだ。


でも、私は蚊取り線香を手に取った、だけ、だったのに。
火を点けようかどうか迷い、じっと見つめていた、それだけだったのに。


突然、目の前に火花が散ったのだ。
あまりにそれは明るく、一瞬外で雷でも鳴ったのかと窓の方を見た。

だが雷など勿論鳴っていない。まさに目の前で起こったのだ。
火花は視線の先に次々とちりばめられ、窓にかかるカーテンにも燃え広がる。


目に映るもの全てに火が灯っていった。

怖い、怖いよ、どうしよう。


このままだと、みんな燃えてしまう。
幼い彼女は、パニックに陥った。逃げるように目をぎゅっとつぶる。



何分たったかはわからない、

恐らくそんな長い時間ではなかったであろうが、

隣で寝ていた雫から、ううん、と声が聞こえた。



反射的にそちらにすがる。

「お姉ちゃん、お姉ちゃん。」



雫も最初は寝呆け眼であったが、必死な銀子の訴えを聞いて

ただごとではないと察すると動きは素早かった。

雫は銀子を抱き抱える。
銀子は雫の腕の中で、祈り続ける。
全てが夢であってほしいと。



最後に気になったのは両親のこと。

「お姉ちゃん、お父さんとお母さんは?」
大丈夫だよ、と姉は言った気がしたが、そこからはよく覚えていない。

目をつぶって姉に全てをゆだねた。






次に目を覚ましたのは、診療所のベッドだった。

近所のおばさんが、介護していてくれたらしい。




そして、事実も知った。

あの火事で両親は、亡くなった。残酷な現実。



両親の葬式の日、銀子は火葬場に行かなかった。

死んだ、という現実を受けとめることがどうしても出来なかったから。

銀子は部屋の隅で、時折涙を浮かべながら、ずっとうつむいていた。



小一時間たった頃だろう。

遠くから足音が聞こえる。


それは乱暴な、破滅を運ぶ足音だった。




ぐい、と服をつかまれると、

視線の先には今まで見たことのない表情の雫がいた。

あの憎しみの目、今でも網膜に焼きついている。




「お前が!お前がお父さんとお母さんを殺したんだ!」


その言葉は、いまでも残る、銀子の罪と心の傷であった。





「その後、私は三河屋に引き取られました。

三河屋は島でも裕福な家庭でしたし、何より子供がいませんでしたから。」




雫とは対照的に、淡々と銀子は語った。
話し終わると、ポケットからタバコを取出し、その内一本をかざす。

焦点を先端に合わせたかと思うと、銀色の火花が散った。

火がともった煙草をくわえ、一息吸い込む。
透き通った紅の瞳は、徐々に黒く濁っていき、ついに元の色に戻った。

「どうやら感情が揺れると、こうなってしまうらしいのですよ。」

雨はすっかりあがっており、

銀子は傍の木にもたれながら自分の瞳を指差しながら言った。
右手には煙草を携えている。

「その火事の時がはじめてだったのか?」
「そうですね、きっかけはわかりませんが、突然ですか。」
「煙草はそれを抑えるために?」

その質問に、銀子は頷いて返した。

しばらく沈黙が続けた。

先に口を開いたのは銀子だ。
「それにしても、よく気付きましたね。」
私が雫の妹ということを、と付け加えた。


「勘だよ。君が雫を救えない本来の理由を考えていたんだ。

あれだけ親しい様子で私には無理です、とあっさり諦めてしまうのは

ちょっとおかしいと思ったんだ。だから…。」
「だから?」
「君が雫の妹だったら、って考えたんだ。それなら親しい様子も合点がいく。」

なるほど、銀子は煙草を消し、またポケットから出した小さい筒に入れる。
携帯灰皿なのだろう。

「まぁ、原因を作った張本人は私ですからね。

雫の心の傷を癒すことは私には出来なかったのですよ。」
銀色の髪をかきあげる。
拭く微風にまで銀色が乗っているように輝いていた。


「別にひた隠しにしていたわけではないのですけどね。

それなりに知っている人もいるわけですし。単に…そうですね。」

言葉を選ぶように口を開く。

「単に、触れてはいけないものと、そういう事でしょう。」
そういった銀子の笑顔は、切なく、悲しいものだった。


一度千切れてしまったものは、もう戻らないのだ。

新たに築くことは確かにできる。

しかし失ったものは、決して返ってこない。


「雫はまだ、君のことを責めているのか?」
聞くまでも無いことを聞く。


「時間が解決するものですよね。今はわだかまりはありませんよ。

実際、一緒に住もうか、と言われたこともありますし。」
「断ったのか?」
「雫に紡がいたように、私にも三河屋の家族がいますから。」

確かに、そうか。

「これでいいのです。私と雫が姉妹だからと広めても、

変な気遣いはされたくないですし、悲劇のヒロインになりたくもありません。」
「…そうか。」

それ以上は何も言わなかった。
二人の姉妹がお互いに決めたルールにも思えたからだ。
お互いの罪に対する戒めと自分に対する罰。

「…でもさ。」
「なんでしょう?」

「…いや、そういう在り方をお互いに望んでるなら、それでいいんだ。」
「話し合って決めたわけではないですけどね。自然とそうなっていっただけです。」
「そうだな、でもさ。」


銀子は少し苦笑する。
「また、でもさ、ですか。どうしました?」

「お互いが似てる、っていうのは、よくわかったよ。」
「え?似ていますか?外見は元より、性格も違うものだと思っていますが。」

まぁ、いいじゃないか、と樹は笑う。


奇怪な珍獣をを見るように、銀子の動きが一瞬止まった。

しかし、すぐに思考はやめたようだ。


「まぁ…、そうですね。」

さて、雫の様子を見に行きましょうか、と銀子は診療所に戻ろうとする。



一歩、踏み出して銀子は振り向いた。


「樹、ありがとう。」


振り向いた銀子は、いまの青空のように、晴れやかに笑っていた。

今までに見せなかった、本当の銀子の笑顔で。


きょとんとした樹を尻目に、銀子はまた歩き出した。


広がった青空から強い日光が差し込む。

雨上がりの空には、また七色の虹がかかっていた。


「ほら、樹、虹ですよ」

笑顔で空を指差す銀子は、そのまま見上げすぎてしりもちをついた。