続きです!

 

※相櫻

※BL

※学パロ

 

自己責任でお願いします🙇🏻‍♀️

 

誰が話してるか示してるやつめんどくさくてやめちゃいました😅

読みづらかったら、すみません💦

 

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「翔ちゃん……」

 

 

あ、相葉く、ん…?

 

目を開けると目の前に相葉くんの顔がある。

周りを見てもそこはいつもの自分の部屋で、ベッドの上で寝ている俺の上に覆い被さるように相葉くんが見下ろす。

 

 

「な、なんで?相葉くんが??」

 

「翔ちゃん、俺、翔ちゃんが好きだよ…」

 

 

だんだんと近づく相葉くんの顔。

 

 

「ちょ、ちょ、相葉くん!!」

 

 

抵抗して相葉くんの肩を押すのに上手く力が入らず、全くの無意味だ。

迫り来る整った顔に胸がドキドキとうるさくなる。

 

 

「あ、相葉くんっ!!!」

 

 

バッと起き上がると目の前に見慣れた濃ゆいイケメンの顔。

 

 

「は?」

 

「…え?じゅ、潤!?」

 

 

制服姿の潤が険しい顔をして俺を見る。

 

 

「翔くん…さすがにそれは…」

 

「い、いや!違う!違う!」

 

 

潤は床に置いていた鞄を持って、部屋のドアの前で止まる。

 

 

「リビングで待ってるね…あ、誰にも言わないから。」

 

 

俺の方を見ずにそう言い残して出ていった。

 

 

「……………やばくないか…俺?」

 

 

 

 

 

 

チャイムがテスト終了を告げ、全教科のテストが終わった。

そして俺の成績も終わった。

 

 

「………終わった。」

 

 

机の上に思わず突っ伏した。

 

こんなに手応えのないテストを受けたのは初めてで、よくわからない感情に襲われている。

 

相葉くんとの交際のことが常に頭をよぎり、相葉くんと過ごす時間がテストが近づくにつれ増えていき、煩悩にまみれた俺は全く勉強に集中できなかった。

 

帰り支度を済ませたクラスメイトが次々と教室を後にする。

みんなテストが終わり、一安心したように顔が晴れやかだ。

真顔で机に倒れ込んで俺だけだろう。

足はほとんど治りかけていて、歩くのも楽になってきたというのにこんなに帰るのが大儀なことがあるだろうか。

 

 

「…相葉くん、来ちゃうのに。」

 

 

相葉くんが迎えにきてくれる前に帰り支度を済ませなきゃいけないと分かっているのに頭はぐるぐると重たい。

夢のこともあって、なんだか会うのも気恥ずかしい。

 

 

「あ!翔ちゃん!!」

 

 

聞き慣れた声がしたと同時に教室がざわつく。

俺たちが一緒にいることへの違和感はこのテスト期間で学校中に広がっているのか、みんなの視線がよく刺さる。

 

教室に現れた相葉くんは制服ではなくバスケ部のジャージを着ていた。

 

 

「あ、あれ?相葉くん?その格好…」

 

 

相葉くんが軽やかに俺の席まで駆け寄り、顔の前で手を合わせる。

 

 

「ごめん!俺昨日言ってなかったよね?今日から部活あるって」

 

「え?あ、そーなんだ!」

 

「ごめんねー!ほんとに!翔ちゃん一人で帰れる?」

 

相葉くんは申し訳なさそうに俺の足を伺う。

 

「あー、大丈夫!無理そうだったら潤と帰るし!」

 

「そっか!気をつけて!ほんとにごめん!また連絡する!」

 

そう言って相葉くん小走りで教室を出て行ってしまった。

 

「ふぅ…。」

 

 

急な予定変更になんだかラッキーとも思いながら、ゆっくりと支度をして潤の教室へ向かった。

 

 

 

 

久しぶりの1年教室にはほとんど人がいなかった。1年生の最初のテストが終わった安心感からみんな早急に遊びに行ってしまったみたいだ。

 

 

「え?帰った?」

 

 

潤も例外ではなかったようで、残っていた1年生に尋ねるとテスト終了と同時に鞄を背負い大人数で遊びに出かけたらしい。

 

潤は元々にぎやかが好きで誰からも可愛がられるタイプだ。そしてあの顔なのだからクラスでも人気者なのだろう。

俺と一緒で友達がそんなにいないと勝手に思っていたのは俺の願望に過ぎなかったのか。

 

そんなことを考えながら1年教室を離れ、一階の校舎を歩いてるいると体育館からボールを床につく音がした。

 

