今から20年くらい前。
友達のライブを見に行って、対バンのアーティストに一目惚れをした。
当時20代のわたし。
その人は40ちょいだった。
本当にかっこよくて、曲もめちゃくちゃ好みだった。
それがカオルさんとの出会い。
どハマりした私は、その日からカオルさんの追っかけ状態。
全部のライブに行って、CDも全部買って、ファンレターやファンメールを送り続け、差し入れに睡眠薬の横流ししてたら(本人からの希望)、いつのまにかプライベートでも会えるようになっていた。
本当に大好きで、でも気まぐれなカオルさん。
翻弄され、貢がされ、20も年下の女の子のファンになのに…
普通ならヒトデナシなのだろうけど。
でも、カオルさんが私にくれたものは、それどころの騒ぎじゃなかったの。
当時の私は精神的に病んでいて、心療内科に通い、常に死にたいと思っていた。
それと同時に死にたくなくて、だれか助けてって思っていた。
カオルさんからもらう言葉は、いつも私の心の奥の奥に染み込んで、それは「いつか死んでもいいけど、あと少し生きてみようかな」と思わせてくれるものだった。
自分が誰だかわからなくなった私に、「パセリ」という名前をくれた。
みんなが嫌がって残すけど、実はすごく栄養があって素晴らしい存在って。
「いつか猫を飼ったときにつけようと思っていた名前をお前にあげるよ」と言われた。
それだけで特別だった。
その日から、私はカオルさんの「パセリ」になって、一緒に針金細工を路上で売ったり、ライブの衣装を買いに行ったり、私の誕生日には小さなスタジオで私だけへのライブをしてくれた。
二人きりのライブ。
今思うと、相当な贅沢。
そして横浜の川沿いでキスをしたりした。
ああ、今思い出しても、カオルさんは私の特別だった。
当時流行りのパイレーツオブカリビアン。
ジャック・スパロウに似てるって思って、アステカの金貨のペンダントをあげたら、すごく喜んでくれた。
ジャック・スパロウみたいに、気まぐれで自分勝手な人だったけど、そこがたまらなく痺れた…
それからしばらくして、私は結婚して田舎に帰った。
普通の女になった。
でもそれが普通の女の幸せだなって、カオルさんは言った。
「あばずれマリー、すました顔でカタギのやつと暮らしているさ。それなりに幸せそうだ」っていう「誰もがハローと言える場所」の歌詞そのものだと思った。
その後、最初の夫が死んだ時も、カオルさんは「夫が事故死か。ロックだな」と独特な弔辞をくれた。
再婚して、子供が生まれた。
この頃のカオルさんはちょっと不安定で、一度メールをしたら、執着してくることがあった。
「心の恋人になってほしい」「プレゼントをおくりたい」と何度も言われて、ちょっとだけ距離を置いてしまった。
でも、娘が「どんぐりころころ」を歌う動画を送ったら、「才能の宝庫だな」って言ってくれた。
娘にも「プレゼントを贈りたい」って言ってくれたのに、私は突き放してしまったんだ…
そのあとコロナ禍があって、カオルさんが精力的にライブする頃があって、ツイキャスでライブ見たりして、久々にやっぱり素敵だって再認識したけど…
でも、私は日常に追われてて、田舎で家事や育児やをしながら、その時々にカオルさんどうしてるかなって思うことは何度かあったけど、特にメールはしてなくて。
いつのまにかカオルさんのSNSはすべて止まってた。
黒猫レインの誕生日を祝う投稿もなく、もしかしてレインは…っておもったけど、メールもしなかったんだよな…すればよかったのに。気になってたんだから。
ここ数週間、やけにカオルさんを思い出してた。
そして今日、晩御飯を作りながら「誰がハローと言える場所」を口ずさんでいたんだ。
それで何気なく、カオルさんにメールしてみようって思った。
だけどSNSが止まってるし、調子悪いかな、迷惑かもなって、何気なく近況を知りたくて検索してみたんだ。
「カオルヨコハマ」って。
そしたら、ある方のfacebookの投稿が目に入って。
「永眠しました」の文字。
「え。。。。」って、世界が止まった。
心臓がバクバクして、息ができなくなって、指先が冷たくなった。
なんで?なんでなの?カオルさん…
混乱と絶望の中、レコチョクで「祭りのあと」をダウンロードした。
なぜか、その曲をすぐにダウンロードした。
それを流しながら、晩御飯の続きを作った。
「昨日はずっと泣いていた。黒い猫を抱きながら」
「また会う日を夢見てる。また会えると………いいな」
泣かすよね…カオルさん。
泣いちゃうよ。
これを聞いて、やっと泣いたよ。
本当にもう会えないんだよ。
あんなに、あんなに、あんなに、私の心を救ってくれたのに。
もういないなんて、信じられないんだよ…
大声で泣きながら、晩御飯を作ったんだ。
泣きながら、歌いながら作ったの。
で、「誰もがハローと言える場所」のCDを引っ張り出してきた。
CDには、サインとDearest Aki.って書いてあった。
それでまた、泣いたんだ。
もういないなんて、
本当に夢のようです