続きです!

 

※相櫻

※BL

※学パロ

 

自己責任でお願いします🙇🏻‍♀️

 

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考えてみたら俺は人と付き合ったことなんてなかった。

 

相葉くんのことは恋愛的な意味で好きだ。

だって、潤のことは当然好きだけど誰かと付き合っていたってなんとも思わない。

だけど、相葉くんが誰かと付き合うことを考えると胸が苦しい。

それは俺が相葉くんを好きだから。

 

ただ、女とも付き合ったことのない俺は相葉くんと恋人になるということの理解に、

いま苦しんでいる。

 

 

🟣「しょおく〜ん?翔くん!」

 

🔴「え、?あ、なに?」

 

🟣「お昼、今日はどうするの?」

 

🔴「お昼?」

 

🟣「だから!今日も相葉先輩とお昼食べるの?って聞いてるの!」

 

🔴「あ、あぁ、うん。」

 

🟣「おっけ!じゃあ、また明日の朝ね」

 

 

そう言って教室から出て行った。

あれから1週間がたち相変わらず朝は潤のお母さんに車で送ってもらっている。

お昼は教室で相葉くんと食べて、下校は相葉くんの部活が終わるのを待って一緒に帰る。

 

あの日から一緒にいる時間は確実に増えた。

相葉くんといると楽しくて、話しているだけで満足してしまう。

そして、一人になって我にかえる。

 

俺たちって付き合ってるんだっけ?

恋人って何するんだっけ?

そもそも付き合うって何?

 

テストを1週間前に控えた今勉強に集中しなければいけないのに、そんなことを考えてばかりでなかなか身が入らない。

 

午前の授業もなんとなく聞き流してしまっていた。

いつのまにか昼休み。

 

 

トントン

 

 

後ろから肩を叩かれる。

 

 

🔴「相葉く…ん…あれ?」

 

いつものように相葉くんがそこにいるのかと思ったら

 

 

🔴「二宮、くん…」

 

🟡「どぉも〜。すみませんね〜、相葉さんじゃなくて。」

 

 

二宮くんはわかりやすい営業スマイルで現れた。

相変わらずの顔色でだるそうに、いつも相葉くんが座る俺の前の席に座った。

 

 

🔴「えっと…相葉くんは?」

 

🟡「今日から部活自主練期間に入るから昼休みに週一のミーティングやるの言い忘れてたみたいで。伝えといてって。」

 

🔴「そ、そうなんだ。メールしてくれればよかったのに…」

 

🟡「ほんとにいい迷惑ですよ〜。わざわざこんな遠い教室まで伝言に来させられて。」

 

 

二宮くんはぶつぶつと文句を言いながら机の上にお弁当を広げ始めた。

 

 

🔴「あ、ここで、食べるの?」

 

🟡「あれ?ダメでした?」

 

🔴「いや、ダメじゃないです。」

 

 

俺もリュックからお弁当を取り出して広げる。

二宮くんがいただきますと言って、お弁当の蓋を開けた。

俺はその中身に目を見開いた。

 

 

🟡「なんです?」

 

🔴「いや、その。ハンバーグ好きなのかな?と思って…。」

 

🟡「えぇ!なんでわかったんですか〜?!」

 

🔴「いや、わかるでしょ!ハンバーグしか入ってないじゃん!」

 

 

二宮くんはわざとらしく驚いた顔をした。

二段弁当箱にはハンバーグがこれでもかと入っていて、それ以外はほんとに少しだけの白米。

 

 

🟡「…で、どうなんですか?」

 

🔴「え?なにが?」

 

 

ハンバーグをパクパクと食べ進めながら、唐突に質問を投げかけられる。

 

 

🟡「足、痛いんですか?」

 

🔴「あ、あぁ、足!うん、だいぶましになったよ。」

 

 

そうですかと興味は無さそうだが、テーピングをしている方に自分の足がぶつからないように足を横向きに座っているあたり気遣ってくれているようだ。

 

🟡「クラスメイトが心配してたので、大丈夫そうだと伝えておきますね。」

 

🔴「あー!あの子か!手首大丈夫そ?」

 

🟡「はい、軽い打撲だったそうですよ。」

 

🔴「そっか。」

 

🟡「俺も前に野球の試合でデッドボールくらった時、相葉さんに医務室までお姫様抱っこで運んでもらったことあるんですよ。」

 

 

二宮くんは急に箸を止めて俺の目をじっと見つめてくる。

俺もなんとなく箸を止める。

 

 

🟡「相葉さんって自分もスポーツしてるから余計に怪我に敏感になってて、学校でも町でもどこでもすぐに助けちゃうからよく勘違いされるんですね。」

 

🔴「……。」

 

 

