先取学習の是非 | 名古屋 小学校 お受験ナビ

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こんにちは。

今日は、小学生だけでなく、中学生以降も課題となる先取学習の是非について、考えてみたいと思います。

名古屋市内の私立小学校の中にも、通常の学年別のカリキュラムよりも進度を上げて、早めに6年生までの学習を終え、中学受験に備えていく学校もあります。
一方で、附属の中学校に進学するお子さんが多いせいか、通常の学年別のカリキュラム通りに授業を行っている学校もあります。

通常の学年別のカリキュラムは、文部科学省が子どもの成長過程を考慮したものとして定めており、学校で用いることができる正規の教科書は、これに沿ったものでなければなりません。
教科書通りにカリキュラムをこなしていけば、文部科学省が定めたカリキュラム通りになる状態です。

しかし、このカリキュラムには2つの課題があると考えています。

1つ目の課題は、「成長過程は人それぞれで、画一的というには幅が広すぎる」という点です。


学年ごとにカリキュラムが組まれている都合上、ある年の4月2日から翌年の4月1日に生まれたお子さんたちが同じ学年として、一定のカリキュラムに取り組みます。
 

同じ日に生まれたお子さんでさえ成長過程にはバラつきがあるのですから、最大で1年の差はかなり大きな差になります。この差は、二十歳を超えるぐらいまでは続く差になってきます。
学習や成長といった観点においては、何ら根拠がない1年という単位で、成長過程等を何ら考慮していない区切り定めたお子さんを集め、同じカリキュラムに取り組むのですから、簡単すぎるお子さん、ちょうどよいお子さん、難しすぎるお子さんがいて当然です。

 

これは、「落ちこぼれ」が出てきてしまう仕組みが最初から組み込まれているといっても過言ではないでしょう。

このため、学習についていけないお子さんが問題なのではなく、この制度が問題なのです。
 

しかし、社会の仕組みや、もっと細かく学年を分けるには困難な財政上の都合など、致し方ない部分もあります。このため、ついていけないお子さんには手厚い大人の援護が必要になります。お子さんの能力が問題ではないことを念頭に、お子さんにあった対応を取って頂きたいと考えます。
 

一方で、簡単すぎるお子さんには、どうでしょうか?一見問題ないように見えますが、さらに高度なことに取り組める時期を逸しているので、こちらも大きな課題です。しかし、余り注目されていないのが実状ではないでしょうか。その証拠に、簡単すぎてしまうことから生じる疎外感を感じているお子さんを表す「浮きこぼれ」という言葉がありますが、あまり一般的にはなっていません。


このような「浮きこぼれ」のお子さんはもちろん、ここまで至っていないお子さんにも、大人の援護、導きは必要になります。対応の一つとして、お子さんの学年よりも高い学年の学習カリキュラムを先取りして学習することは、大きな意義があるでしょう。


2つ目の課題は、「知っていることと、使えることは違う」という点です。
 

どのような道具でも、知識でも、知ることと、それを使えるようになることには、大きな差があることは自明です。
 

中学受験をされるお子さんは、6年生までの学習カリキュラムが試験範囲になりますので、6年生までの内容を知っているだけでなく、使える状態にまで鍛錬が必要になります。
 

中学入試が1月から2月に行われていることからも、知識として「知る」時期は遅くても7月から8月ぐらいまでに終わらせなければ、使える状態へと理解を進める時間を設けることはできません。

 

また、漢字や歴史、地理などの暗記を要する課題は、何回も繰り返しをしなければ定着しないため、6年生の12月ぐらいまでに3,4回繰り返す学習が必要になります。
 

臨む中学受験のレベルにもよりますが、レベルにあった先取り学習は必須になってきます。

以上から、先取り学習を中学受験をするなら必須であり、しない場合も必要になってくる場面があります。

しかし、名古屋市内の私立小学校の中には、先取り学習を快く思わない学校もあるのが実状です。恐らく先取り学習をしていると、授業が簡単すぎてしまうお子さんが多くなり、授業を維持できなくなることを懸念しているのでしょう。


本来、授業をマナー、例えば、まだ学習を終えていない周りのお友達の邪魔にならないように、知っている内容でも静かに一緒に授業を受けたり、知らないことがあるかもしれないと思って、授業に耳を傾けるたりすることと、学習内容についてどの程度先に進んで理解しているかは、別の次元の問題にも関わらず、混同されているように感じ、大きな違和感を覚えます。

 

講師経験がある人から見ると、生徒を引きつける授業ができないだけではないかと思ってしまうのではないでしょうか。

また、附属校へ多くの子が進学される学校も、中学受験を経て入学されるお子さんの方がいるかと思いますので、本来ならば小学校のうちから、中学受験をされて入学されたお子さんと同等以上の学力をつけるためのカリキュラムを組んでほしいと思いますが、あまりそういった取り組みがみられないのが実態のようです。

小学校の学校説明会でも、勉強面での取り組みは各学校で説明下さいますので、よく確認して頂き、検討して頂ければと思います。