NHKEテレ100分で名書より 新渡戸稲造「武士道」


近代日本を作り上げていったのは、純粋で無骨な武士道である。

武士道の根本は、新渡戸稲造に拠れば、陽明学です。もちろん陽明学も、儒教の孔子の教えを、王陽明がつきつめたものです。

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(克己)
自分の感情を抑えて悲しみや苦しみを耐え忍ぶ。他人に自分の感情を見せない。
他人に心配させないように微笑む。

現代は新しいバランスを探し、求め、見つけなくてはいけない。
その上で、新渡戸さんの「武士道」はいろんな意味で参考になる。

それに賛成する人、否定する人いろいろな意見があるわけですが、
何か養分になることを一人一人が見出すことが出来れば新渡戸さんも喜ぶでしょう。


私は、日本人の精神的な根源・ルーツともいうべき武士道精神が、日本を変える、救う鍵となるのではないかと思い、関心を持っています。
もう一つは、論語だと思います。

今の日本に薄れつつある、尊いサムライスピリッツは、日本人よりも、海外で再評価を受けています。
論語といえば皆さんもご存知でしょうか?

右手に論語、左手にそろばん。と言う方もいらっしゃったような。


儒学の祖である孔子の言行録をまとめたもので日本の公家・武家を問わず必読とされて来た書物です。

現代に伝わるのは原書ではなく何晏や朱子が注釈をつけた注釈書だそうです。

日本の江戸時代には朱子の注釈書が幕府によって奨励されて(朱子学)後の世の明治維新の原動力となったそうです。

孔子の論語の学而第一(第一巻)の五です。


書き下し文
子曰わく、千乗(せんじょう)の国を道びくに、事を敬して信、用を節して人を愛し、民を使うに時を以(も)ってす。



現代語訳
孔子がおっしゃいました
「国家を統治するには、事業を慎重に行って信頼を得て、経費を節約して人々を愛し、人々を使役するには時節を選ばなければならない。」


国家統治の原則について述べられています。
なにやらどこかで聞いたことのあるような・・・十七条憲法の第十六条に「民を使うに時をもってするは、古の良き典(のり)なり。」と書いてあります。

聖徳太子といえば仏教を篤く信仰していたことが注目されがちでござるが、仏教と儒学が日本に伝来したのはほぼ同時期で、太子のもう一つの功績である官位十二階が儒学の徳目を官位名にしている事から解るように太子は儒学にも影響を受けていたようです。

最も聖徳太子が仏教・儒学・律令などの区別をどれ程重要視していたかどうかは不明です。
論語の五常をある企業のエピソードからご紹介したいと思います。

私が名古屋時代に著書の講演録を読み、勇気を頂いた丹羽宇一郎中国大使です。
当時は、伊藤忠の会長で、清く正しく美しくをまさに率先模範されていました。
魅力があり英断される方です。


伊藤忠商事は、ひと昔前は大企業の社長像がぴったりくる人物が多かったが、1998年に丹羽宇一郎社長(現会長)の就任後は、より個性とスピード感が増す経営になった。

当時、3900億円もの特損を計上するが、その後V字回復させ、ファミリーマート買収などを手掛ける立役者となった。
その丹羽氏は6年で社長を辞めると明言し、「スキップ・ワン・ジェネレーション」(次世代の社長は、一世代下の幹部から選ぶ)で、後継者に10歳下の小林栄三社長を選んだ。

指名の理由は「論語の五常(仁義礼智信)に加え、儒教の精神である『温』を持っていること」だ。
生き馬の目を抜く商社のなかで、従業員や取引先に対する人間的な優しさは群を抜いている。若手社員から、今でも飲みに誘われる親分肌でもある。

丹羽氏は名古屋大学、小林氏は大阪大学卒で、戦後初代社長の小菅宇一郎においては、八幡商業高校出身である。4月1日付で社長への就任が予定される岡藤正広副社長は東京大学出身だ。伊藤忠には、学閥は存在しない。



論語の五常です。

仁義礼智信、ですね。まずこれを、書きますね。

仁は、親愛の心。儒教の根本。
仁を、身ぢかな家族→親戚→社会 と、近くから遠くへと秩序だてて広める。人の価値は、これで決まる。

義とは、仁を広める形であり、親への孝・兄や年長者への悌・君主への忠・社会には礼。これが道義・正義である。

智は、正義の尊重。しかし智よりも、好む、楽しむ、という感情の方が、もっと重要だ。智は、感情には及ばない。
信は、対等な者どうしの信頼。これを失った者は使いものにならない。


礼を学ぶことが、学だ。礼儀を身につけた人を、学のある人という。
学のある人、それを決めるのは知識ではない。学は知識ではない。仁を実行して社会から信頼される人、そんな人が、学のある人だ。

仁による治政。それは、修己治人。わが身を修めて人を治める。政治とは、こうあるべきで、これこそ儒教の理念だ。
(「論語」宮崎市定、岩波現代文庫)