こんにちは!

 

今回から参政権です。

 

 

 

判例がこれまでの回と重複しているものがありますが、

省略せずに掲載します。

 

 

それでは参りましょう!

 

 

 

 

選挙権と被選挙権

1 選挙の法的性格
  憲法15―1「公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である。」
  旧憲法:天皇の協賛機関である議会を構成するための、天皇に対する義務・公務の執行の機会
  現在:公務的色彩から権利としての性格を重視

2 選挙権の法的性格
(1)学説
  選挙権権利説:主権者の個人的な権利
  選挙権公務説:選挙という公の職務を執行する義務
  権限説:選挙権の権利性を否定し国家機関権限と解する説
  請求権説:選挙人資格を請求する権利のみを承認する説
  二元説:権利と同時に義務と解する説

  *通説は二元説。

(2)権利説とその射程
  「選挙権論争」⇒選挙権権利説が二元説に疑問を呈して始まった。
   「棄権の自由」⇒権利説では強制投票禁止は論理的帰結。

3 被選挙権の法的性格
(1)学説・判例の展開と立候補の自由
   
   従来の通説:権利能力説。被選挙権は権利ではなく、選挙人団によって選定されたとき、これを承諾し、公務員となりうる資格とする説。

選挙権・被選挙権の本質と選挙の公正

(憲法判例百選Ⅱ―146)
 1952年の衆議院議員総選挙で、候補者の選挙運動人が公職選挙法違反(買収)で起訴され、控訴審で罰金刑にくわえて選挙権・被選挙権を停止された。被告人は、選挙権・被選挙権は国民主権につながる基本権であり、これを制限することは社会的身分にもとづく不条理な差別であり憲法に違反するとして上告した。
 最高裁は、選挙権・被選挙権の停止につき、選挙犯罪の処刑者に対し一般の犯罪の処刑者以上に不利益をうけることについては、選挙権は重要な基本的権利であり、それゆえに選挙の公正を維持するために必要で、不当に国民の参政権を奪うものとはいえないとした。
 選挙権の性格について、最高裁の「公職の選挙権は国民の最も重要な基本的権利の一であるとし、それゆえに選挙の公正は厳粛に保持されなくてはならない」とした部分は、前段が権利としての性格、後段が公務としての制約を表し、権利説ではなく二元説にたっていると考えられる。補足意見は被選挙権を権利ではなく権利能力とした。
 被選挙権の性格については、この判例は何も言及しなかったが、以下の三井美唄炭鉱事件判例で、憲法上の明文の規定はないが重要な基本的人権として位置付けた。


労働組合の統制権と政治活動の自由

(憲法判例百選Ⅱ-144)

北海道三井美唄(びばい)炭鉱労働組合の役員(被告人)らが、市議選に組織内統一候補をたてたが、独自に立候補した組合員が当選したため、被告人を統制違反者として処分をした。この処分が利害関係を利用した威迫であるとして、公職選挙法違反で起訴された。最高裁判例は、結社はその目的に即して合理的な範囲内での統制権を有するのが通例であるとし、労働組合においては、憲法28の労働者の団結権保障の効果として合理的な範囲内において組合員に対する統制権を有するとした。即ち、結社は内部統制権をもつとしても無条件ではなく、その目的を達成するために必要であり、かつ、合理的な範囲内において、組合員に対する統制権を有するのであって、他方において立候補の自由もまた、憲法15―1に明文の規定はないが重要な基本的人権の一つであることから、これに対する制約は慎重でなければならず、組合の統制権と立候補の自由とを比較衡量してその許否を決すべきである。本件では、立候補をおもいとどまるよう説得・勧告することは組合はなしうるが、その域をこえて立候補をとりやめることを要求し、統制違反者として処分するがごときは組合の統制権の限界を超えると判示した。


 以上の判例の展開から、学説でも被選挙権を立候補権と位置付ける傾向にある。立候補が資格(権利能力)ではなく権利であるとすると、衆参の年齢制限の差異や比例代表における立候補者の政党のコントロール、多額の供託金などの制約は、必要最小限度の制約といえるのか、その合理性が問題になるであろう。

 

 

(2)選挙犯罪者・受刑者と選挙権・被選挙権の制限
公職選挙法252 選挙犯罪の処刑者の選挙権・被選挙権の停止
        ⇒ 上記Ⅱ―151の判例で合憲の判断。
公職選挙法11 一般犯罪による受刑者の欠格事由
        ⇒ 最高裁の判断はない。
 

(3)連座制の合憲性
連座制:選挙運動の統括主宰者等の選挙犯罪で、候補者の当選が無効になり立候補も5年間禁止される制度。最高裁は「立法目的を達成するための手段として必要かつ合理的」として、合憲とする。

 

 

 

 

今回は以上です。

 

もうすぐ選挙ですね。

 

皆さん、投票に行きましょう!

 

 

それではまた次回!