3月12日(火)、岡山県美作(みまさか)市の

現代玩具博物館・オルゴール夢館へ行ってきました!!

ふと見つけた路地裏のように



JR大阪駅の高速バスターミナルから高速バスで2時間半、

美作ICのバス停で下車し、そこからタクシーで10分ほどで

湯郷(ゆのごう)温泉街へと行けるのですが、

その温泉街の中心にこの現代玩具博物館・オルゴール夢館はあります。



昨年、東京のおもちゃ美術館、有馬の有馬玩具博物館へ行ったこともあり、

そのつながりでこちらのことも知って、ぜひ行ってみたいと思っていたのですが、

今回ゲームマーケットで大阪へ行く機会があったので、

せっかくなら行ってみよう、とプランを立てて行ってみることにしました。



さて、この現代玩具博物館・オルゴール夢館ですが、どういう施設かというと、

子どもたちの健やかな成長を願って作られた世界のおもちゃや、100年以上も

昔から人々に感動を与えてきたオルゴールを展示している博物館です。

もう僕にとったら、夢のように魅力の詰まった場所ですね。



13時半。逸る気持ちを抑えながら入館しました。

ふと見つけた路地裏のように



この日は平日ということで、お客さんはちらほらと数組いる程度。

館内は入口におもちゃを買うことが出来る店舗スペースが広がっていて、

そこで店員さんが操り人形のデモンストレーションをやられていて、

「きゃっきゃっ」とお客さんから歓声が上がっていました。

入口で入館料(大人700円・小人300円)を払うと、

館内を自由に見学できたり、置いてある玩具で遊べたり、

スタッフさんによるオルゴールコンサート(40分)や

おもちゃツアー(25分)に参加することが出来ます。

もちろん、僕は入館料を払い、中へと入りました。



入り口横には、オートマタ(西洋のからくり仕掛け人形)の仕組み、

「機素(きそ)」がズラリと整列していました。圧巻!!

ふと見つけた路地裏のように



ふと見つけた路地裏のように



こちらはオートマタ作家として有名な西田明夫氏の作品。

ふと見つけた路地裏のように



14時になり、オルゴールコンサート開始のお知らせがあったので、

オルゴールとオートマタの並んだコンサートホールへと入りました。興奮!!

