亀の子たわし、用心棒、絵具(三題噺)・・・Downliners Sect | 洋楽と脳の不思議ワールド

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今日のお題は青空さんからいただいた「亀の子たわし、用心棒、絵具」です。

 

 

 

鼠小僧次郎吉と言えば、悪代官や越後屋から盗んだ金を貧乏な庶民にばらまくので、江戸では大変な人気だった。

おまけに若くていなせだったから、蔦屋重三郎が写楽に描かせたブロマイドは、江戸中の娘っ子がこぞって買い求め、朝夕うっとりと眺めていた。

そんな次郎吉人気に嫉妬したのが大先輩の石川五右衛門だ。

 

ある日次郎吉を捕まえて「ツラ貸しなよう~神保町まで行くぜ」。

不審に思いながらついていくと、五右衛門はずんずん歩いて、神保町にあった有名な出版社、蔦屋重三郎の店に入っていった。

「ここでな。おめえと一緒のところを写楽先生に描いてもらって俺もスターになりてえのよ」と五右衛門。

出来上がったブロマイドを懐に入れて2人が歩くと、次郎吉目当ての娘っ子がぞろぞろついてくる。

五右衛門はここぞとばかりに懐のブロマイドを娘たちにプレゼントした。

 

「どうでえ~いい男だろうが~」

と、五右衛門が見栄を切っているそばから娘たちはブロマイドをビリビリと半分に引きちぎり、五右衛門の絵をポイっと投げ捨てて残った次郎吉の絵だけを大事そうに握りしめている。

お願い~サインして~と娘たちはその絵を次郎吉に差し出すのだった。

 

クソ~と五右衛門の心中は穏やかではいられない。

「太閤様でさえ恐れた俺様を差し置いてあんな青二才にキャーキャー騒ぐとは忌々しい。え~イ、野ぐソでも垂れてえところだがここは我慢のしどころだあな。意地悪してやろう」

「おい、次郎吉、これから仕事に行くか~女(め)の子わたしやがれ~」とつい言い間違えて本音を漏らしてしまったのだった。

 

 

 

 

いまさら Downliners Sect のことを語る必要はないが、五右衛門の気持ちになって聞いてくれ。Sect Appeal です。