何を言われているのか分からないほど、俺は馬鹿じゃない。

二宮くんは俺の相葉くんへの気持ちを勘違いだと言っている。

何も答えない俺を気にせず話し続ける。

 

 

🟡「相葉さんもバカだから勘違いしやすくて、相手に好きだって言われたら俺も好きかもって思っちゃう人なんですよね。

でも、そんな勘違いで向こうから好きになったくせにたくさん相葉さんに求めるから、あの人いっぱいいっぱいになっちゃうんです。

はぁ、高校入ってからはそうなる前に出る杭を打ってきたつもりだったのにな〜。男はノーマークでしたよ。」

 

🔴「だいたい話は見えたけど、それで二宮くんは相葉くんのなんなの?」

 

 

相葉くんを諦めろと、これ以上近づくなと

遠回しに言われているのはわかった。

 

 

🔴「二宮くんは何の権利があって俺にそんな話をしにきたの?」

 

🟡「あはは、やっぱ、一筋縄じゃないかないですね、学年1位は。もちろん俺には何の権利もないただの相葉さんの幼馴染ですよ?」

 

 

二宮くんからは最初の余裕が消え、表情を失わせた。

 

 

🔴「じゃあ、」

 

🟡「でも、傷つける可能性がある人を野放しにできない程度には相葉さんが大事ですね。」

 

 

前のめりに言う二宮くんに一瞬怯んだ。

 

 

🔴「なんで傷つける可能性が俺にあるの?」

 

🟡「覚悟が足りてないようなので。」

 

🔴「は?」

 

🟡「まぁ、無理だと思ったら早めに離れてください。俺が言いたいことはそれだけです。」

 

🔴「な、なんだよ、それ…」

 

🟡「俺に対しての変な意地張らずに引き際は速やかにお願いします。」

 

🔴「……。」

 

 

二宮くんはまたパクパクと箸をすすめて無言でハンバーグ弁当を食べ始めた。

 

 

 

 

 

 

午後の授業は二宮くんのせいでもっと内容が入らなかった。

 

 

傷つける可能性?覚悟が足りない?

 

 

どういうことなのか分からないとモンモンとしていたが、その答えはすぐに明らかになる。

 

 

 

 

 

🟢「翔ちゃん!帰ろ!」

 

 

終礼が終わり帰り支度を始めようとしたところで勢いよく相葉くんが姿を表した。

 

 

🔴「相葉くん!?早くない?自主練は?」

 

🟢「今日は昼にミーティングあったからそれで終わった!!」

 

🔴「そうなんだ!ちょっと待ってね、準備するから」

 

 

相葉くんは俺の横で支度が終わるのを待っている。

 

 

「あれ?まさきじゃん!また来たのか!」

 

 

クラスメイトで相葉くんの友達が話しかけてきた。

1年生の頃は相葉くんと同じクラスだったらしい。

 

 

🟢「そう!翔ちゃん迎えに来たの!」

 

「あー、勉強教えてもらってんのか!」

 

 

俺は会話に入らず帰り支度を急ぐ。

 

 

🟢「違うよ!翔ちゃんを家まで送るの!」

 

「あ〜、なるほどな。相変わらず面倒見いいな、まさきは。」

 

 

そのクラスメイトが俺を足に視線を送って言う。

 

 

🟢「そんなことないよ〜」

 

「1年のときも体育で怪我した奴いたらすぐに助けにいってたよな。」

 

 

昼休みの二宮くんの話を思い出してチクリと胸が痛んだ。

 

 

🟢「う〜ん、でもさすがに家までは送らないよ〜!」

 

「でも、送ってやるんだろ?」

 

🟢「うん!翔ちゃんは俺の大切な人だからね!」

 

 

ガサッ バラバラバラ

 

 

動揺して思わず支度が終わりかけていたリュックを落としてしまった。

 

 

🟢「翔ちゃん?大丈夫?」

 

🔴「あ、うん。ごめん。」

 

 

相葉くんが落ちたノートやプリントを拾ってくれる。

再びリュックに詰めて、帰り支度を終わらせる。

 

 

🟢「じゃあ、俺ら帰るね!バイバイ!」

 

「お、おぉ、バイバイ。」

 

 

いつものように相葉くんに手を貸してもらいながら教室を出るときに感じた視線。

今日までは相葉くんの部活が終わってから帰っていたから、教室に誰もいなくて気づかなかったんだ。

周りからの不審な視線。

 

 

🟢「今日お昼ごめんね!」

 

🔴「あ、全然いいよ!わざわざ二宮くん言いに来てくれたから。」

 

🟢「あー、ニノが急に俺が言いにいくって言うからさ。何事かと思ったよ〜。」

 

 

