関西では「天かす」といい、関東では「揚げ玉」というのが普通だそうだが、ボクはどっちも使う。
あまり意識したことがない。
と云うのも、大の蕎麦好きだったので、うどんを食う習慣があまりなかったからだ。
都心で働いていたころは、お昼は必ずと言っていいほどお蕎麦だった。
どのくらい蕎麦好きかというと、美人がそばを通っただけで一目惚れするくらい好きだったのだ。
幸い、都心には美味い蕎麦屋が多かった。
しかし、仕事を止めてからは蕎麦を食う習慣がなくなった。
ボクの街で気に入った店は1軒しかないのだが、21世紀になってから観光地化が進み、観光客が行列するようになったからだ。
並ぶのが嫌いなボクの足は必然的に遠のいた。
じゃあ、自分で作ればいいじゃないかと思うかもしれないが、素人に蕎麦作りは難しく、美味しく作れないのだ。
ボクは食生活には気を使う方なので、偏食しないようにローテーションを組むことにした。
ラーメン→うどん→パスタ→素麺。
どうだ。
栄養バランスの取れた見事な食生活だろう。
スーパーに行くと、うどんの具として「揚げ玉」を売っている。
そんなわけで「揚げ玉」に馴染んだのだ。
もう辞めてしまったが、街でイチバン美味しいと評判のうどん屋さんに行った時のことだ。
娘さんが注文をとるのだが、この娘さんは○○小町と言われるほどの美人で有名だった。
揚げ玉下さい~と言うつもりだったのに、「上玉」ください~と言ってしまったのだ。
奥から親父さんが血相を変えて飛び出してきた。
「この野郎~ウチの娘に下品な口を利きやがって。2度と来るんじゃねえ~」と追い出されてしまった。
おまけに「このカスが~」と天かすを雨霰と投げつけられたのだ。
もったいないと思ったので、一粒一粒拾い集めて家に帰り、揚げ玉うどんを作って食べた。
「カスが~」と言われたので春日八郎を思い出した。
子供の頃ラジオから流れて来たので聞き覚えた。
「粋な黒兵衛~♪ 神輿の松に~♪」と記憶したので、不思議な詞だなあ・・と思っていたが「粋な黒塀~♪ 見越しの松に~♪」だと知った。
しかし、今どき、「黒塀」も「見越しの松」も知らない人の方が多いだろうね。