「アインシュタイン交点」と「アインシュタインの夢」・・・・The Humane Society | 洋楽と脳の不思議ワールド

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小説のタイトルに「アインシュタイン」とあると、詩的に思えて、つい買って読んでしまう。


サミュエル・R・ディレイニーの作品もそんな理由で買った一冊だ。

原作が発表されたのが67年、早川文庫から伊藤典夫氏の訳で出版されたのが96年。

何故30年近くもかかったのか、伊藤さんのあとがきに詳しい。

一言で言えば、表面上はとても読みやすいのだけど、さまざまなメタファーに覆われていて、理解するのがとても難しいのだ。

96年に読んだとき、ボクにはよく分からなかったが、今度再読して、大分いろんなことに気づいた。

と言って、完全な理解には遠く及ばないので、簡単なあらすじと気づいた点だけを記してお茶を濁す。



3万年前、現生人類(ホモ・サピエンス)が地峡上から消え去った(理由は分からない。死滅したのか、地球を見捨てて他の星に移住したのか?)、主人公の人類がやってきて住みつくことになる。

人と猿のあいのこのような姿形と機能を有している。

この時点で、核戦争で滅びた人類の成れの果てだと理解できなくもない。

誰もが遺伝子の知識に詳しく、遺伝子を混ぜ合わせるのは社会の重要課題だと考えられていることからもそう思える。

男性、女性、両性具有という3種類の性の持ち主たちだ。

子孫を残せない無機能者が増え続けていて、社会問題になっている。

主人公は機能者だが、他人と違っていて、この「他者とは違う」というのは大問題なのだ。

主人公にはやはり他者とは違う恋人がいるが、ある日、他者と違う「キッド・デス」(ビリー・ザ・キッドの暗喩)に殺されてしまう。

主人公は、恋人を取り返すために旅に出る(オルフェウス神話のメタファー)。

主人公が他者と違うのは音楽を奏でることができることで、プレスリーをはじめ、岩(ロック)のイメージが氾濫する。

要するに、現代社会を神話で読み解く作品のようなのだ。

ただ、肉食植物が動物を狩るシーンなどSFならではの描写があって面白い。

もっとも、このシーンでさえ多義的な解釈を要求されてるのかもしれないが。






アラン・ライトマン「アインシュタインの夢」は、分かりやすい。

1905年、相対性理論完成目前の時空の概念に取り付かれた26歳のアインシュタインが見る、30通りもの異なった時間の流れる世界の物語だ。

30篇の物語。

物理学者(著者)でなければ、30通りもの時間の流れなんて思いつかないだろうな~と圧倒された。

一番分かりやすいのは円環の時間。

始まりも終わりも無い時間世界なので、死んだら、また誕生して同じ生を何度でも永遠に繰り返すだけ。

地獄の拷問世界だ。

面白いと思ったのは、同じ地球上なんだけど、高いところは時間が緩やかに流れ、低い土地は何倍もの速さで流れる世界。

金持ちはヒマラヤの天辺に天辺を継ぎ足して永遠の若さを保つが、貧乏人は低い土地でしか住めないので、さっさと老衰して死んでしまう。

93年、早川書房刊。












あんまり見かけない珍しい紫陽花。


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さて、今日の音楽だが、何も用意してないので、ガレージクラシック Humane Society- Knock, Knock。

と言いながら、一応記事と音楽は呼応してるのだよ。バンド名だけね(笑)