松葉杖なしで歩けるようになったとは言え、まだ庇いながらゆっくりと歩くのが精一杯だった。

だけど、相葉くんの部活している姿に興味が湧き、少し早足で体育館へ近づいた。

 

 

 

 

 

 

「…わぁ、かっこいい。」

 

 

体育館棟の2階のギャラリーから覗いたそこには、手前側のコートで女子バレー部が汗を流しステージ側のコートでは男子バスケ部が練習に励んでいた。

 

一目で見つけてしまう相葉くん。

人一倍輝いて見えた。ボールが手に吸い付くようなドリブル、細いのにしっかりした腕で放たれるシュート。

俺はまるで恋する乙女かのように見惚れてしまっていた。

 

このまま何時間でも見ていられるな〜とテストのことなどすっかり忘れて目の前にあるギャラリーの手摺りに体重をかけて相葉くんを目で追っているとバスケ部の練習は休憩に入ったようだ。

 

 

「うわ、あれって…」

 

 

なんとなしに視線を動かしたことを後悔した。

バレー部とバスケ部の練習の声に混じって聞こえていた黄色い歓声の正体は、バスケ部の側にある出入り口にいる女子生徒だった。

ざっと見て10人くらいはいそうだ。

 

視線の先にはもちろん相葉くん。

と、もう1人愛嬌のある顔立ちをした人に向けられていた。

 

 

「やっぱ、人気なんだな〜」

 

 

面白くなくて自分でも驚くほど不機嫌な声が出た。

相葉くんは女子生徒に名前を呼ばれて、頭に小さなハテナを浮かべながらペコっとお辞儀をしている。

そんなことで一際大きくまた歓声が上がる。

 

一方、亮くんと呼ばれている人の方はそんな声援など丸無視で休憩中もシュートを打っている。

 

 

「相葉くんもあれくらい練習に集中しろよな…」

 

「そこに関しては同感です。」

 

「っ!…に、二宮くん。」

 

 

急に声がして弾かれたように振り向くと、相変わらず体調の悪そうな顔色の二宮くんがいた。

 

 

「テストお疲れ様でした。どうです?今回も1位は守れそうですか?」

 

「あぁ…ちょっと無理そうかな…」

 

「フッ、まあ学生の本文は勉強なのでくれぐれも頑張ってくださいよ。」

 

 

鼻で笑ってから薄ら笑いを浮かべられ、だいぶイラッとした。

 

 

「はい、そうですね。で、何しに体育館へ?てか、なんで体操服?」

 

「気づいてなかったんですか?俺ずっと下にいたんですけど。」

 

 

二宮くんが顎をクイっと動かし、バスケ部のコートを指す。

 

 

「え?え?二宮くんバスケ部なの?まじ?」

 

「マネージャーですけどね。」

 

 

そう言いながら俺の横に来て、手摺りに肘をつきバスケ部の方を見る。

 

確かに、太陽が嫌いそうな二宮くんが球技大会はバスケではなくサッカーに出ていた。

 

 

「マネージャー…」

 

「まぁ、俺が普通科にいる理由ですね。」

 

「…あ〜」

 

 

特進科は運動部への所属が認められていないから、相葉くんと同じ部活に所属するために普通科にいるという二宮くんに複雑な気持ちだった。

本当に相葉くんが好きなのだろう。

 

 

「足の調子はどうですか?」

 

 

二宮くんはこちらを見ずに問いかける。

 

 

「あ、もうほぼ治ったかな?」

 

「捻挫はくせになりやすいので気を抜かないでくださいね。」

 

「あ、は、はい。」

 

 

俺は二宮くんに嫌われてると思っているが、何気に怪我のことを気にかけてくれている。

マネージャーということもあり怪我に関しても知識があるのだろう。

根はいい子だと言っていた相葉くんの言葉を思い出した。

チラッと盗みみた二宮くんの横顔は鼻筋が通っていて綺麗で可愛らしい。

相葉くんを見る視線は優しい。

 

 

「足の調子もいいなら、下で見ていったらどうですか?」

 

 

ピーッと休憩終了のブザーが鳴った。

 

 

「え?…え!?」

 

「無理にとは言わないですけど、あんな女どもより遠くで見てるなんて悔しくないんですか?それにいい牽制になるかなと思いますよ?」

 

「牽制??」

 

「ま、お好きにどうぞ。」

 

 

そう言って二宮くんが行ってしまう背中を少し迷ってから追った。

 

 

 

 

 

