床下仙人と深夜食堂・・・The Like | 洋楽と脳の不思議ワールド

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原宏一は、現代社会の矛盾を抉り出してユーモアと風刺で包んだ物語を紡ぎだす作家だ。

矛盾そのものを掘り下げることはなく、矛盾から生まれた奇想を軽い筆致で叙述する。

歩きながらでもお風呂に入りながらでも読めるが、注意深い読者なら、矛盾の本質に気づく。

もちろん、解答なんぞは提示しない。

解答は個々の読者が見出すものだ。




2000年初版の祥伝社文庫「床下仙人」にはそんな短編が5編収録されている。

作品として一番よくできているのは文庫タイトルにもなった「床下仙人」だが、ボクは「シューシャイン・ギャング」のほうに心惹かれる。



都会のサラーリマンの通勤時間は長い。

「床下仙人」の主人公が手に入れた郊外の一軒家から会社までの通勤時間は片道1時間50分だ。

往復3時間40分もかかるわけで、家には寝に帰るだけ。

土日は接待ゴルフで、朝から家にはいない。

妻とは2言3言の会話、息子は寝顔しか見られない。

妻はこんなの家族じゃないと不満だが、亭主のほうは、家族を養うために頑張っているんだから文句を言われても困る、と思っている。

ところがこの新築家屋の床下には段ボールハウスがあり、浮浪者が住み着いていて、家の中を自由に出入りしている。

いつのまにか妻と浮浪者は仲が良くなっている。

不審を抱いた主人公が、ある日早退して自宅の様子をうかがうと、妻と浮浪者が仲良くワインを飲みながら昼食を摂っている。

かっとしたのもつかの間、息子が浮浪者に甘えているのを見て愕然とするのだ。

妻の言い分は、一緒にいてくれるのが家族ってものの本来の姿よ。

一緒にいる時間さえないあなたは家族とは言えないわ。

主人公が敗北感に打ちひしがれて公園のベンチでぼんやりしていると、別の浮浪者が現れ、真実を語る。

リストラばやりで、浮浪者になった人間は、新築の床下で暮らし、引っ越してきた家族を乗っ取るのだという。

追い出された亭主は、他の新築物件の床下に潜み、別の家族を乗っ取る。

そうやって、この町は順繰りに乗っ取られた家族が暮らしている町だというのだ。

さあ、あなたも早く床下を見つけて潜り込まないと、競争相手が多いのであぶれますよ~と親切なアドヴァイスまで受ける始末。




収録5本目の「シューシャイン・ギャング」。

やはり会社をリストラされ、家族にもリストラされた中年男が主人公。

渋谷の街でぼんやりしていたら、いきなり足をつかまれ、「おじさん、靴を磨かせて~」と押し売りならならぬ、押し靴磨きの少女と出会う。

問題家族をリストラしてきた少女とリストラされたおじさんは、一緒に働くことにする。

少女の押し靴磨き商売の用心棒になったのだ。

しばらくの間は面白いように儲かり、少女は1千万円貯めたらね~と夢を語る。

そのうち商売敵が現れ、こちらは渋谷の少年ギャングたちによる恐喝まがいのやり口だ。

そのあといろいろあって、中年男と少女は本物の家族、父と娘としてこれからの人生を支えあって生きる決心をする。

この手の人情話にめっぽう弱いボクは、つい涙腺が緩んでしまうのだ。








人情話と言えば、ブロ友さんから教わった「深夜食堂」。

こちらは30分のTV番組で、新宿ゴールデン街に深夜12時オープン、朝7頃まで営業の食堂が舞台。

場所柄、はみ出し人生を送っている人物が集まるが、毎話毎話、食べ物にまつわる哀歓が描かれていて、ほろりとするのだ。

もちろん深味はないが、このゆる~い人情話がとてもいい。

最後に、その日テーマになった料理の作り方も教えてくれるので、ためになる。

Uで見れるので、見まくっている。

第1話を。


と思ったら、昨日まで観れた動画が今日にはブロックされている。

この動画もいつブロックされるか分からないけど。








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しんみりしたので元気のある曲にしましょう。

可愛い娘(こ)たちが歌うと元気が出るなあ~(笑)

Like で What I Say And What I Mean。