1400兆円を超える個人資産は日本に眠る宝。その宝を食い物にし自社の収益ばかりを追求する証券業界内に対し個人投資家の資産を増やすべきであるというコラムを閲覧。
これは今、米国が狙っている日本国民の個人資産にも当てはまることであり、TPPに加盟すれば必ず訪れる日本の危機にもつながることですので転載いたします。
====================
金融機関に搾取されている日本の個人資産
「顧客利益二の次」体質が金融市場をゆがめている
2011.11.30(水)
A(証券会社商品企画部長) 受ける商品はないの? インパクトのあるやつ。ストーリーがあるともっといい。今はストーリー戦略ばやりだしね。
B(資産運用会社投信部長) はい。例えば今は欧州危機と円高が新聞によく出ているので、海外債券を外して、「日本の成長株を見つけろ」ということでどうでしょうか?
あるいはTPPが話題なので、「農業関連株ファンド」もいいかもしれません。
A 話題になりそうだね。儲かるの?
B 販売手数料は3%、信託報酬も1.5%超えになるように商品設計を考えます。
金融機関によって異なる投資信託の推奨銘柄
皆さんは、これがどういった状況での会話かお分かりになるでしょうか?
Aは、証券会社で次に店頭で売り出す投資信託を選ぶ部長。Bは、外資系や日系の投資信託を運用する資産運用会社の部長のことを指します。
少し説明を加えましょう。
投資信託(本コラムでは皆さんが買い求められる公募投信のみを指す)とは、多くの投資家のお金をまとめて、投資のプロがみなさんに代わって株式や債券の運用を行い、その収益を自らの報酬(上記で言うところの販売をした瞬間に顧客から金融機関に支払われる販売手数料と、年間に運用や運用報告などの対価として支払う信託報酬の合計)を抜いた後に皆さんにお戻しする金融商品。
証券会社や銀行に行くと、いろいろな投資信託商品が置いてあります。商品を勧められた方も多いのではないでしょうか?
この投資信託、皆さんが行く証券会社や銀行がどこかによって品揃えが変わります。
なぜでしょうか?
それは、証券会社や銀行がどの投資信託を置くかを決定するからです。証券会社や銀行を介さないで販売する直販投信もありますが、公募投信全体でのシェアは5%程度しかまだなく所有者も限られています。
店頭にどういった投資信託を新しく置くかを決める証券会社と資産運用会社の話し合いの状況を書いたのが、冒頭のやり取りなのです。
何か、不思議なことを感じませんか?
預けた瞬間に100万円のうち3万円が消える日本の不思議
冒頭の「儲かるの?」は、お金を預けた皆さん投資家にとってのことではなく、証券会社や銀行がこの投資信託を顧客に売って儲かるかが判断の分かれ目になっているのです。
例えば、現在一般的になっている冒頭の例で示した販売手数料が3%ということは、100万円預けた瞬間に97万円になることを意味するのです。
3万円を販売手数料として証券会社や銀行が手に入れるのです。銀行の預金金利が年間0.1%であることを考えると信じられない数字です。
投資信託先進国の米国では、比較的高いとされる銘柄選択を含んだ株式運用の公募投信でも、販売手数料と信託報酬を合わせて1%を割っているものは多くあります。日本との差は歴然です。
筆者も多くの米国人と話しますが、日本の投信業界は異常だと驚かれます。
また、米国ではこうした投信が上場し手数料が非常に低いことで市場を拡大した上場投信(ETF)市場も90兆円近くあり非常に大きいのですが、日本では2兆円程度しかなくあまり注目もされていません。
元外資系金融機関の日本法人でETFを長く担当していたA氏は、「手数料の手厚い投資信託を守るため、手数料をほとんど取れないETFに証券会社が本腰を入れていない」と嘆いています。
投資家がこうした高手数料の投資信託を購入し、せめて10年程度持ち続けていればいいのですが、多くの場合、「儲ければ利食いを進め、新しい商品に移らせ」「損をすれば他の魅力的な商品に乗り換えること」を証券会社は提案します。
よく証券会社のトップが手数料回転ビジネスを止めたと言っていますが、現実的には以前の株式の売買に比べれば頻度は低いものの、同様の商売を株式から投資信託に切り替えて行っているのです。
確かに、こうしたことは広く新聞に言われているので、買っている投資家にも一定の責任があります。以前にもこのコラムで申し上げた通り、日本では「お金の教育」がなされていないので、こうした手数料や運用に疎い人が多いのも事実です。
一方で、皆さんはこうした投資信託の保有者の平均年齢をご存じでしょうか?
