続きです!
※相櫻
※BL
※学パロ
自己責任でお願いします🙇🏻♀️
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約束の日。
駅前のバスのロータリーで待ち合わせをした。
2人でバスに乗っていると少し大人になった気になった。
「で、どこ行くの?」
並んで座ると少し肩が触れてそれだけでもドキドキしている自分とは違い、いつも通りの相葉くんが聞いた。
横から見ても相変わらず眩しいくらいかっこよくて、相葉くんの後ろを流れる窓からの景色にまったく目がいかない。
「聞いてる?」
「え?あ、聞いてる!聞いてる!…えと、オープンキャンパスに行こうと思って」
「オープンキャンパス?」
「そう!大学の見学会?みたいなやつなんだけど」
「…なんで?」
「母さんが、大学は好きなところに行っていいって言ってくれたんだよね。だから、高校卒業したらこっちの大学に行こうと思って。そしたらまた相葉くんと一緒にいられるでしょ?」
「大学…」
「そう!たった5年頑張ったら俺たちまた一緒にいられるんだよ!?今から行く大学はちょっと偏差値高いんだけど、相葉くんと一緒にオープンキャンパス行けたらモチベーション上がるかな?と思って…。あ、あとね、大学の近くに美味しいご飯屋さんがあるみたいだから昼ごはんはそこで食べない?」
「フッ、いいね。そうしよ。」
「う、うん…///」
相葉くんがあまりにも愛おしそうに俺を見て笑うから、
興奮して話しすぎたことと相葉くんの笑顔に恥ずかしくなってしまった。
"なんか…今日は一段とかっこよく見える…"
ただの白いTシャツでも完璧に着こなしてしまう相葉くんがいつもより大きいサイズのピアスを指で触る仕草に、熱くなっていく顔をどうすることもできなかった。
大学の目の前のバス停で降りて、お祭りのように賑やかなキャンパス内へと2人で足を進めた。
「こんにちは!高校生?」
不意に声をかけてきた案内係の名札をつけたお姉さん。
「あ、えっと…中学生です!」
「中学生!?あ、お兄ちゃんの付き添いかな?」
お姉さんは相葉くんに視線を移した。
「あ、俺がこの人の付き添いなんで。あと兄じゃないです。」
相葉くんがクールに答える。
「へ?…お、おぉ!中学生でオープンキャンパスに来るなんて意識高いね!」
「あ、ありがとうございます…」
"やっぱ、相葉くんは大人っぽく見えるよね…"
情けなさと恥ずかしさからぎこちない笑顔でお姉さんにお礼を言って、パンフレットを貰った。
「あの、すいません。」
去り際に振り返った相葉くんがお姉さんを呼び止める。
「はい?なんですか?」
「この大学って楽しいですか?」
"相葉くん…?"
隣の相葉くんがお姉さんに意図の見えない質問を投げかけた。
「うん!楽しいですよ!とっても!」
「…そうですか。ありがとうございます。」
相葉くんはそう言ってお辞儀をして、また歩き出した。
俺も置いていかれないようにその横を歩く。
「相葉くん?どうしたの?」
「楽しいんだって。よかったね。」
「う、うん…」
相葉くんが何を考えいるのかはよく分からないけど、もしかしたら大学に興味を持ってくれたのではないかと少しだけ思った。
興味のある学部を何箇所か回って、プレゼントコーナーでお菓子をもらった。
どこに行っても中学生だと伝えると驚かれた。
出会った大学生はみんな大人で、たった5年で自分もこんな風になるのかと思うとワクワクした。
大学をあとにして近くの美味しいご飯屋さんに入った。
「綺麗な大学だったね!」
「大学の食堂って安いのな〜!オムライス300円で食えるって。」
興奮気味の俺に合わせてくれているのか心なしか相葉くんもテンションが高い気がする。
「食堂は生徒じゃなくても食べれるから相葉くんも食べに行ったらいいよ!」
「へぇ〜、それはいいな。」
「も、もし…俺があの大学に受かったらお昼一緒に食べれたりするね…。」
「フッ、かもね…。」
相葉くんがいつも通り優しく笑ってくれるから、大丈夫な気がしてしまう。
5年だけ遠くなるけど、またこんな風に一緒にいられることを簡単に想像できてしまう。
不思議と寂しさが消えていく。
寂しいとか離れたくないとかの感情より、5年後が待ち遠しい。
だって、俺はきっと今より大人で今より自由だから。
頭の中で思い描く未来の2人があまりにも幸せそうで嫉妬しそうになる。
だけど、今 目の前でパスタを食べている相葉くんが俺と目が合うと「ん?」と小首を傾げてふわっと笑ってくれるだけで充分に幸せだと感じる。
小さなことだけど、すごく些細なことだけど
それが嬉しくて、幸せで…
"相葉くんも同じように幸せに感じてくれてるのかな…?俺との未来を期待してくれてるのかな…?"
「ま、雅紀…美味しい?」
恋人っぽいことを言ってみたくなった。
「美味しいよ?こっちも食べる?」
「え!?」
相葉くんがフォークに巻き付けたクリームパスタを「ん。」と差し出す。
「…た、食べる///」
「はい、あーん。」
柄にもなく恋人っぽいことをする相葉くんが
悪戯っぽく笑ってフォークを俺の口に運ぶ。
パクッと食べると自分のトマトソースとは違うまろやかなクリームが口に広がった。
"な、なんか思ったより甘く感じる…"
それは雰囲気のせいなのか、トマトの酸味とのギャップのせいなのかは分からない。
だけど…
「翔、美味しい?」
「お、美味しい…///」
相葉くんはいつもより甘くて、
「フッ、顔真っ赤w」
「相葉くんのせいじゃん!」
赤くなる顔はどうすることもできないし、心臓はドキドキとうるさかった。