ふと見つけた路地裏のように



このコンサートは、スタッフの方が順番にガイドしながら、

所蔵されているオルゴールやオートマタを動かしてくれるというものです。

観客は自分ともう一組だけだったので、ほぼ貸切状態でした。



まず、オルゴールと聞いて僕たちが頭に浮かべるのは、

ゼンマイを捲くとシリンダーが動き、音が鳴るというタイプのものだと

思うのですが、オルゴールにはそういったシリンダーオルゴールと、

もう一つ、ディスクオルゴールというものの2つに大きく分かれるそうです。

始めに生まれたのがシリンダーオルゴール。

こちらは18世紀初頭のスイスの時計職人の間で生まれた、とされています。

一方、ディスクオルゴールは19世紀後半にドイツで生まれたそうです。



最初に紹介されたのが、シリンダーオルゴールでした。

ふと見つけた路地裏のように
オーヴァチュアボックス
1850年 スイス ニコール・フレール社製



ゼンマイの巻き上げにキーを使用する、

初期オルゴールの形を残しているオーヴァチュアボックス。

オーヴァチュアとは、英語のoverture(序曲)から来ている、とのこと。

ちなみに、ボックスとはオルゴールのことを「Music Box」と英語で呼んだため、

そこから来ている、と推測されます。



シリンダーオルゴールとは、その名の通り、

筒型のシリンダーを使用したオルゴールのことを言うそうです。

ゼンマイの力によって回転し、シリンダーに植え付けられたピンが

長さ(音階)の違う櫛歯を弾いて、音を出す仕組みのようです。

一本のシリンダーには1周で1~2曲分の楽譜のピンが植えられており、

それが少しづつずれることで6段階、つまりその6倍分の曲が聴ける仕組み。

一本のシリンダーには数万本のピンが一本一本職人の手で

植え付けられるため、製作には膨大な時間(1年!?)とコストがかかり、

そのため、大変高価なものであったそうです。

コンサートで実際に鳴ったオルゴールの音には、

長い長い歴史、時の流れを感じて、胸が熱くなりました。



ふと見つけた路地裏のように

ふと見つけた路地裏のように
シリンダー交換式のオルゴール
1880年 スイス ペイラード社



1本のシリンダーでは聴ける曲に限りがあるため、

複数個の曲目の違うシリンダーがセットになり、

交換できるように進化していったそうです。

こうした変革の系譜を見ていくのは面白いですね。

それにしても、この気品ある佇まい。堪りません。



ふと見つけた路地裏のように

ふと見つけた路地裏のように
オーケストラボックス
1890年代 スイス



なぜオーケストラかというと、こちらはオルゴールの音に加え、

小太鼓や違う種類の楽器の音も同時に鳴らすことが出来るのです。

オルゴールのみの演奏に比べ、随分と迫力がありました。

各パートを鳴らさない調節も出来るため、幾通りの演奏が楽しめるようです。



ふと見つけた路地裏のように

ふと見つけた路地裏のように
ポリフォンスタイル No.54 ミカド 
1900年 ドイツ ポリフォン社



1880年代から円盤型のディスク式のオルゴールが登場し始めたそうです。

これまでのシリンダー式オルゴールの問題は、コスト高だったこと。

その問題を解消するべく開発されたディスク式は、

工場でプレスすればその楽譜通りの突起や穴がディスクに付けられるため、

大量生産が可能になり、かなりのコストが抑えられたそうです。

仕組みとしては、スターホイールという星の形をした歯車が、突起や穴に

ひっかかると回り、その回転によって櫛歯を弾いて音を出すらしいです。

また、ディスクを入れ替えるだけで違う曲が楽しめるのも魅力だったようです。

この「ミカド」は当時のヨーロッパでの日本ブームから命名された、とのこと。

こちらは業務用で、好きな曲のディスクをセットし、コイン(お金)を入れると、

再生されます。ジュークボックスの前身のような存在だったようですね。



ふと見つけた路地裏のように
レジーナコロナ8a オートチェンジャ-
1900年代 アメリカ レジーナ社



なんと、オートチェンジャー式のオルゴールまであったようです!