 

「ええええ!!!!翔ちゃんっ!!!!」

 

 

体育館中に響くほどの声で相葉くんが叫ぶ。

一気に視線が注がれ、バレー部の人もこちらを見ている。

相葉くんが駆け寄る。

 

 

「どうしたの!?足は?大丈夫??」

 

 

おでこに汗を光らせた相葉くんはいつもよりずっと眩しい。

 

 

「う、うん大丈夫…その、暇だったから…」

 

「うわぁ、なんか翔ちゃんに見られてると緊張するなー!!!」

 

 

緊張すると言いながら、その弾ける笑顔はすごく嬉しそうに見える。

そんな顔を見てこちらまで嬉しくなってしまう。

 

 

「相葉さん、練習中です。」

 

 

二宮くんが呆れた声で注意し、はいはいと相葉くんは言って練習に戻る。

 

俺は二宮くんの後について行き、ステージ前に置いてある椅子に座った。

出入り口付近で見ている女子生徒達がヒソヒソと話をしながらこちらを見ていて居心地が悪かった。

バスケ部の人たちもチラチラと気にしてはいるが話しかけてはこなかった。

相葉くんは何度も俺を見て、ニコッと笑ってくれる。その度に二宮くんに集中しろと注意されている。

 

外部コーチと思われる25歳くらいの人の指導を受けながら進む練習。

これぞ青春というような光景にサッカーをしていた頃が懐かしくなった。

 

 

「それ、取ってもらっていいですか?」

 

 

ふと声をかけられそちらを見ると、黄色い歓声を受けていた相葉くんじゃない方。

確か、亮くんと呼ばれていた人。

 

 

「え?あ、これか。」

 

 

その人の視線の先を追い、座っているイスの下にドリンクボトルを見つけた。

拾いあげて手渡すと、あざすっと言って受け取られた。

 

 

「雅紀さんの友達ですか?」

 

 

質問の答えに一瞬詰まった。相葉くんの下の名前が雅紀だとすぐに結びつかなかった。

 

 

「え、あ、はい。」

 

「あ、俺、1年っす!」

 

 

その人は眉をハの字にして笑っていう。

大きな目に優しそうな笑い皺。可愛らしい顔ながらもはっきりとした目鼻立ちで男らしさを感じる。そして愛嬌を感じさせるほくろ。

これはモテるな。

 

 

「そ、そっか。すごい上手なんだね!」

 

 

嬉しそうに、えへへっと笑ってあざっすと言って渡したドリンクボトルを傾け口を付けずに飲む。

首元に浮き出る血管、口の端から漏れた水が首に滴って色っぽいな〜と思った。

 

それを見ていて喉が渇き、カバンの中から水筒を取り出して飲んだ。

 

 

 

 

 

「すぐ着替えて帰る準備していくから先に昇降口で待ってて!!」

 

 

練習が終わって、片付けをしている相葉くんにそう伝えられ1人昇降口へトボトボ歩き出した。

 

 

二宮くんも一緒に帰るのかな?そうだよね。

気まずいな…。

 

 

そんなことを考えながら、足を庇いながら歩く。

 

 

「先輩!これ、忘れてます!」

 

 

振り返ると後ろから亮くんがパタパタと走ってくる。

手には俺の水筒を持っていて、忘れていたことに気がついた。

 

 

「あ、ありがとう!忘れてた。ごめん!」

 

 

水筒を受け取ると亮くんは全然いいっすと言って可愛らしく笑った。

 

 

「先輩の名前聞いてもいいですか?」

 

「え?あ、俺?櫻井翔です。」

 

「櫻井先輩…」

 

「翔でいいよ。」

 

「じゃあ、翔さんで!俺は錦戸っていいます!」

 

「錦戸くん。あ、亮くんって呼ばれてたよね?ファンの子?に」

 

「ファンの子って何すか〜」

 

 

と言って少々豪快に笑った。

 

 

「練習中たくさんいたよね、女の子。」

 

「あ〜、ほとんど雅紀さんのファンっすよ。俺はついでです。」

 

「へ、へぇ〜」

 

 

ほとんどが相葉くんのファンということに胸が痛んだ。

 

 

「雅紀さんって同い年だけじゃなくて先輩にも後輩にも人気なんすよね〜。まあ、男から見てもかっこいいですからね。」

 

「そうだね…」

 

 

特進棟だけで生活していた俺は、ついこの間まで相葉くんの何も知らなくて、俺よりも昔から相葉くんのことをいいと思っていた人はたくさんいたんだよな。

 

