中村文則「掏摸(すり)・・・ Violent Femmes | 洋楽と脳の不思議ワールド

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マイナーな60年代ビートミュージック。駄洒落小話。写真と読書感想がメインのブログです。

一昨日の夜中に酔っぱらってアップしたら、新着欄に表示がないということなので、再アップする。

いつもの新記事と違い、異常に訪問者が少ないと思ったらそういうことらしい。

酔ってたのでどこかいじったんだろう。





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US在住のブロ友さんから、刺激的な作家とバンドを教わった。

中村文則。

02年、新潮新人賞で登場してきたので名前だけは知っていた。

当時ボクはまだ竹林の七賢を気取った生き方をするには生臭い人生だったので、名前を知っただけで、読んだことはなかった。

その後世間への興味を失ったので、そのまま忘れてしまった。

ブロ友さんの書評がとてもよかったのと、英訳されてアメリカで賞を取ったというので図書館から「掏摸(すり)」を借りてきた。

一冊本だけど、読みやすい文章なので2時間ちょっとで読み終えた。

結論から言えば素晴らしい作品なのだ。

スリを本業とする主人公が、ある人物の支配下に入り、彼の命令に従う。

困難な仕事をやり終えたあと、主人公はその人物に撃たれる。

理由は、自分は他人の人生の筋書きを書く人間で、その筋書きによれば「お前はここで死ぬことになっている」という理不尽なもの。

ところがどっこい、主人公は生き延びたかもしれないのだ。

あるいは死んだのかもしれないが、書かれていない部分をどう想像するかで、この小説の読後感はずいぶん違うと思う。

他人の人生の筋書きを書けると豪語する人物は、ある意味神=悪魔だ。

全能の力を持っているということになる。

だからラスト、主人公が生き延びるのか死ぬのかで、この小説の解釈は180度違うことになる。



主人公は、子供時代から、塔の幻を見る。

塔は荘厳で、主人公の意識に影響を与えるけれど、モノを言わない。

ただ黙って立っているだけだ。

神の言い換えと思ってもいい。

神は黙って見ているだけで、人間世界に介入することはない。

高校のとき、遠藤周作の「沈黙」が発表され、ボクは受験勉強そっちのけで読み耽った。

マーチン・スコセッシが窪塚洋介を起用して映画化したと知った。

窪塚洋介は90年代かな?? 小雪と共演した「コインランドリー」でファンになった俳優さんだ。

若いのに滅茶苦茶演技が上手かったので好きだった。



酔ってきたせいか、論理的思考とは無縁の評になったが、「教団X」で、神=悪魔の問題を真正面から取り上げたらしいので、読まなくちゃいけない。





アメリカ在住のブロ友さんに教わったのが Violent Femmes。

アメリカでは80年代、滅茶苦茶流行ったみたいだが、日本で流行った形跡はない。

当時のメインストリームサウンドから外れていたせいだと思う。

ブロ友さんもアメリカのハイスクールに通っていたので流行ったのを知っていたのだろう。

洋楽に関する限り、日本のマニアックなファンが世界の最先端だと言っても過言ではない。

ただ残念なことに、圧倒的大多数の日本の洋楽ファンはメインストリームの音にしか興味がない。

この落差を何とかしてくれえ~~


あまりにアルバム数が多いので、ベスト盤しか聴いてないが、Half Japanese を思わせる Kiss Off と Gone Daddy Gone が特に気に入った。

他に気に入った曲もたくさんある。

再結成され、USのドラマに音楽が使われているので人気が再燃してると教わった。



Kiss Off。




Gone Daddy Gone。

https://youtu.be/ekL7o8BQkZM












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この本を紹介してくれた Mynble さんのコメント。
一日置いて現れたので、最初の記事は消す。
他にも何人かコメントを書いてくれた方がいたのだけど、申し訳ありません。

「なぜかこの記事が新規記事のところに表示されず、もう少しで見逃すところでした。
こんな風に紹介していただいて嬉しいです。
中村さん、私も「掏摸」、日本で買って帰ります。
すっかり彼の世界観に魅せられてしまいました。

「沈黙」は私は大学時代に図書館でバイトしていて見つけて、
読みだしたら止まらなくなり、仕事そっちのけで読みふけってしまいました。
どんな映像になるのか興味がありますね。
たぶん西洋側の解釈になるのだろうか。

Kiss Off は一番好きな曲なんですよ。
でも歌詞を見ずに歌っていたので、歌詞つきでみて、
あ、こんなこと言ってたのか~と新鮮でした。」