笑いながら話す相葉くんとは対照的にその瞬間、俺は二宮くんの言葉の意味がわかり笑えなかった。

 

分かっていたんだ、二宮くんは。

今日から他の生徒と同じ時間帯に下校することになる。

周りからの視線は避けられない。

もし、俺が動揺して相葉くんを突き放したりしたら相葉くんが傷つくから予防線を張りにきたんだ。

 

 

🟢「翔ちゃん?なんか元気ない?」

 

 

普通科ではかなり目立つ存在の相葉くんと学年1位というだけの目立たない俺が一緒にいるだけで異様な光景なのだろう。

なんであの2人?どういう関係?と伝わる視線を背中に感じながら昇降口を抜け、学校を出たところで相葉くんが心配そうに尋ねた。

 

 

🔴「え?あ、大丈夫!」

 

🟢「ほんとに?ニノに何か言われた?」

 

🔴「え!?」

 

 

相葉くんはふふっと笑った。

 

 

🟢「いい子なんだけど、ちょっと変わってるんだよね。」

 

🔴「だいぶ、ね。」

 

🟢「最近しつこいくらいに言ってきてたからな…」

 

🔴「なにを?」

 

🟢「あの人は何も分かってないって。」

 

 

相葉くんの横顔は笑っているけど少し寂しそうに見てた。

 

 

🔴「あの人って俺のこと?」

 

🟢「かな?付き合ってるって言ってからだし。」

 

🔴「…え?」

 

🟢「え?」

 

 

思わず立ち止まる。

相葉くんも立ち止まって俺を見る。

 

 

🔴「言ったの…?二宮くんに付き合ってるって。」

 

🟢「うん、あれ?聞いてない?」

 

🔴「俺が好きなのはバレてるだろうとは思ったけど…」

 

🟢「……」

 

 

相葉くんが口を手で押さえる。

 

 

🔴「なに?」

 

🟢「いや、翔ちゃんが俺を好きって…」

 

🔴「……」

 

 

2人の間に沈黙が流れる。

 

 

🔴「あのさ、聞きたかったんだけど、相葉くんってなんで俺のこと好きなの?」

 

🟢「え、聞く?」

 

🔴「聞く。」

 

🟢「中学3年のときに」

 

🔴「中学!?」

 

🟢「うん。その日俺、弟と本屋に新刊の漫画買いに行ったんだけど、もう売りきれてて。弟6歳とかだったから売り切れの意味わかんなくて大泣きしちゃって、慌てて抱っこして店の外に出ようとしたら、翔ちゃんが、よかったらこれどうぞってその漫画譲ってくれたんだよね。」

 

🔴「え、全然覚えてない。」

 

🟢「2年前だからね。でも俺は翔ちゃんの顔見て思い出したよ。あ、あの時の人だって。それで絶対いい人だから友達になりたいなって最初は思ってたんだけど、」

 

🔴「たんだけど?」

 

🟢「翔ちゃん普通に可愛いし、なんでもクールにこなしてるようで一生懸命なところが好きだなって。そしたらいつのまにか目で追ってて、どこにいても見つけちゃうし、一緒にいたくなった。」

 

 

相葉くんが優しい笑顔を向ける。

 

 

🔴「そっ、か。」

 

🟢「はい!次は翔ちゃんね!」

 

🔴「え?!」

 

🟢「俺のどこが好き?」

 

 

相葉くんがいたずらっ子な顔で聞いてくる。

 

 

🔴「か、かっこいいところ?」

 

🟢「え?それだけ!?」

 

🔴「優しくて爽やかで…」

 

🟢「なんか軽くない?」

 

🔴「相葉くんが重いんだよ!!!」

 

 

油断したらにやけが止まらなくなりそうだった。

 

 

昼休みに二宮くんが言っていた。相葉くんは好きと言われたら好きだと思い始める、という言葉が気になって仕方なかった。

どうして俺のことを好きなのか漠然と不安に思っていたから、こんなにもはっきりと俺を好きな理由があったことが嬉しくてたまらない。 

 

 

🟢「翔ちゃん、ニノの言葉あんまり気にしすぎないでね。」

 

🔴「え?!」

 

 

たった今気にしていたところだったから少し慌てた。

 

 

🟢「なぜかあの子、俺のことに対しては過保護になるところがあるからさ。俺は翔ちゃんの気持ちを信じてるし、何があっても守るから。」

 

 

優しくも男らしい笑顔。

どうしてこんなにもこの人は。

 

 

🔴「かっこよすぎ…」

 

🟢「…ありがとう。」

 

 

やっぱり相葉くんといると何も考えられなくなる。

一緒にいられるならそれでいいと思ってしまう。

今日俺は生まれて初めて問題を後回しにした。