こんにちは。

 

今回は、右派の皆さんにウケの悪い「八月革命説」がでてきます。

 

その他、占領下の法令の効力など、ニッチな論点の回となります。

 

それでは見ていきましょう!

 

 

日本国憲法制定の法理と
旧憲法下の法令の効力


(1)日本国憲法制定の法理に関する学説
   ①無効説
     憲法改正限界説により改正の限界を超えている。
     ハーグ条約の内政不干渉原則を保障した
     ポツダム宣言違反
   ②有効説
     A.大日本帝国憲法改正説
    (法的連続性あり)

      改正無限界説にたち、改正は法理論的に問題なし。
      天皇の名で改正が行われており、欽定憲法の改正
      として連続性あり
     B.新憲法制定説(法的連続性なし)


   憲法改正の限界
    「憲法制定権力」と、「憲法によって設けられた権力」で
    ある改正権は別。
    改正権は憲法の根源を変更できないとする改正限界説
    が妥当。

   戦後、新憲法制定説が通説となり、宮沢俊義の
   「八月革命説」が支配的。

   八月革命説
    ・憲法改正限界説にたち、天皇主権の国民主権への
     変更は天皇の意思でも不可能
    ・したがって、国民主権への転換は憲法的には革命
     というべき。
    ・その革命はポツダム宣言受諾によって
     なされた「八月革命」
    ・「八月革命」によって国体が変更された。
    ・「八月革命」によって旧憲法が失効したわけではない。
     明治憲法の意味が変化し、表面上は旧73で改正
     することができた。

 

大日本帝国憲法下の法令の効力
 法的連続性の否定 ⇒ 旧憲法下の法令は全て無効
 とする全面無効説が論理的帰結
 しかし、憲法98―1の最高法規性の規定を経過規定(法令の制定や改廃が行われる場合、旧法から新法へ円滑に移行するために必要な過渡的措置を定めた規定)と解し、「旧憲法上の法律は、その内容が新憲法の条規に反しない限り、新憲法の施行と同時にその効力を失うものではなく、なお法律としての効力を有する。」(判例・通説)

明治憲法下の法令の効力
(憲法判例百選Ⅱ―203)

 被告人は、爆薬・導火線を無資格で所持したとして、鉄砲火薬取締法に基づく同法施行規則(勅令16号)により起訴された。被告人は、同法施行規則は「日本国憲法施行の際現に効力を有する命令の規定の効力等に関する法律(法律72号)」で昭和22年末で失効しており、新たに同法に基づき罰則を定める旨命令に委任する規定はないから、免訴を求めて上告。最高裁は、憲法73-6号は、政令には、特にその法律の委任がある場合を除いては罰則を定めることはできないとしており、勅令16号で罰則を設けていることは、法律72号の法律を以て定める事項に該当し、同法に基づき勅令16号の罰則は1947年末までは有効だが1948年1月1日以降失効しているとし、犯罪後の法令により刑の廃止ありたるときに該当するとして、被告人免訴を言い渡した。


占領法規(憲法判例百選Ⅱ―204)
 昭和25年、連合国最高司令官はアカハタ等の出版物を編集等の目的をもって所持することを禁止する指令をだし、被告人は昭和20年勅令542号に基づく昭和25年政令325(占領目的阻害行為処罰令)違反で起訴された。最高裁は、連合国最高司令官は日本国憲法とかかわりなく法律上まったく自由に自ら適当とする措置をとることができたので、その要求の下に発せられた勅令542とそれに基づく政令325は憲法外における法的効力を有するとした。(超憲法的効力説)そのうえで、昭和27年の平和条約発効後は、占領がとかれ連合国最高司令官も存在しない以上、政令325のいう占領目的阻害行為そのものがありえなくなり、またその内容も連合国最高司令官の司令違反を犯罪として処罰するものであるから、平和条約発効によって当然に失効したとして、被告人免訴を言い渡した。

今回は以上です。

 

次回もお楽しみに!