 

「翔さん?」

 

 

無意識に俯いてしまっていた俺を錦戸くんが覗き込んだ。大きな黒目に捉えられ、少し驚く。

 

 

「あ、あぁ!大丈夫!」

 

「…翔さんってスポーツとかやってました?」

 

「え?あぁ、中学まではサッカーしてたかな?」

 

「へぇ!なのに、こんな色白いんすね!」

 

 

錦戸くんが俺の手を取って、自分の手の甲と色を比べる。

 

 

「もう、2年くらいインドアしてるからかな?」

 

 

俺より大きな錦戸くんの手が自分の色白さを際立たせ、サッカーから離れた年月を感じて少し寂しくなる自分がいた。

 

 

「やっぱ、ニノくんが1番白いな。あの人は白い上に不健康ですしね。」

 

「あはは、それ本人に聞かれたら睨まれそう。」

 

「いや〜、あの冷ややかな視線はだいぶ刺さりますよね…考えただけで怖いわ」

 

「同い年だし、仲良いんじゃないの?」

 

「隣のクラスなんですけど、雅紀さんといない時はほぼ俺のとこに来て、ゲームの話か雅紀さんの話を一方的にずっと喋ってます。」

 

「めっちゃ仲良いじゃん!」

 

「そんなことないっすよ!めちゃくちゃバカにしてきますもん!俺のこと!この間なんて〜」

 

 

錦戸くんと二宮くんのエピソードが面白くて、しばらく話していた。

 

 

「はぁ、面白い…。あ、錦戸くん着替えなくて大丈夫??」

 

「あ、ほんとだ!」

 

 

錦戸くんは練習終わりのジャージのままだ。

いくら6月も中旬で暖かくなったとはいえ、汗が冷えると寒いだろう。

 

 

「なんか、ごめんね。水筒ありがとう!」

 

「いや、俺も話せて楽しかったっす!…あ、」

 

「?」

 

 

錦戸くんはそう言って俺の顔に手を伸ばす。

近づく手を視線で追う。

 

 

パシッ

 

 

「なにしてんの?」

 

 

その手は顔に少し触れたところで止まった。

後ろから伸びた手に錦戸くんの手が捕まって、いつもの聞き慣れた声よりも低い声がした。

 

 

「雅紀さん!」

 

 

首だけで振り返るといつもの穏やかな笑顔ではなく、真顔で錦戸くんを見る相葉くんがいた。

 

 

「昇降口行ったのに翔ちゃんいないから心配したよ。で、にしきは何してんの?」

 

 

固い笑顔の相葉くんは錦戸くんの手を離すが、視線は外さない。

 

 

「いや、翔さんが水筒忘れてて」

 

「翔さん?2人って知り合い?」

 

「今日初めて話して、それで錦戸くんが水筒届けてくれたから少し話してたんだよ!ごめんね、錦戸くん!」

 

 

あ、全然っすと言って首をペコっと動かす。

 

 

「…あ、それで、翔さんの目の下にまつ毛ついてるから取ろうと思って。」

 

 

錦戸くんは自分の左目の下を指で示しながら言う。

俺は自分の顔の錦戸くんが指した場所と同じ場所を指で触れてみると、指に確かにまつ毛がついていた。

 

 

「あ、ほんとだ。」

 

「…じゃ、じゃあ俺行くんで!お疲れ様ですっ」

 

「あ、う、うん!お疲れ!」

 

 

錦戸くんはそう言った俺にニコッと笑ってから相葉くんを向いて深く頭を下げると、急足でその場を去っていった。

 

 

「相葉くんもお疲れ様…」

 

「うん、お疲れ。」

 

 

どことなく元気がない相葉くん。

 

 

練習終わりだし、疲れてるよね…

 

 

帰ろっかと相葉くんが呟いて、2人で昇降口へ向かう。

 

 

「二宮くんは?」

 

「もう、帰ったよ。」

 

「一緒じゃなくて良かったの?」

 

「うん、俺がよく残って練習したりするから帰りはバラバラなこと多いよ。」

 

「そうなんだ…あ、テストどうだった?俺、今回ちょっとやばそうなんだよな〜」

 

「翔ちゃんがやばいなら、俺はもう終わってるよ!」

 

 

少しいつもの顔になった相葉くんにほっとする。

 

 

「…次のテストは一緒に勉強、しようね。」

 

「うん!!!」

 

 

相葉くんがいつものような笑顔で笑いかけてくれたことに安心して、思わず顔が緩んだ。

 

