こんにちは!

 

今回は参政権の2回目です。

 

とりあげる判例は、

立法不作為のときと重複しますが、

 

復習がてら見てください。

 

それでは参りましょう!

 

 

 

 

選挙の原則と選挙権訴訟の展開

1 選挙の基本原則

 

 選挙の5原則

(ⅰ)普通選挙(憲法44但書)

(ⅱ)平等選挙 ⇒ 投票価値の問題

(ⅲ)自由選挙 
  ⇒ 立候補の自由、投票行動の自由、選挙運動の自由

     選挙運動の自由は憲法21

(ⅳ)秘密選挙 

  ⇒ 憲法15―4前段
    「投票の秘密は、これを侵してはならない。」

     憲法15―4後段
    「選挙人は、その選択に関し公的にも私的にも責任を問われない。」

(ⅴ)直接選挙 ⇒ 憲法93―1 地方選挙の直接選挙を定める。
国会議員については規定がない。
 

選挙の5原則すべてについて憲法に明示的な規定はないが憲法上の要請とされる。その根拠づけとして、選挙権権利説からは憲法上の要請とされるが、二元説にたつときは必ずしも論理必然的には導出されない。

 

 

 

 

 

2 選挙資格と選挙権行使の制限
 

(1)   公職選挙法9条・11条の要件
選挙権の要件(9-1)「日本国民で年齢満18歳以上」
欠格事由(11)
 

(2)   成年被後見人の選挙権
公職選挙法11―1の欠格事由のうち一号の成年被後見人について、東京地裁は憲法15―3に違反するとした。
 

(3)   在宅投票制廃止違憲訴訟

立法の不作為に関する違憲訴訟

(在宅投票制度廃止事件上告審)

(憲法判例百選Ⅱ―191)
 公職選挙法は歩行困難者のために在宅投票制度をもうけていたが、悪用が多発したので廃止された。歩行困難者である原告が、投票所に行けなかったことについて、法律の改正が違法な公権力の行使にあたり精神的損害をこうむったとして、国家賠償請求訴訟をおこした。
 最高裁はまず、いわゆる「区別論」を展開し、ある立法行為の内容が違憲であることと、国会議員による立法行為が国民に対して負う職務上の法的義務に違背することとは区別しなくてはならないとした。立法内容が違憲だからといってただちに賠償ではない。
 立法に関しては、原則として国民全体に対する関係で政治的責任を負うにとどまり、個別の国民の権利に対応した法的責任を負うものではないとし、国会議員の立法行為は、立法の内容が憲法の一義的な文言に違反しているにもかかわらず国会があえて当該立法をおこなうというごとき、容易に想定し難いような例外的な場合でないかぎり、国家賠償法1―1の規定上、違法の評価をうけないとした。
 そのうえで、憲法47は選挙に関する事項は法律で定めるとして立法府に裁量を与えており、在宅投票制度廃止の立法行為が一義的な文言に反しているとはいえないとした。
 

(4)   在外国民選挙訴訟
在外日本国民の選挙権

(憲法判例百選Ⅱ―147)
 国民の選挙権又はその行使を制限することは原則として許されず、そのような制限はやむを得ない事由がなくてはならず、そのような制限をすることなしには選挙の公正を確保しつつ選挙権の行使を認めることが事実上不能もしくは著しく困難であると認められる場合でなくてはならない。
 在外選挙制度を、立法府が10年以上の長期にわたり放置し、訴訟対象となった衆議院選挙において在外国民の投票をみとめなかったことは、やむを得ない事由があったとは到底言えない。
 立法の内容・立法不作為が、①国民に憲法上保障されている権利を違法に侵害するものであることが明白な場合や、②国民に憲法上保障されている権利行使を確保するために所要の立法措置を執ることが必要不可欠であり、それが明白であるにもかかわらず、国会が正当な理由なく長期にわたってこれを怠る場合には、例外的に国会議員の立法行為・立法不作為は、国賠1―1の規定の適用上、違法の評価を受ける。
 以上から、本件選挙で投票できなかった原告による慰謝料請求を認容した。

*立法行為が違法として国家賠償法1-1の適用となる例外について
 立法行為が違法として国賠1-1の適用対象となる「例外」について、Ⅱ-197判例からⅡ―152判例へ下線部のとおり表現がかわっている。最高裁は同趣旨であり判例変更ではないとするが、実質的には判例変更といえる。

今回は以上です!

それではまた次回!!