こちらも業務用でコインを入れると再生されるタイプのもの。

レストランやパブ、ホテル、駅などに置いてあったそうですが、驚きですね。



ふと見つけた路地裏のように

ふと見つけた路地裏のように
レジーナ スタイルNo.9
1900年代 アメリカ レジーナ社



美しい彫刻の入った家庭用のオルゴール。その美しさから、

「オルゴールの女王」というキャッチコピーで広告されていたそうです。



ふと見つけた路地裏のように
レジーナフォンNo.150
1900年代 アメリカ レジーナ社



オルゴールの黄金時代もそう長くは続かなかったようです。

エジソンが発明した蓄音機の登場によって、

簡単に音楽の録音・再生が可能になったからでした。

こちらは蓄音機とオルゴールの二つの機能を持った兼用機。



ふと見つけた路地裏のように
ミラ テーブルタイプ
1900年 スイス/アメリカ メルモド・フレール社



メカニズムはスイス製、ケースはアメリカ製。

この「ミラ」はオルゴールが時代から見放されていく中で、

蓄音機に真っ向から勝負を挑んだ、オルゴール界の最高傑作だそうです。

実演での音の響きは素晴らしく、特に演奏終了後の余韻(残響音)が

全然違っていて、しばらく音が消えませんでした。

一時代を築き上げた、オルゴール界の渾身の一作に感動を覚えました。






オルゴールの紹介の後はオートマタの紹介。

ふと見つけた路地裏のように

ふと見つけた路地裏のように

ふと見つけた路地裏のように
ピエロエクリバン
現代 スイス ミッシェル・ベルトラン



サーカスで巡業中のピエロが遠く離れた恋人に手紙を書く、というもの。

手紙を書いていると睡魔が襲って来て、だんだんこっくりこっくりとしてきて、

ランプの灯が消えた時には、完全に目を閉じてしまうのですが、

だめだ、だめだ、と自分の手でまたランプを点けて再び手紙を書き出します。

その間もゼンマイ式のオルゴールが音楽を奏でています。

こちらは傑作ですね!ストーリー性、ユーモア、アイデア、テクニック・・・

全てが素晴らしいです。目のまぶたの部分にはリアルさを追求し、

繊細な動きが出来るように動物の皮を使用している、とのこと。驚愕です。



ふと見つけた路地裏のように
猿のスモーキングドール。スイス。実際に煙を出させて遊ぶそうです。



ふと見つけた路地裏のように
ジョルジュ・メリエスの映画「月世界旅行」を思わせる表情のある月。



ふと見つけた路地裏のように
人形作家とオルゴール作家の見事なコラボレーション芸術の数々。



ふと見つけた路地裏のように



写真手前にある箱はシンギングバード・ボックス。スイス。

ゼンマイを回すと、箱から小さな小さな色鮮やかな羽の鳥が登場し、

ピヨピヨと鳴いて、しばらくすると、またバタンと箱に戻る玩具。

リュージュ社で現在も製造販売中で、一箱50万以上はするそうです。






最後に演奏装置関係のご紹介。

ふと見つけた路地裏のように

ふと見つけた路地裏のように

ふと見つけた路地裏のように



こちらはイベントや街頭販売のための客寄せ用に作られたもので、

肩に掛けて持ち運べるようになっています。

アコーディオンのような蛇腹が中に入っていて、

ハンドルを回して空気を送り、音を出します。

楽譜は紙でできており、音を鳴らしたい部分に穴が空いていて、

そこに空気が通ることによって、その音が鳴るという仕組み。

実演もありましたが、びっくりするほど音が大きかったです。



ふと見つけた路地裏のように



ピアノの自動演奏装置。ピアノの中に鉄琴やシンバルなどの楽器も入っていて、

楽譜に応じて空気を送り込み、それらを鳴らし、演奏させます。

こちらも業務用でバーなどに置かれていたそうです。

演奏時には写真のように電気が点き、ステンドグラスによる装飾を照らします。

音の鳴る巨大なビックリおもちゃ箱、といった感じでウキウキな気分でした!





・・・と、このような感じであっという間の心躍る40分!

その後は15時からのおもちゃツアーに参加しました。



ふと見つけた路地裏のように



スタッフさんによる、館内おもちゃの紹介とデモンストレーション。

スイスのネフ社の積み木のショーや参加者全員で「ドメモ」という

ゲームで遊んだりして、こちらもあっという間の25分でした!



ふと見つけた路地裏のように



その後、もう一度オルゴールコンサートに参加していたら、

閉館時間の17時に近づいていたので、色々とショップで買い物して帰りました。






今回、この現代玩具博物館・オルゴール夢館に行って感じたことは、

やっぱり、僕っておもちゃが大好きなんだ、ってことでした。

身体中に電流が走るほど興奮し、ワクワクする、

そんな「これだ!」というような衝撃を受けました。

たくさんの刺激をもらったので、こちらに来れて良かったです。



現代玩具博物館・オルゴール夢館にまだ来られたことがない方、

お勧めですので、ぜひ行かれてみてください。

写真では伝わらない、生のオルゴールコンサートをどうぞ。

現代玩具博物館・オルゴール夢館 公式HP



ふと見つけた路地裏のように

その後、湯郷温泉にも入って、良い一日でした!

湯郷は人も温かくて良い街です。