 

「今日は翔ちゃん見にきたから驚いたよ〜!」

 

「俺もたまたま近く通ったから覗いたんだけど、二宮くんが中まで入れてくれて…相葉くんすごい人気だね。」

 

「え?」

 

「女の子いっぱい来てた。」

 

「あ〜!いつも応援してくれてるんだよね!嬉しいよね〜!」

 

 

相葉くはどこまで鈍感なのか。

女子生徒はどう考えても下心ありで声援を送っていた。

 

 

「…嬉しいんだ。」

 

「差し入れくれる子とかいるから他の部員も喜んでるんだよね!あ、でも、にしきにお弁当作ってきてくれた子がいたんだけど、あいつ人見知りだから受け取らなくて、その女の子泣いちゃってさ〜、代わりに俺が受け取ったんだよ〜」

 

 

その後その女の子が相葉くんを好きになったことなど簡単に想像できてしまう。

どこまでも罪な男だ。

 

 

「へぇ、錦戸くんって人見知りなんだ。普通に話してくれてたけど無理してたのかな。」

 

 

全然そんな感じはしなかった。

 

 

「何話してたの?にしきと」

 

「え?あぁ…二宮くんの話かな?あと、俺が色白だからスポーツとかやってたかとかそんな話かな?」

 

「ふ〜ん。」

 

「錦戸くんとこうやって手の甲の色比べたら結構違くて、」

 

 

相葉くんの手を取って、錦戸くんとやったように手の甲の色を比べる。

 

 

「え、こうやってやったの?にしきと?」

 

「?あ、いや、錦戸くんがこうやって比べてくれた、かな?」

 

 

相葉くんは黙り込んで並んだ手を見つめる。

 

 

「相葉、くん?」

 

「…翔ちゃ〜ん、俺きもいかも〜」

 

 

相葉くんは急にうなだれながらしゃがみ込んだ。

 

 

「ええっ、どうしたの?!」

 

「…引かない?」

 

 

相葉くんが上目遣いで俺を見て、首を少し傾げて聞く。

そんな相葉くんがなんだか可愛くて頬が緩んだ。

 

 

「引かないよ!どうしたの?」

 

「…翔ちゃんがにしきと仲良くしてるの嫌だった。」

 

「え?仲良くって…先の一瞬だけだけど?」

 

「でも、嫌だったんだよっ!触らせてんのもムカついちゃうんだよっ!…俺きもいよ〜」

 

 

相葉くんは眉間に皺を寄せてため息をついた。

 

 

恥ずかしさと嬉しさが入り混じって、よくわからない気持ちだった。

だけど、相葉くんが俺と同じような好きでいてくれてることにすこぶる安心していることは分かる。

 

 

「俺だって…相葉くんが女の子にキャーキャー言われてるの嫌だよ?」

 

「え?」

 

 

相葉くんが顔を上げて俺を見る。真っ直ぐな目に思わず目を逸らした。

 

 

「可愛い女の子に好かれて鼻の下伸ばしてんじゃねーよって思ってた。」

 

「伸ばしてないって!」

 

 

相葉くんが立ち上がって、否定する。

 

 

「嬉しそうだったけど?」

 

「今日は翔ちゃんがいたから嬉しかったの。」

 

「俺?」

 

 

相葉くんがコクリと頷く。

 

 

「それにどんな可愛い女の子より、俺には翔ちゃんが1番可愛いよ。」

 

「男としてはその褒め言葉、複雑なんだけど…」

 

「普段はかっこいいけど、俺の前だけでは可愛いんだよ。翔ちゃんは。」

 

 

相葉くんが俺の好きな優しい笑顔を向けてくれる。

 

 

「相葉くんも可愛いし、かっこいい。」

 

「ほんと?」

 

 

相葉くんが少し距離を詰めた。

肩に手を置かれたところが熱くなる。

少し低く甘くなる相葉くんの声。

 

 

「うん、相葉くんしか目に入らなかったくらいかっこいい。」

 

「翔ちゃんが見てたからいつもより頑張れた。」

 

 

ギリギリ焦点が合うくらいの距離に相葉くんの顔がある。

夢で見たよりもずっと綺麗な鼻筋。

 

 

「また見にいってもいい?」

 

「うん、いつでも来て。翔ちゃん…」

 

 

吐息が混じり合い、鼻先が触れたと同時に自然に目を閉じる。

触れた唇は少し冷たくて心地よかった。

 

 

少し夕暮れに差しかかった放課後の廊下は静まりかえっていた。