投信の保有率が高いお年寄り
社団法人投資信託協会「投資信託に関するアンケート調査報告書-2010年」(以下「投信調査」)によると、投信保有率が最も高いのが60代で19.5%、続いて70代以上が13.7%で続きます。
実際、この報告書は各年代ごとの保有割合で、金額の保有を書いていません。しかし筆者の知る限り、金額ベースでは投資信託のかなりの部分を60歳以上の投資家層が保有しており、80歳を超える投資家が30%程度を占める商品も存在しているのです。
現在の若い世代は外国投信に位置づけられるETFやネット証券を通じて手数料の安い投資信託を買っているので、当初の話は年齢の上の世代のものです。
とすると年齢の上の方々に、お金の勉強をしろと言うのは少し酷なような気もします。問題は、売る側にあるのではないでしょうか?
また、非常に日本で売れていた、海外の国債に投資し高い分配金を投資家に支払う一部投資信託にも大きな問題がありました。
投信調査によれば、ギリシャで大きな問題になったソブリンリスク(国債が額面通り償還されないリスク)を知っている投信保有者がわずか3.1%しかいないのです。
恐らく足元の円高と併せて、こうした投信保有者は大きく傷つき、日本で投資信託がさらに敬遠されるようになることが予想されます。
この話の裏側に、運用をする当事者の問題もあります。販売が好調とはいえ、なぜ分配金が高く、為替リスクを抱えている商品を売ることを許容したのか?
このような商品を運用し続けていたのはなぜか?
プロの投資家として、なぜ販売会社に対して文句が言えなかったのかも問われるべきでしょう。
販売手数料を求めて投信を売れなくしている金融機関
本来は、少ない資金で分散投資でき、かつプロの投資家が運用することで投資初心者が投資するよりも理論的には良い投資信託が、証券会社や銀行の売り方の悪さのために結果として遠ざけられてしまうのです。
もちろん、運用する資産運用会社にも責任があります。冒頭のやり取りのように、証券会社に近づき、業界内で収益を回すための仕組みづくりをしてしまっているのです。
このように話すと金融機関から反論があるかもしれません。ご存じのように、2007年施行の金融商品取引法、現行の投資信託法では、投資者保護をうたい、資産運用会社の責任規定や運用報告書交付義務が課されています。
この法律により、当初投信からの販売手数料を大きな収益源にしようとしていた銀行は、売る意欲が一部なくなっているようではあります。
しかし、証券会社は施行前とほとんど変わっていません。投資家に対する無用なまでの長い説明、膨大な書類を渡すだけで形骸化させているのです。
相続税として政府を通じて次世代への富の再配分や、子供に直接的に渡す予定だった資金の一部がこうした金融機関に食いつぶされていっているのです。
証券会社のモラルに期待したいものの、正直なところ、販売ノルマの形が変わっただけで昔と大きく変わったとは決して言えません。
ただでさえ世代間のギャップが言われている中、若い世代に回るはずの資金が途中で生産性の高いと言えない日本の金融システムに吸収されていっている現実があるのです。
金融は、社会のインフラで経済効率性を高めることが期待されていますが、投資信託の現実から考えると経済効率性をゆがめているのが現状です。
日本の投信残高は米国の6分の1
投資家が賢くなるのはもちろんのこと、資産運用を取り巻くこうした状況をモニターするNPOなどを増やしたりすることも今後の課題と言えるでしょう。
証券会社役員の天下りとしての業界協会では意味がありません。根本的にこうした投資信託を取り巻く人々の行動形態が変わらないといけないのです。
日本国民は、全体として賢明で、投資信託の残高が増える傾向にはありません。投資信託協会の調べによれば2011年10月現在で60兆7169億円と、いまだに1989年並みの数値で、保有額は米国の6分の1程度です。
正常な形の投信業界の発展は、膨大な個人資産を株式を通じて企業に資金を提供し、そこからの資産運用益を手に入れるといった経済発展に通じます。
2011年上半期時点で1400兆円を超える個人資産は日本に眠る宝です。業界関連者が自らの収益ではなく、投資家の資産を増やすことにすべてを懸けなければ、日本の投資信託、そして個人資産の有効活用による経済成長を日本で起こすことはできないと言えるでしょう。
Japan Business Press 日本再生 福原正大
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/30805
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/30805?page=2
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/30805?page=3
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/30805?page=4
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/30805?page=5
====================
TPPをめぐっては中国との接近も見せた米国ですが中国は日本がTPP参加国になることを嫌がっています。ですがその中国の人民元をを米国は市場に開放すべく狙っています。
利権や特権で儲ける、また自分が儲けるためには人のものを喰うという米国的主義をあらため、自分が儲かるためにはまずは他人に儲けさせるという原点に戻る必要があるのではないでしょうか。
自分さえよければいいという考えではなく、共存の時代が訪れていることを私たちは気づき、実行していくべきであると思います。
これは今、米国が狙っている日本国民の個人資産にも当てはまることであり、TPPに加盟すれば必ず訪れる日本の危機にもつながることですので転載いたします。
====================
金融機関に搾取されている日本の個人資産
「顧客利益二の次」体質が金融市場をゆがめている
2011.11.30(水)
A(証券会社商品企画部長) 受ける商品はないの? インパクトのあるやつ。ストーリーがあるともっといい。今はストーリー戦略ばやりだしね。
B(資産運用会社投信部長) はい。例えば今は欧州危機と円高が新聞によく出ているので、海外債券を外して、「日本の成長株を見つけろ」ということでどうでしょうか?
