ユイスマンス「黒ミサ異聞」・・・Bob Seger | 洋楽と脳の不思議ワールド

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古本屋を覗いたら、ユイスマンスの「黒ミサ異聞」(92年北宋社)という本があった。

ユイスマンスにこんな本があったなんて知らないぞ~と即求め、家へ帰ってよくよく見たら Là-Bas と原書名が打たれている。

ボクの学生時代は田辺貞之助訳「彼方」で読まれていた本だ。

なんでタイトルを変えたんだろうと思ったら、松戸淳という人の訳者あとがきが1952年4月20日になっている。

田辺貞之助の桃源社版が出たのが74年だから、それよりも早かった。

で、ちょっと調べたら、52年発行の「あまとりあ」という雑誌が初出のようだ。

聞いたこともない雑誌だが、大昔からこの手のマニアは絶えないんだろうな。

 

 

 

主人公は文学者で悪魔主義を研究していて、サタニズムに身を売った稀代の幼児殺戮者ジル・ド・レエ元帥の本を書いている。

現代(本が書かれた19世紀)のパリでも黒ミサが行われているのを知り、ある夜ついに立ち会いに成功する話だ。

目次を掲げておくので、なぜこんなマニア雑誌に掲載されているのかが分かるはずだ。

 

 

 

ジル・ド・レエのこともボクは澁澤龍彦先生経由で知った。

今日、いろんな人が書いてると思うので解説しない。

澁澤先生はユイスマンスの「彼方」の見解をもとに評伝を書いているが、その後、ジュルジュ・バタイユの「ジル・ド・レエ裁判」を読み、思うところがあって(バタイユの見解はユイスマンスと少し違うので)短文を書き「異端の肖像」に収録されている。

バタイユの見解が面白いのは、ジャンヌ・ダルクの片腕として名声を手に入れながら、なぜ歴史上稀に見る残虐行為に走ったのか、その理由だ。

性的発露、つまりサディズムが第一義ではなく、レエは巨大な幼児で、遊びを楽しんでいたという見方だ。

子供がとんぼや蝉の羽や腹をむしって遊ぶように、レエにとっては子供たちがとんぼや蝉に他ならないのだと言う。

 

陰惨でエロティックな話をしたので、綺麗な曲を聴きましょう。

先だって、若いころのボブ・シーガーを取り上げた。

ボクは全く知らないので(その折ブロ友さんから「なんとなくクリスタル」にも名前が登場すると教わった)ので70年代後半に日本でも流行っていたんだろうと思う。

で、探して聞いたら、とてもいいじゃないか~!

 

Till It Shines

https://youtu.be/YWlduM7uXqQ