お山の日です⛰

 

 

素敵な夏の日になりますように💫

 

 

 

※お山

※櫻葉

※相櫻

※BL

※学パロ

 

初めての大野さん視点👀

 

自己責任でお願いします🙇🏻‍♀️

 

 

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蝉の声が降り注ぐ中庭のベンチ。

木陰が心地よくてうたた寝してしまいそうだ。

 

 

「またサボってる。」

 

 

上から聞き慣れた声がして、ベンチの背もたれに頭の後ろをもたれさせて見上げる。

 

 

「しょおくん。」

 

 

ベンチの後ろから俺を見下ろす翔くんが呆れたように言う。

 

 

「なんですか?大野さん。もー、またこんなとこでサボって。」

 

「しょおくんもじゃんw」

 

「今は自習だからあなたのこと探しにきたの。」

 

 

優しく笑いかける好みの顔が見下ろしてくるのを綺麗だと思った。

 

両手を伸ばして翔くんの輪郭に手を伸ばした。

 

 

「なに?」

 

 

両頬に手を添えると、眉を困らせて笑いながら聞いてくる。

 

 

「絵に描けそう。」

 

「大野さん描いてくれるの?」

 

「描かないけど。」

 

「描かないのかよw もー、俺だけ描いてくれないんだよな〜。」

 

「描かないんじゃなくて、描けないの。描けそうで描けない。」

 

「なにそれw 俺の顔難しい?」

 

「綺麗すぎて描けないと思う。」

 

「ストレートに褒めるねw」

 

「うん。俺はしょおくんの顔が好きだからね。」

 

「はいはい。ありがと。」

 

「こんな綺麗なのは紙に収めたらもったいない。だから描かない方がいい。」

 

「新しいねw 綺麗だから紙に残しておこうじゃないんだ。」

 

「そ。俺だけのものでいて欲しいし。」

 

「紙に残したら大野さんだけのものじゃなくなるの?」

 

「うん。みんなが見ちゃうからね。それはダメ。だから描かない。」

 

「フッ、やっぱ描かないんじゃん」

 

「だね。ふあぁ〜、眠たい…」

 

「眠そうw」

 

「しょおくんの声聴いてると眠くなる。」

 

「落ち着くって?」

 

「うん。」

 

「起こしてあげるから寝ていいよ。」

 

「えー、それは申し訳ないな〜」

 

「思ってないでしょw もう目瞑ってるしw」

 

 

翔くんはベンチの後ろから俺の隣に座った。

撫でた肩に頭をつけるとすぐにでも眠りに落ちてしまいそうだった。

 

 

「しょおくん。」

 

「なに?」

 

「キスで起こして。」

 

「お姫様か!w」

 

「違うよ。睡魔っていう呪いから姫のキスで解き放たれたいの。」

 

「ロマンチックに言えばいいってもんじゃないんだけどな〜。じゃ、演出料もらっていい?」

 

「いいよ。」

 

「先にキスして。そしたらキスで起こしてあげる。」

 

「君はほんとに可愛いな〜。食べれそう。」

 

「フフ、やめてよ。」

 

 

赤く柔らかい唇に自分の唇を重ねる。

 

 

瞑っちゃったつぶらな瞳が勿体ないな…

 

 

なんて考えながら唇を重ねる翔くんの顔を焦点の合わない距離で見る。

 

長いまつ毛、自分とは対称的に白い肌、キリッとした眉毛、スッと通った丸みのある鼻、形のいい唇。

 

 

こんなの描けるわけない。

どんな天才的な芸術家だって、翔くんよりも綺麗なものは造れない。

 

世界で唯一の存在。

今まで出会ったことのない今世紀最高の傑作だ。

 

 

「ねぇ、しょおくん。」

 

「ん?」

 

「夏休みはキスから始めようか。」

 

「ふふ、なにそれw」

 

「だぁいすき。」

 

「ねむそーに言うなよ〜w」

 

 

重くなる瞼に負けそうになりながら翔くんに笑いかけたが、睡魔にやられそうなのはバレバレみたいだ。

 

 

翔くんのキスで目覚めたら、もう夏休みになっててくれたりしないかな。

 

 

 

 

 

 

 

Side A

 

 

「ほー。あれは完全にキスしてますね。」

 

 

窓の縁に肘をついたニノが横から言う。

 

 

「…泣きそう。」

 

「だから見ない方がいいよって俺言ったじゃん。」

 

 

反対の隣で壁に背中をもたれさせて立っている松潤が呆れたように言う。

 

 

3階の教室の窓から見える中庭。

生い茂った青い木々で完全には見えないが、ベンチに並んで座る2人が微かにうかがえる。

 

 

「まーくん、もう諦めなって。翔さんは大野さんと」

 

「わーーーー!」

 

 

ニノの言葉を聞きたくなくて声で塞ぐ。

 

 

「相葉くん、うるさい。まぁ、今は無理でも?別れたらいけるんじゃない?」

 

 

慰めてくれる松潤の顔はめんどくさそうにも見える。

 

 

「2人は俺のこと応援してくれてたじゃん!」

 

「そりゃ、応援してましたけど。」

 

「翔くんが大野さんのこと好きなんだったらどうすることもできなくない?」

 

「……なんで俺じゃないんだ。俺の方が背が高いのに。」

 

「相葉くんが勝ててるのそこなんだw」

 

「まーくんはかっこいいよ?」

 

 

ニノが真顔で言う。

 

 

「そうだよ。俺も相葉くんはイケメンだと思ってる!」

 

 

松潤も真剣に言う。

 

 

「うぅ、2人とも〜!ありがとう〜!」

 

 

2人の言葉に感激して泣きそうになる。

 

 

「まーくんはモテるから翔さん以外とならすぐに付き合えるよ!」

 

「そうだよ!夏だし新しい恋するのはどう?」

 

「え〜できるかな〜。」

 

「大丈夫ですって!よし、じゃあ、今日は早速駅前のマックでナンパでもしてみます?俺らもついて行くんで!」

 

「翔くんより可愛い…子はいないかもしれないけど、きっといい感じの人が見つかるよ!相葉くん!」

 

「2人とも…なんていい人なんだ…。よしっ!行こう!俺、新しい恋見つける!放課後はマックだ!お礼にポテト奢るよ!!」

 

「えぇっ!いいの!ありがとうっ!!」

 

「まーくん!ごちそうさまです!」

 

 

新しい恋。なんて口では言ってても、やっぱりまだ翔ちゃんが好きな気持ちは消えそうもない。

 

 

後ろで2人が謎のハイタッチをしているのを気にも止めずに、中庭を窓から覗いてしまう未練たらしい自分にため息をついた。

 

 

夏の日差しみたいに眩しくて、爽やかな香りが胸をドキドキさせた。

凛としていて近寄りがたいのに、誰よりも綺麗に柔らかく笑う。

 

そんな人はこれまでもこれからも翔ちゃんしか存在しない。

 

こんな気持ちも翔ちゃんにしか感じない。

 

 

「来世紀は翔ちゃんと結ばれますように…」

 

 

夏の青空に虚しく放たれた独り言を入道雲がもくもくとかき消していった気がした。