あるいはTPPが話題なので、「農業関連株ファンド」もいいかもしれません。
A 話題になりそうだね。儲かるの?
B 販売手数料は3%、信託報酬も1.5%超えになるように商品設計を考えます。
金融機関によって異なる投資信託の推奨銘柄
皆さんは、これがどういった状況での会話かお分かりになるでしょうか?
Aは、証券会社で次に店頭で売り出す投資信託を選ぶ部長。Bは、外資系や日系の投資信託を運用する資産運用会社の部長のことを指します。
少し説明を加えましょう。
投資信託(本コラムでは皆さんが買い求められる公募投信のみを指す)とは、多くの投資家のお金をまとめて、投資のプロがみなさんに代わって株式や債券の運用を行い、その収益を自らの報酬(上記で言うところの販売をした瞬間に顧客から金融機関に支払われる販売手数料と、年間に運用や運用報告などの対価として支払う信託報酬の合計)を抜いた後に皆さんにお戻しする金融商品。
証券会社や銀行に行くと、いろいろな投資信託商品が置いてあります。商品を勧められた方も多いのではないでしょうか?
この投資信託、皆さんが行く証券会社や銀行がどこかによって品揃えが変わります。
なぜでしょうか?
それは、証券会社や銀行がどの投資信託を置くかを決定するからです。証券会社や銀行を介さないで販売する直販投信もありますが、公募投信全体でのシェアは5%程度しかまだなく所有者も限られています。
店頭にどういった投資信託を新しく置くかを決める証券会社と資産運用会社の話し合いの状況を書いたのが、冒頭のやり取りなのです。
何か、不思議なことを感じませんか?
預けた瞬間に100万円のうち3万円が消える日本の不思議
冒頭の「儲かるの?」は、お金を預けた皆さん投資家にとってのことではなく、証券会社や銀行がこの投資信託を顧客に売って儲かるかが判断の分かれ目になっているのです。
例えば、現在一般的になっている冒頭の例で示した販売手数料が3%ということは、100万円預けた瞬間に97万円になることを意味するのです。
3万円を販売手数料として証券会社や銀行が手に入れるのです。銀行の預金金利が年間0.1%であることを考えると信じられない数字です。
投資信託先進国の米国では、比較的高いとされる銘柄選択を含んだ株式運用の公募投信でも、販売手数料と信託報酬を合わせて1%を割っているものは多くあります。日本との差は歴然です。
筆者も多くの米国人と話しますが、日本の投信業界は異常だと驚かれます。
また、米国ではこうした投信が上場し手数料が非常に低いことで市場を拡大した上場投信(ETF)市場も90兆円近くあり非常に大きいのですが、日本では2兆円程度しかなくあまり注目もされていません。
元外資系金融機関の日本法人でETFを長く担当していたA氏は、「手数料の手厚い投資信託を守るため、手数料をほとんど取れないETFに証券会社が本腰を入れていない」と嘆いています。
投資家がこうした高手数料の投資信託を購入し、せめて10年程度持ち続けていればいいのですが、多くの場合、「儲ければ利食いを進め、新しい商品に移らせ」「損をすれば他の魅力的な商品に乗り換えること」を証券会社は提案します。
よく証券会社のトップが手数料回転ビジネスを止めたと言っていますが、現実的には以前の株式の売買に比べれば頻度は低いものの、同様の商売を株式から投資信託に切り替えて行っているのです。
確かに、こうしたことは広く新聞に言われているので、買っている投資家にも一定の責任があります。以前にもこのコラムで申し上げた通り、日本では「お金の教育」がなされていないので、こうした手数料や運用に疎い人が多いのも事実です。
一方で、皆さんはこうした投資信託の保有者の平均年齢をご存じでしょうか?
