今国会最大の焦点となっている消費税増税法案は現在、民主党内で事前審査の議論が行われていますが、一向にまとまる気配はありません。野田佳彦首相が提出を明言している今月末には何らかの結論を出すのでしょうが、法案の内容の議論というより、提出すべきか、提出すべきではないかという根本的な対立であることから、どう決着するかは予断を許しません。

 いずれにしても、民主党は「決められない政治」を続けているわけですが、急いで決める必要がある政策があります。それはがれき処理をはじめとする東日本大震災の復興策であり、首都・東京が直下型地震などの大災害に見舞われた場合の首都機能のバックアップ態勢の整備です。

 震災復興については、がれき処理でも特別措置法を作るなどして、国が強力な権限で迅速に進める必要があると私は考えていますが、それは別の機会に書くとして、今回は首都機能のバックアップ態勢の整備を急ぐ必要性について書きたいと思います。

 この点については、民主党も動き始めています。同党は内閣部門会議の下に「首都中枢機能バックアップワーキングチーム(WT)」を設置し、検討を進めてきた結果、今月12日に中間報告骨子を取りまとめました。

 骨子は「首都直下地震などの切迫性に鑑(かんが)みれば、首都中枢機能の維持・確保を図るため、東京圏の防災力の向上と相まって最悪の事態をも想定したバックアップ態勢の早急な構築が求められる」としたうえで、とりあえずのバックアップの拠点は「大阪に設置することが望ましい」との見解を示しました。

 大規模な首都直下型地震が発生する確率については、東京大学地震研究所の平田直教授らが「4年以内で70%」とする研究結果をまとめるなど、さまざまな議論が行われていますが、いつ起きてもおかしくない以上、事前に備えをしておく必要があります。

 東京で大規模な地震が発生した場合は、人口の密集度から考えて極めて大きな被害が出ると想定されるうえ、政治、経済の中枢機能が集中していることから、国として災害対応ができないほか、日本全体の機能が麻痺(まひ)して、国内が大混乱に陥ってしまう可能性があります。

 「最悪の事態を想定して事前に備えをしておく」ことは、危機管理の要諦で、WTが首都機能のバックアップの「切迫性」を強調しているのはそのためです。

 WTはその「切迫性」から、首都機能バックアップ拠点を「喫緊に整備する必要がある」として、まず「とりあえずの拠点」を整備する都市として「大阪」を挙げました。

 その理由としては、大阪は(1)社会経済活動の要である民間を含めた中枢機関(日銀、NHK、金融機関、大企業本社・本店など)の集積が東京に次ぐ規模である(2)府省地方出先機関が集積し多くの代替要因の確保が容易である(3)高速交通網、都市交通網が発達しているーことなどを掲げています。

 そのうえで、首都機能バックアップ拠点には(1)防災無線と東京圏との専用回線を整備し、官邸と同様の情報を共有する(2)各省の事業継続計画(BCP)に沿ったデータのバックアップを集積する(3)一斉メール配信システムを構築する(4)安否確認と緊急体制の構築の確認を行う(5)基礎的なインフラと物資などの手配、自衛隊・警察・消防などの応援態勢全体の把握を行う(6)これらについて現地対策本部との連絡体制を整備するーこととしています。

 こうしたバックアップ拠点が事前に整備されていれば、仮に首都直下型地震が起きても国としての災害対応は可能になり、日本全体の混乱もかなり防ぐことができると思います。その観点から、私もバックアップ拠点を早期に整備しておく必要があると思いますし、骨子が理由に掲げたように、整備する都市は大阪が最適でしょう。

 「決められない政治」をいまだに続けている民主党ですが、これに関しては一刻も早く中間報告骨子の肉付けをして、実行に移してもらいたいと思います。

 一方、首都・東京が大災害やテロなどの危機に見舞われた場合に備えては、超党派の「危機管理都市推進議員連盟」(石井一会長)が、首都機能を代替する「副首都」を整備する法案の素案をすでにまとめています。候補地は「関西圏」としており、具体的には廃止が取り沙汰されている大阪国際空港(伊丹空港)跡地が挙がっています。

 民主党のWTの首都機能バックアップの整備は、事態の切迫性から「とりあえずの最低限のバックアップ拠点を作る」というものですが、議連の「副首都」は政治・立法・司法、経済の中枢機能のほか、住宅・ホテル・高速交通網など首都を代替する都市機能を整備するというものです。

 東京が深刻な危機に見舞われた場合は、首都機能の麻痺が長期化する恐れがあり、その間、首都機能を代替できる「副首都」を建設しておく必要があります。また、危機管理以外の観点でも、「副首都」が整備されれば、「関東圏」と「関西圏」のダブルエンジンで日本を活性化できるというメリットもあります。

 したがって、まずは民主党WTがまとめた「必要最小限の首都機能バックアップ拠点」を大阪に整備することを実行に移すべきですが、それと同時並行的に深刻な事態が長期化した場合も想定した「副首都」を整備することも進めていくべきです。

 議連がまとめた「首都代替機能の整備の推進に関する法案」(副首都整備基本法案)は、消費税増税法案のあおりで、提出はまたしても次の国会に先送りされる可能性があります。しかし、「副首都」の整備には数年かかると想定され、事態の「切迫性」を考えると早期に国会に提出して成立をはかるべきです。

 消費税増税は少子高齢化、直間比率の是正などの観点からいずれは引き上げは必要で、議論することは重要ですが、それだけでなく、東日本大震災の復興、危機管理の観点からの首都機能バックアップ態勢の整備など、今すぐにやらなければならないことはたくさんあります。

 与野党、とくに政府・与党は消費税増税をめぐる政局に没入するのではなく、今やるべきことをしっかり見据えて、協力すべきところは協力し、実行していってもらいたいと思います。

首都直下型地震への備え 大阪に首都機能バックアップ拠点を 
2012.3.25 12:00
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/120325/plc12032512010006-n1.htm
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/120325/plc12032512010006-n2.htm
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/120325/plc12032512010006-n3.htm

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ダブルエンジンは惚れてまうやろ~!

日本列島の現在の状況を考えれば、トリプル クアドラプルエンジンくらい考えておかないと。

ちなみに、阪神淡路大震災から17年。あのときの惨状を思い出せば東京・大阪以外に内陸県に拠点を持つことも必須ではないでしょうか。例えば群馬や滋賀、奈良県なども視野にいれて国内数箇所に作るくらいの危機管理があってもよいと思います。