続きです!

 

 

相櫻

BL

学パロ

 

自己責任でお願いします🙇🏻‍♀️

 

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秘密基地にある机の引き出しから相葉くんが取り出したものに目を疑った。

 

 

「えっ!?それであけるの!?」

 

「俺は全部これで開けたんだけど。ごめん、ピアッサーとかないわ。」

 

 

相葉くんの手にあるのはニードル。

 

 

「…絶対痛いでしょ」

 

「痛いのは一瞬だから。」

 

「うぅ…」

 

「やめとく?」

 

「やめない。あける。」

 

 

覚悟を決め、正座をして目を閉じた。

 

相葉くんが目の前に座った気配を感じて、ドキドキと心臓がなるのは初めて開けるピアスに緊張しているからだろう。

 

 

「まだ、目閉じなくていいよ。最初に冷やすから。」

 

「あ、そうなの?」

 

 

目を開けると、相葉くんが手に持っていた保冷剤を耳の縁を挟むように当てる。

 

 

「冷たい。」

 

「感覚なくなるくらい冷やしたら痛くないから。」

 

「相葉くんは初めて開けたのいつ?」

 

「…中学の入学式。」

 

「自分で開けたの?」

 

「うん。」

 

「痛かった?」

 

「ちょうどよかった、かな?」

 

 

意味深に笑った相葉くん。

冷やされてる耳の軟骨がだんだんと感覚を失っていく。

 

 

「丁度良かった?」

 

「そう。入学式の時、あんたに一目惚れして」

 

「えっ!?」

 

 

突然の告白に驚かずにはいられなかった。

 

 

「で。その日、母さんが倒れて、…決意っていうか覚悟?決める感じで開けた。」

 

「覚悟…?」

 

「そう。中学で部活とかしてみたかったけど、俺は働いて少しでも母さんを支えようって。」

 

「…偉いね。」

 

「偉くなんかないでしょ。ルール違反ばっかりだし。でも、悪目立ちしたおかげで嫌でもあんたの視界には入れたかもねw」

 

 

フッと自虐的に笑った相葉くん。

 

 

「…ねぇ、先の一目惚れって?相葉くん、1年の頃から俺のこと知ってたの?」

 

「知ってたよ。新入生代表挨拶、みてたし。」

 

「…あ。」

 

「この前までランドセル背負ってた俺らの中であんただけは大人に見えた。」

 

「俺が?大人?」

 

「そう。綺麗だなって思ったし、悔しかった。俺もあんたみたいに早く大人になりたいと思った。」

 

 

俺はいつも相葉くんを見て大人っぽくて置き去りにされてるような悔しさと寂しさを感じているというのに。

 

 

「いつのまにか追い抜かれちゃったんだ、俺。」

 

「子供のままでいいじゃん?別に。」

 

「へ?」

 

「俺たちはまだ子供なんだから、ピアスひとつ開けただけで翔が俺のこと忘れないようになるって信じとこうよ。」

 

「うん、そうだね。」

 

 

相葉くんが耳から保冷剤を外して机の上に置き、代わりにニードルを手にした。

耳はほとんど感触がないが、じんわりと熱が伝う感覚がした。

 

 

「あけるよ。」

 

「うん。」

 

 

軟骨に突き刺さる衝撃で眉間に皺が寄る。

 

 

「ッつ…」

 

 

キツい痛みが耳に走るが冷やしているから耐えられないほどではなかった。

 

机の上に置かれたニードルの先には血がついているから、耳からは血が出ているのだろうと察した。

 

 

「あいた?血出てる?」

 

 

その質問に返事はなく、グッと近づいた相葉くんの口は耳の軟骨をカプっと咥えた。

 

 

「っ!あ、あいばくんっ!?」

 

 

舌が耳を這う感触にゾクっと鳥肌が立った。

唇で耳の縁を啄むようにパクパクと挟まれる。

冷たくなった耳に相葉くんの熱さが伝染して、

傷口を舐めるような舌の動きは鼓膜に水音を届けた。

 

 

 

「相葉くん!なにしてるの?」

 

「止血?」

 

 

耳元で相葉くんが答えた吐息に反応する自分の内側に気付いてしまう。

 

 

「…変な感じする。」

 

「ピアス、俺のつけとく?」

 

 

俺の言葉を無視して立ち上がり、ニードルの入っていた引き出しからシンプルな軟膏用のピアスを取り出してきてくれた。

 

 

「…あ、ありがとう」

 

「ん、やってあげる」

 

 

相葉くんの指が微かに耳に触れながら軟骨にシルバーのボールピアスがついた。

向かい合わせに座って、そのピアスが見えるように俺の髪を耳にかけた。

 

 

「似合ってんじゃん。」

 

「ほんと!?よかった〜。…ねぇ、相葉くん。」

 

「ん?」

 

「2人で大人に近づく方法…ある?」

 

 

スッと立ち上がった相葉くんがベッドに腰掛けて、片手を俺に差し伸べた。

 

 

「おいで、翔。」

 

 

柔らかく優しい笑顔なのに、その瞳と声には欲望が顔を出していた。

 

俺は相葉くんの手を取って、ベッドに腰掛ける。

 

トンっと肩を押され、簡単に後ろに倒れてしまう。

 

俺の顔の横に両手をついて見下ろす相葉くんは今までで1番大人っぽくて色気のある雰囲気を纏っている。

 

 

「雅紀…」

 

 

耳に届いた自分の声は随分と余裕なく相葉くんを求めていた。