続きです!

 

※相櫻

※BL

 

自己責任でお願いします🙇🏻‍♀️

 

 

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「あの〜、落としましたよ?」

 

 

街の喧騒が華やぐ土曜日の夜。

人だかりの駅前で声をかけたのは…

 

 

どん底の俺が拾った宝物だった。

 

 

 

 

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打ちっぱなしのコンクリート。

まるで温かみのないこの部屋で行われる反吐が出るようなゲーム。

 

 

「ほら、櫻井もやれよ。」

 

「いい。俺はそんな女興味ないから。」

 

 

ナンパして誘い込んだ女を回して、

その様子を撮影し、やばいところに送ると相当な金になる。

 

バカな俺は学費や生活費を払うために金が欲しくて、その話に乗った。

 

頭ではこれが犯罪だってわかってる。

でも、今更抜けれない。

 

せめて何も手を出さないことで勝手に自分を救済するだけだ。

 

実際、女の裸に湧かないしヤってるとこを生で見ても全く身体は反応しない。

 

 

心が冷めきってるんだろうな…

 

 

そして今日もいつものように女をふっかけてアパートに連れ込み、連中が楽しそうに動物になっているところをただ見ていた。

 

 

その帰り、俺は何がしたくて大学に入ったのか

ぼんやりと考えていた。

立派な大人になって両親を安心させたくて無理言って東京の大学に入れてもらったのに、

現実はこれ。ただの犯罪者。

 

 

「はぁ…なんでこんなことになったんだろ…」

 

「あの〜、落としましたよ?」

 

「っ!?…あ、どうも」

 

 

不意に話しかけられ振り返るとそこには絵に描いたような好青年っぽい人が俺の落とした定期を差し出していた。

 

受け取ってペコっと会釈すると、純粋な笑顔でニコッと微笑まれた。

 

 

「どういたしまして!」

 

 

スーツを着てるしたぶん大人なんだろうけど、子供みたいに笑う人だな…

 

 

「…じゃ」

 

立ち去ろうとしたら呼び止められる。

 

「あ、あのっ!」

 

「?」

 

「何かお困りのことあったら、これ、渡しとくんで連絡してください!」

 

「へ?」

 

その人はスーツの内ポケットから名刺を取り出して差し出した。

 

「先、何でこんなことになったんだろって呟いてたから。もしなにか困ってることあるなら力になるんで!」

 

 

差し出された名刺には

 

 

「まどらめ法律相談所…相葉…雅紀…?」

 

「はい!一応これでも弁護士です!」

 

「…一応ってw」

 

 

よく見たらしっかり胸に光る弁護士バッチ。

 

 

「まだ1年目ですけど、何かしら力にはなるので悩みがあるなら何でも言ってください!」

 

 

キラキラして見えた。

この人はきっと自分がなりたい自分になってるんだろうな。

眩しくて純粋なその瞳が俺には羨ましかった。

 

この人の近くにいたら俺もそっち側にいけるのかな…

 

そんな浅はかな期待が俺の口を動かす。

 

 

「愛されたいんです、俺。」

 

「へ?」

 

 

きょとんとして俺を見る相葉雅紀が年上なのに何だか可愛くて、不思議にこの人とならやれる気がした。

 

 

「俺たち初めて会った気がしないんですけど。この後、時間ありますか?」

 

 

女を引っ掛ける時の常套句で男を捕まえる日が来るとは思っても見なかった。