続きです!
※相櫻
※BL
※学パロ
自己責任でお願いします🙇🏻♀️
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テストの点数は散々だったが、2位と4点差でなんとか1位を死守した。
「ギリギリだったね〜。ま、でも1位は1位だから。」
当たり前のように俺の部屋で漫画を読みながら寛いでいる潤。
「別にそんな気にしてないけど。…てか、朝から何してんの?」
「逆に聞いていい?…どこ行くの?」
「え!?…ちょっと用事が…」
「翔くんがオシャレしてるの久しぶりに見た。」
鏡の前でもう一度全身を確認する。
「なぁ、変じゃない!?オシャレ?!」
「うん、かっこいい。やっぱ翔くんってVネック似合うね。」
「…そ、そう?ってか、もう俺出るからお前も帰れよ!」
時計を見ると8時半を指していて、潤の間延びした返事を背中に受けながら部屋を出る。
私服で学校に入ることに違和感を感じる。
体育館に近づくと、ドリブルの音と応援や掛け声などが騒がしく入り混じっていた。
2階のギャラリーには思っていたよりも人がいて、なんとか隙間を見つけて試合を見る。
相変わらず、相葉くんはかっこいい。
Tシャツの袖を肩まで捲り上げていて、露わになっている引き締まった二の腕。
細いのに逞しさを感じるふくらはぎ。
2年生なのにレギュラーで、バンバン得点を決めている。
「すげぇな、ほんと…」
この体育館の中で誰よりもかっこよく、誰よりも輝いている。
俺が相葉くんよりかっこよくなれる時なんてあんのかな〜…
「ねぇ、あの8番の人めっちゃかっこよくない?」
隣にいた同い年くらいの私服の女子4人組の1人が興奮気味に話した。
8番のゼッケンをつけてコートに立っているのは相葉くん一人だ。
「あ〜、相葉雅紀ね。」
その横のショートボブの女子が知った風に言う。
「え、知り合い?」
他の3人が食いつく。
「う〜ん、知り合いっていうか。元カレ?」
心臓がザワザワと鳴る。
横目で顔を覗くと色白で美人な顔立ちだった。
相葉くんの、元カノ…
「それまじ?いつ?中学?」
「そう、中学。クラスも一緒だった。昔からかっこよかったよ〜」
少し自慢げに話す態度が癪に触った。
「もったいなくない?なんで別れたの〜?」
「う〜ん、なんか重いんだよね〜。何しても許してくれるし、何でもやってくれるし。後半とかどこまでお願い聞いてくれるか友達と賭けしてたw」
「なにそれ〜w 最低じゃんw
で、どんなお願いしたの?」
「え〜、結構な値段の物買ってって頼んだり、電車ない時間に3駅離れた私の家の近くまで呼び出したり〜。あ、そうだ。他に好きな人が出来たから2番目になってってお願いも聞いてくれたんだよね〜。」
「え、なにそれーやば〜。あんたにぞっこんだったってこと?」
「ん〜?どうなんだろ。でもその後、あそこにいるチビが私のとこに来たの。」
その女子は顎をクイッと動かして、ベンチに座っている二宮くんを指した。
「あ〜、あのマネージャーの子?」
「そう。で、まーくんと誠実に付き合えないなら別れろって言ってきて。」
「なんであの子が?」
「さぁ?で、あいつがよく分かんないこと一方的にベラベラ喋って説教してきたから、萎えて別れたの。誰かに怒られてまで付き合うとか怠いじゃん?」
「えぇ〜、それって友情?それともボーイズラブ?w」
「う〜ん、あのチビ1個下で雅紀は弟みたいなもんって言ってたけどね。でも、恋愛絡んでたらキモすぎ。別れて正解だったわw」
ケラケラ笑って話している4人に怒りが収まらなかった。
きっと、俺以外の時間が止まったら間違いなく殴り倒しているだろう。
「じゃあさ、今の彼氏が元彼と試合してんのって結構おもしろい状況じゃ〜ん。どう?どっち応援する?」
「そんなの、今彼に決まってるよ。」
「でも、正直さ、相葉くんだっけ?イケメンじゃない?私タイプ〜!」
1番最初に相葉くんをかっこいいと言っていた女子がノリノリで話す。
「まじ?紹介してあげよっか?」
「え、いいの!?」
「うん、中学のグループLINEにいるから連絡先は分かるよ〜。」
「やった〜!夏までに彼氏欲しかったんだよね〜。」
「教えてあげるんだから絶対ものにしなね〜?
まぁ、高校生の男なんてみんなヤリたいだけの猿だから行けるっしょ。」
「そうそう。あんた胸あるし、谷間見せときゃ余裕よw」
「え、相葉くんって上手なの?」
「う〜ん、まあまあかな?」
「えぇ〜上手い人がいいな〜。でも顔がタイプだから許せるかも〜w」
「ま、とりあえず、この練習試合終わったら雅紀も誘ってみんなで遊ぶ?たぶん私が誘ったら断らないよ。」
「お願いなんでも聞いてくれるもんねw あ、賭けする?w」
「あははw さいて〜w」
怒りと悲しみと嫉妬と虚しさが複雑に入り乱れていて、表現しようにない感情だった。
以前、二宮くんが言っていた「たくさん相葉さんに求めるから、あの人いっぱいいっぱいになっちゃうんです。」の意味がわかった。
くだらない女のせいで大切な人が傷つけられたら黙っていられるわけがない。
俺だったら説教くらいじゃ済まなかっただろう。
今だって掴みかかって殴り飛ばしたい気持ちでいっぱいだ。
そんな気持ちを必死に抑えて試合観戦に集中した。
何度か二宮くんがこちらの方を忌々しげに睨んでいて、きっと俺の隣の4人のことに気づいているのだとわかった。