投信の保有率が高いお年寄り
社団法人投資信託協会「投資信託に関するアンケート調査報告書-2010年」(以下「投信調査」)によると、投信保有率が最も高いのが60代で19.5%、続いて70代以上が13.7%で続きます。
実際、この報告書は各年代ごとの保有割合で、金額の保有を書いていません。しかし筆者の知る限り、金額ベースでは投資信託のかなりの部分を60歳以上の投資家層が保有しており、80歳を超える投資家が30%程度を占める商品も存在しているのです。
現在の若い世代は外国投信に位置づけられるETFやネット証券を通じて手数料の安い投資信託を買っているので、当初の話は年齢の上の世代のものです。
とすると年齢の上の方々に、お金の勉強をしろと言うのは少し酷なような気もします。問題は、売る側にあるのではないでしょうか?
また、非常に日本で売れていた、海外の国債に投資し高い分配金を投資家に支払う一部投資信託にも大きな問題がありました。
投信調査によれば、ギリシャで大きな問題になったソブリンリスク(国債が額面通り償還されないリスク)を知っている投信保有者がわずか3.1%しかいないのです。
恐らく足元の円高と併せて、こうした投信保有者は大きく傷つき、日本で投資信託がさらに敬遠されるようになることが予想されます。
この話の裏側に、運用をする当事者の問題もあります。販売が好調とはいえ、なぜ分配金が高く、為替リスクを抱えている商品を売ることを許容したのか?
このような商品を運用し続けていたのはなぜか?
プロの投資家として、なぜ販売会社に対して文句が言えなかったのかも問われるべきでしょう。
販売手数料を求めて投信を売れなくしている金融機関
本来は、少ない資金で分散投資でき、かつプロの投資家が運用することで投資初心者が投資するよりも理論的には良い投資信託が、証券会社や銀行の売り方の悪さのために結果として遠ざけられてしまうのです。
もちろん、運用する資産運用会社にも責任があります。冒頭のやり取りのように、証券会社に近づき、業界内で収益を回すための仕組みづくりをしてしまっているのです。
このように話すと金融機関から反論があるかもしれません。ご存じのように、2007年施行の金融商品取引法、現行の投資信託法では、投資者保護をうたい、資産運用会社の責任規定や運用報告書交付義務が課されています。
この法律により、当初投信からの販売手数料を大きな収益源にしようとしていた銀行は、売る意欲が一部なくなっているようではあります。
しかし、証券会社は施行前とほとんど変わっていません。投資家に対する無用なまでの長い説明、膨大な書類を渡すだけで形骸化させているのです。
相続税として政府を通じて次世代への富の再配分や、子供に直接的に渡す予定だった資金の一部がこうした金融機関に食いつぶされていっているのです。
証券会社のモラルに期待したいものの、正直なところ、販売ノルマの形が変わっただけで昔と大きく変わったとは決して言えません。
ただでさえ世代間のギャップが言われている中、若い世代に回るはずの資金が途中で生産性の高いと言えない日本の金融システムに吸収されていっている現実があるのです。
金融は、社会のインフラで経済効率性を高めることが期待されていますが、投資信託の現実から考えると経済効率性をゆがめているのが現状です。
日本の投信残高は米国の6分の1
投資家が賢くなるのはもちろんのこと、資産運用を取り巻くこうした状況をモニターするNPOなどを増やしたりすることも今後の課題と言えるでしょう。
証券会社役員の天下りとしての業界協会では意味がありません。根本的にこうした投資信託を取り巻く人々の行動形態が変わらないといけないのです。
日本国民は、全体として賢明で、投資信託の残高が増える傾向にはありません。投資信託協会の調べによれば2011年10月現在で60兆7169億円と、いまだに1989年並みの数値で、保有額は米国の6分の1程度です。
正常な形の投信業界の発展は、膨大な個人資産を株式を通じて企業に資金を提供し、そこからの資産運用益を手に入れるといった経済発展に通じます。
2011年上半期時点で1400兆円を超える個人資産は日本に眠る宝です。業界関連者が自らの収益ではなく、投資家の資産を増やすことにすべてを懸けなければ、日本の投資信託、そして個人資産の有効活用による経済成長を日本で起こすことはできないと言えるでしょう。
Japan Business Press 日本再生 福原正大
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/30805
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/30805?page=2
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/30805?page=3
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/30805?page=4
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/30805?page=5
====================
TPPをめぐっては中国との接近も見せた米国ですが中国は日本がTPP参加国になることを嫌がっています。ですがその中国の人民元をを米国は市場に開放すべく狙っています。
利権や特権で儲ける、また自分が儲けるためには人のものを喰うという米国的主義をあらため、自分が儲かるためにはまずは他人に儲けさせるという原点に戻る必要があるのではないでしょうか。
自分さえよければいいという考えではなく、共存の時代が訪れていることを私たちは気づき、実行していくべきであると思います。