続きです!


※相櫻
※BL
※学パロ

自己責任でお願いします🙇🏻‍♀️

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"相葉くん…!"


走って向かった先は前に一度だけ訪れた、嫌な思い出があるバー。

相変わらず未成年が1人で来るには心細い大人な雰囲気のあるネオンの通りだが、今日はそんなこと気にしていられなくて、がむしゃらに走る。

早く相葉くんに会いたい、ただそれだけの思いが冷静さを奪って、あっという間に店の前まで来てしまった。


「はぁ…はぁ…」


店のドアにはopenと書かれた札がかかっている。
店内の明かりが窓から漏れている。


"相葉くん…"


息を整えて深呼吸をしてゆっくりとドアに手をかけた。


トンッ

「ちょっと、あんた何歳?」


急に後ろから肩に手を置かれ低い声に尋ねられると、身体がビクッと強張る。
いやな思い出がフラッシュバックして、震えているのがわかる。


「え、えっと…」


恐る恐る振り返ると落ち着いた雰囲気の大人の男の人が不審気に俺を見ている。


「未成年だよね?こんなとこで何してんの?」

「え、えっと、俺は…」

「迷子?警察行く?」

「ち、ちが…」

「とにかく、こんなとこいるもんじゃないから。」


男の人が俺の手を掴んだ。

その瞬間、殴られると思ってしまったのはあの日のトラウマのせいかもしれない。


「は、離してくださいっ!」


そう叫んだと同時に後ろに引き寄せられた。
後ろから抱きしめられるように首に回った腕が温かくて安心感が広がる。


「なにしてんすか?」


今、1番聞きたかった声に見上げると相葉くんが男の人を睨んでいた。


「未成年だと思ったから案内しようと思っただけだよ。そんな怖い顔すんなって。」


2人は知り合いのようで男の人は冗談笑いで返す。


「あっそ。もう大丈夫なんで。中どーぞ。」


相葉くんが店のドアを開けて、男の人を店内へと誘った。


「なんだよ、雅紀くんの友達だったのね。じゃ、またね。」


男の人が店内に入っていき、店のドアがバタンと閉まったと同時に相葉くんが俺を抱きしめる腕が離れた。


「こんなとこ、きたらダメじゃん。」


白いシャツに黒のベストでバーテンダーみたいな格好の相葉くんがかっこよくて、いつもと違う雰囲気に少し距離を感じる。


「…。」

「なに?大丈夫?」

「…。」


話したいのに口を開いたら泣いてしまいそうだった。


「なんかあった?」


優しい声で柔らかく笑いかける相葉くんに決壊してしまって涙が溢れる。
嗚咽が出そうなほど止めどなく流れる涙で余計に話せなくなる。


「あ、相葉くん…」

「ん?どうした?」


泣いてる俺に動揺することもなく当たり前のように抱きしめてくれる相葉くん。


「好き…。相葉くんが好き…」

「ん。わかってる。」


ギュッと音が鳴りそうなくらい強く抱きしめてくれるから、もう離れたくなくなる。


「一緒にいたい。離れたくない…」

「…分かった。ちょっと待ってて。」


スッと離れた相葉くんが店内に消えてしまって、店の外に取り残された。


"泣き止まないと…"


回ってない頭がそう思うのに、涙腺は壊れてしまったみたいで相葉くんが戻るまでの5分間で涙は止まらなかった。


「行くか。」


再び店から出てきた相葉くんは普段着になっていた。


「あれ…バイトは…?」

「早退。どこいく?ゲーセン?」

「…大丈夫なの?」

「大丈夫。客少なかったし。なにしたい?」

「…相葉くんと2人っきりになりたい。」

「じゃあ、久しぶりに行く?秘密基地。」


フッと笑った相葉くんにコクンと頷くと、スッと手を繋いで歩き出した。