「潤くんニコニコ

「おぉ。おつかれー!ここで会うの久々だなぁ。」

学校の練習場控え室。
私のユニットが発足してから、

そして今年の全国ツアーの概要が
決まってからというもの、
ここに集まることは減った。
また忙しくなる……。

ここに置きっぱなしになってた荷物を私が取りに来たら、潤くんがお昼を食べてた。

「ねえ。」

「ん?」

「最近、なんかあった?いいこと?」

「・・・なんだよいきなり?」

「気になってたんだよねぇーマヤさんとのこと。」

「あーその話ね!さて。どうでしょう?」

「なにそれー(笑)」

「言ったでしょ。俺は気長にいくって。」

「あれから、話したりするの?」

「ツアーがらみが殆んどだけどさ。なんだろ。彼女、よく笑うようになった。」

「人見知りするって言ってたから。じゃそれが解けてきたのかなぁ?」

「うん、それもあるかも。」

「……他にも有りそうな口振りだね?ニヤリ

「まぁね。でもいまは、笑い合えればそれで。」

「……そういうのも、アリかもね照れ

「そういえば、琉華ちゃんは翔さんとはじめ、どんな感じだったの?」


その話…ここで?
長いよ?と前置きして


「去年5月の始め頃……屋上でね、告白されて、それで、…………その、」


ダメだこれ以上言えるわけない(笑)
目をそらす私に、

「で、その数ヶ月後にあの首の痣ニヤリ

「よく覚えてるなぁ~~やだもう滝汗(笑)」

「うまくいってんだウインク何よりだよ。」

「そっちもね!ツアーで会う機会増えるし、仲良くね!」

「おう。早く行けよ、翔さん待ってるんでしょ?」

「そうそう!じゃまたねおねがい



昼休み。ふたりで過ごして、
午後の授業に向かう途中。
私はハッとして立ち止まった。



「……あれ?」

「あっ、琉華ちゃん?」

「うそ、カナエちゃん?!どうしてここに?」

学生のティーラウンジで、所在なさげに窓からの景色を見ていたから気になって。

会うのはあの打ち上げ以来。
でもまさか。どうして彼女がここに?


「よかった!どうやって探そうかと思ったの。かずくんには秘密なんだ、ここに来てることウインク

「そうなの?!ものすごいサプライズじゃない!」

「仕事の有休、思いきって週末につなげて来ちゃった。4日間こっちに居られるの」

「そっか。ニノは学部違うから、北の校舎だよ。授業あと何時間か、メールで聞いてみようか?」

「ありがと照れ

「じゃ、いちばんいい方法で引き合わせてあげる。うちらの溜まり場みたいなとこがあってね。はは(笑)こりゃドッキリだね爆笑

「琉華ちゃん楽しそう(笑)」

「ワクワクするー!あっ、メール返ってきた!」


一緒に待機していてあげたいけど、
私は授業があるから、
私の連絡先と、学校内の見取り図を書いて渡した。

「一緒にいるとこ、人に気づかれないように気を付けて。なんかあったら電話かメールしてねウインクあと、学食のスイーツ、オススメ!じゃーね!!

「ありがと!」




授業が終わる頃。
私は翔くんにメール。


ニノの彼女がいま学校に来てるのおねがい秘密で会いに来たんだって!あとで控え室でご対面するセッティングしました!楽しみ!

琉華



マジかびっくりじゃ、ふたりが夜に行く店、俺が予約しといてやるかニヤリまかしとけ(^-^)v



すごいぞ、この展開。

もうすぐ会えるかな、
あのふたり。



なんて思ってたら!ニノからメール。
キターーーー(*´∇`*)イエローハーツ



マジかよ!すごいの仕掛けてきたなニヤリやるなぁ。いろいろサンキュー!3か月ぶりに会えたよ。ありがとう。

和也( ´_ゝ`)



「おぉーおねがいおねがいおねがいキラキララブラブ

経過を見守ってた翔くんと私、
放課後の屋上でハイタッチ。

「あ、翔くんほら、予約したお店のことメールしてあげなきゃ」

「そうだそうだ!」




久々の再会おめでとう二宮くん( ´∀`)イエローハーツお店のURLはこちら。続きはWebで口笛good luck (*^ー^)ノ♪



スゲー!びっくりびっくりびっくり完璧過ぎて怖いよ(笑)いろいろありがとう。お店、行ってきまーす!

和也






仲人みたいじゃん私達(笑)
しかしカナエちゃんすごいなぁ。
休み取って、会いに来ちゃうなんて。


遠距離恋愛かぁ……


淋しい思いもしてるよね。
私だったらきっと、
耐えられないだろうな。




私達には、私達のカタチがあって。

みんなそれぞれ、
悩みも抱えて。
でも幸せで。



「ね、またあの4人で行かない?クラブ。Starry night

「今夜?」

「実は智くんたちにはOKもらってるんだ。」

「ホント!?行く行くおねがいキラキラあ、でもこの服でいい?」

「いいよ。似合ってるウインク

って言いながら、キス。


ほんとこういう不意打ちに弱い私(笑)


私にもサプライズ仕掛けてたなんてね。
敵わないホントに。


今日は、
久々に、弾けようか。


「行こ爆笑







クラブStarry night。

相変わらずの、スモークと抑え目の照明。

ふたりと合流した。

踊り疲れた私達は、
息を整えながら。

カウンターの隅へ。






煌めく星の夜。


カクテルを受けとる君の白い細い腕。
ミラーボールの下だと、いつもの笑顔も妙に艶っぽく見える。

はしゃぐ姿を見守って、
カウンターで音楽に酔いしれながら過ごす。

こんな夜は。
君をひとりにしたくない。




「あっ、智くん」

「カクテルは、またあとで。」

彼女の手をとって、
エスコート。


「もう1回、踊ろう。」

「うまく、・・・踊れないよ」

「大丈夫。ほら。」



ミドルテンポの曲。
いいんだ。
うまく踊れなくたって。
同じ速さで、揺れながらステップ踏むだけで、けっこうサマになるもんだよ。

「いい感じ。」

「そう?」

「こっち見て。」

「えっ?」

「俺のほう。」


重なる目と目で。


次は、
どんな言葉?

君の瞳がそう言ってるみたいに。

時々伏し目になって。
また、俺のこと見上げる。


指と指が絡んだらもう、
言葉なんて要らない。

そのまま引き寄せて、
抱きしめた。

「今日は絶対離さない。覚悟しとけよ?」



潤んだ目で君が頷くから。
目が眩みそうだ。

ずっとこのまま、俺の傍に居て。







「……なんか、いつ見ても絵になるなぁ、しのぶさんたち。」

「うん。お似合いおねがい

「どんなこと、話してるんだろうね?」

「キザなこと言ってんのかな?アイツはw」

「こういう場所には、そのくらいのほうが、いいんじゃない?」

「愛してる……………………とか?ニヤリ



急に、

ぐっと抱き寄せて耳元で言うから
息が止まりそうになった。

手に持ったグラス、
うっかり落としそうになってしまった。


「ね。しばらくこうしてて。」

「ん?」


両腕に力が。
もっと、もっと強くてもいい。

あなたのその声、聴きたい

飽きるほど、
呆れるほど、
囁いて。


私の全身が、

尽きることのない、
あなたへの想いだけでいま、
満たされてる。



ミラーボールの明かりが、
私達を、
静かに照らしていた。



続く