★この作品はかつてpixivに投稿した小説ですけど

わけあって、こちらでも紹介させていただくことにします。

それではお楽しみください。

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「姿を見せろ、化身忍者!」

ここは、とある山の中。

ハヤテは岩影に隠れて、自分を襲ってきた血車党の化身忍者に向かって叫んでいだ。

「ケケケ、よし、ならば姿を見せてやろう、だが驚くなよハヤテ!」

笑いながら化身忍者は、その姿を表す。

その頭部は狼だが、人間同様の二足歩行、身体中も獣毛で覆われ、両手、両足には鋭い爪、狼であることを表すふさふさした尻尾

まさに人狼と呼ぶのにふさわしい怪物の姿がそこにあった。

「血車党の化身忍者、変幻化忍狼!」

ハヤテは早速背中の速風を抜き、目の前の変幻化忍狼に斬りかかろうとするが

「動くな!」

と変幻化忍狼は叫ぶ。

そして岩影から下忍が縄で縛られたカスミを連れ、姿を現す。

カスミは猿轡を噛まされており、何かを叫ぼうとしているが、声はフグッ!、フグッ!としか出せずにいる。

「カスミっ!」

ハヤテは驚きの声をあげる。

「ふふふっ、どうだ、ハヤテ驚いたか!、貴様の大切な仲間である伊賀忍のカスミだ。動くなよハヤテ!、少しでも動いたら、こいつが」

と変幻化忍狼は縛り上げたカスミを連れている下忍に命じて、その細い喉に剣を突きつけさせる。

「直ちにこの剣でカスミの喉を切り裂くぞ、それでもいいならかかってこい」

その言葉に動揺し、動けずにいるハヤテ。

「やれ!」

変幻化忍狼は、目の前の崖の上にいる下忍たちに命じ、上からハヤテめがけて片っ端から岩を落とさせた。

次々と落ちてくる大きな岩、また岩。

「うわあ!」

ハヤテの悲鳴、そして、その立っていた場所にはいくつもの岩が積み重なっていた。

恐らくハヤテは岩の下敷きになっただろう。

そう思った変幻化忍狼は崖の上を見上げると

そこにはいつの間にか変身した嵐の姿があった。

「変身忍者嵐、見参!」

嵐は崖の上にいた数人の下忍たちをたちまち斬り伏せる。

「クエェーッ!!」

下忍たちの悲鳴。

崖の上にいた下忍たちは全員、嵐によって斬り伏せられたのだ。

「嵐!、貴様、どうやって?」

思わず叫ぶ変幻化忍狼。

「忍法、落岩逆上がり!」

嵐は平然として答えた。

落ちてきた岩伝いに、逆に崖の上まで登っていってしまったのだ。

「ふん、だが、まだこちらにはカスミがいることを忘れるな!」

変幻化忍狼はそう言うと、下忍に命じてカスミの喉に刃を当てて見せる。

次の瞬間、変身忍者嵐の姿は大量の羽根に包まれた。

だが嵐自身は、確かに動く気配はない。

どうしたことかと変幻化忍狼と、カスミに剣を突きつけている下忍は様子を見ていたが、次の瞬間

「クエェーッ!!」

カスミに剣を突きつけていた下忍は、いつの間にか目の前に現れた変身忍者嵐によって斬られた。

「忍法、羽根分身!」

崖の上にいるのは嵐の分身であり、変幻化忍狼と下忍が崖の上に気をとられているうちに、嵐自身は下に降りてきていたのだ。

「カスミ、もう大丈夫だ!」

嵐は下忍に捕らわれていたカスミを解放する。

「嵐さん!」

自ら猿轡を外し、笑顔を見せるカスミ。

そして次の瞬間、嵐は飛び上がった。

「嵐、稲妻落とし!」

嵐は必殺技の一つ、稲妻落としで変幻化忍狼の姿を叩き斬る。

「グワォーン!」

悲鳴をあげ、変幻化忍狼はその場に倒れた。

変身忍者嵐は速風を鞘にしまうと、ハヤテの姿に戻って、カスミを抱き締めた。

「カスミ、よかった!」

が、ハヤテはふと倒れているはずの変幻化忍狼の姿がいつの間にか消えているのを見て驚愕する。

「これは‥‥‥‥」

次の瞬間

「そうよ、本物はここ。変幻化忍狼女!」

ハヤテに抱き締められていたカスミが、いきなり、そのハヤテにガブッと、その鋭い牙で噛みつく。

「ぐわあっ!」

カスミだったはずの、その顔はいつの間にか変幻化忍狼女のものとなっている。

ハヤテは激しい恐怖感をおぼえた。

「お、お前はカスミに化けていたのか?」

苦しむハヤテに、変幻化忍狼女は笑いながら、こう答えた。

「違うわ。カスミは化身忍者に生まれ変わったのよ。伊賀忍カスミは以前の名前、今の名前は血車党化身忍者、変幻化忍狼女」

ハヤテの恐れていたことを、あっさりとカスミ、いや、変幻化忍狼女は断言する。

「ハヤテさん、私に噛まれたものは、やがて、私の意のままに動くようになるのよ」

変幻化忍狼女は心から嬉しそうにいった。

「魔神斎様も、骸骨丸様も、貴方が血車党に戻ってきてくれるなら受け入れてくださるわ。もう、私は力のない人間であることを止め、貴方と同じ化身忍者に生まれ変わったの。さあ、二人で一緒に血車党を盛り上げましょう」

変幻化忍狼女は満足そうな笑みを浮かべた。

「そうすれば、もうあの女に邪魔されることもない。私たち二人だけの愛を育んでいける。そして血車党の全国支配を二人で支えていくのよ」

ハヤテは苦しみながら、次第に意識が失われていくのを実感していた。

やがて意識を完全に失い
そして次に意識を取り戻した時には、自分はカスミ、いや、今や化身忍者となった変幻化忍狼女の意のままに動くようになってしまうのだろうか?

やがて

ハヤテは意識を失った。