ウルトラマンの本名は太郎だが、誰も太郎とは呼ばない。
シュワちゃんと呼んでいる。
宇宙怪獣をやっつけると「シュワ~ッチ」と言って去っていくからだ。
シュワちゃんにはひとつだけ悩みがあった。
地球にたったの3分しかいられないことだ。
3分では女の子と知り合うことは出来ないし、恋を語ることも出来ない。
もう少し地球にいられないかなあ・・と思っていると、ハリウッドからおいしい話が舞い込んできた。
「ターミ~ネ~た~」という映画に出ないか、と誘われたのだ。
太郎にとっては願ってもない話だった。
というのもデビー・レイノルズの大ファンで、彼女の歌う「ターミー」が大好きだったからだ。
すぐに2つ返事でOKした。
Debbie Reynolds の Tammy です。
さてさて、撮影が始まった途端、大問題が発生した。
シュワちゃんは、「シュワ~ッチ」以外の言葉が喋れなかったのだ。
これには監督もプロデューサーも頭を抱えてしまった。
が、幸いなことにシュワちゃんは「手話」が出来たのだ。
というわけで、台詞は全部手話になった。
物語のクライマックス。
シュワちゃんが、ターミーをデートに誘って「愛してるよ」という場面だ。
相手役の女優さんはオードりー・ヘプバーン似の絶世の美女だったので、シュワちゃんも気合が入っていた。
夜の遅い時間だったので、「ターミー、寝~た~??」というつもりで、手の甲を相手に向けて4本の指を折り曲げ、中指を突き出したのだ。
M78星雲では「愛してるよ」の意味になるが、地球では「くそったれ」の意味になる。
ターミーは怒ってカップヌードルを投げつけた。
お湯を入れて3分たったカップヌードルだったので、シュワちゃんは箸を持ったまま地球を逃げ出さなければならなくなったのだ。
こうして、ウルトラマン太郎の恋は3分で終わってしまったのだった。
涙がとめどなく溢れてくる。
ああ、愛する人のためにあんなに苦労したのに・・・
苦労の涙です。
96粒こぼれました。
ミステリアンズの 96teas は「96粒の涙」の邦題で、日本でもヒットしたのです。
余談だが、ウルトラマンは製作途中で時間切れになってM78星雲に帰ったので、仕方なくアーノルド・シュワルツネッガーという人を代役に立てました。
この人もシュワちゃんと呼ばれていたので、白羽の矢が立ったんです。
どうせ観客には違いがわかりっこないからって。